再会
あとがき、お気をつけて。
私は大家さんに連れられて、森の中を歩いていた。森、と言っても、人が歩くような道がある。蛇のようにくねった道。懐かしいと思う。私も幼い頃はこの道を通って祠へ向かっていた。
「懐かしい..............」
「ん、そうか」
大家さんは外に出ても煙管を離すことは無かった。時折、持ち寄った携帯灰皿にカスを捨てている。ここまで多量喫煙者なのに、不思議と煙草特有のヤニ臭い匂いはしなかった。いや、煙草の匂いではあるのだけど、嫌な匂いではないというか.......。不思議だ。
そう思って黙って背中を追って行くと、漸く目的地が見えてきた。木々に囲まれて、付近に大きな湖のある、小さな祠に。とてもこじんまりとしているが、何処か神秘的で別の次元に来たような気分になる。
そこで、一人の青年を発見した。すらりとした背高のっぽ。ふさふさとしているような、サラサラしているような、兎にも角にも柔らかそうな髪。ふらりと振り返ると、くすんだ黄色の目と目が合った。
「.............. 」
懐かしさの余り、ぽろりと名前を口にしていた。爽やかな風が私と彼の間を抜けていく。数十年ぶりの逢瀬だった。あの頃と変わってしまった事が沢山ある。けれども懐かしさだけは、朧に美しく霞行く記憶の中の、あの優しい雰囲気だけは何一つ変わっていない。
気が付くと、ぽろりと頬を涙が伝っている。感極まって、駆け寄ることさえ出来ない。
「覚えていて..............くれたの?」
「うん..............。うん..............」
静寂を破ったのは、彼の一言。声変わりをしたのだろう。少し低く、けれども青年の匂いを感じさせる良く通る声だった。彼はゆっくりと此方に歩み寄ると、そっと私の体を抱き上げた。地面と接触していた足裏の感触がなくなり、上から彼の顔を見下ろす形になる。正直、ちょっとびっくりした。
「全く変わらないな.......。あの頃のまんま。凄く小さくて、可愛くて.......」
「君は大きくなっちゃったね」
彼は私と異なり、柔らかい笑顔を浮かべた。そのまま自分の胸元まで引き寄せようとした時だった。今まで除け者にされていた人から一言。
「おーい、若い者。俺を忘れてくれるな」
神妙な面持ちの大家さんがいた。
煙草って、添加物?が燃えたものが臭さの原因だそうで。
煙管にすると、そこまで臭わないそうです。
【読まない方が良い、私が此処が好き】
煙草吸ってるキャラって煙を体に巻き付けたイラスト多いじゃないですか。
あれ、とっても素敵ですよね。煙さえ操ってそうで。