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悪魔の子  作者: わざお
9/20

第9話 チャスタイズ作戦 ―チャスタイズ作戦①―

「閣下、私は納得いきません。なぜですか?」

「あの方がそうおっしゃるのなら仕方ない。とりあえず今は従っておけ。」

「しかし良いのですか?反王政勢力と奴は力を増してしまいます。特に私にとって奴は脅威、絶対に潰さなければ、」

「空中戦艦の艤装はどうだ?」

「最終段階に入りつつあります。」

「大丈夫だ。あの計画に支障はない。」

「はい。」

「今は奴らに好きなだけ暴れさせておけ。」


 作戦決行の日を迎えた。悪魔は明日にはセコンド川防衛ラインに到達するが、未だにセコンド川を渡れずにいる部隊もある。その部隊が撤退完了するまで、パットン少将はセコンド川防衛ラインで時間を稼ぐ。

「本日22 00までに事前偵察と現地にある爆薬の設置を完了、翌08 00、制空隊30機が出撃、08 10、爆撃隊4機が出撃、08 15、制空隊は現地上空にて制空戦闘を開始、08 22、爆撃隊が侵入、エゴン班の誘導によってダムを爆撃、破壊する。質問が無ければ時刻整合を行う。」

「…」

「07 45に時刻整合を行う、30秒前。」

エゴンは真剣な表情をしていたが、口元は笑っていた。

「10秒前、9 8 7 6 5 4 3 2 1 今!」

「これよりチャスタイズ作戦を開始する!」

「エゴン、お前を信じる。帰ってこいよ。」

「はい!」

 エゴン班の戦力は歩兵8名、装甲車(ディンゴ歩兵機動車)1両である。

「全員そろったか?」

「全員いるぞ。」

「行くぞ!」

兵士たちが敬礼している。エゴンたちも車内から敬礼で返して、装甲車は進み始めた。

「血が騒ぐぜ!悪魔どもを爆破して、ひき殺してやる!wwwなあ、マイク。」

「1000体ぐらいぶっ殺そうぜ!」

 「今日の任務は偵察と爆薬の設置だ。戦闘は後回しだ。」

 「おいおい俺の手柄立てる機会が無くなるだろ。」

 「あんたらが活躍しているところ見たことないんだけど。」

 「うるせぇ!貧乳ヤロウ!うぅ…苦しい。」

グレースは運転席にいるマイクの首を絞める。装甲車が左右に揺れる。

「おい!ちゃんと運転しろよ!」

「グレース!やめろ!ここまだ市街地だぞ!」

マイクが何とかブレーキを踏んで装甲車が止まる。

「次言ったら殺す!」

「すいませんでした。」

 エゴンとフィンリーは顔を見合わせた。

「山に入ればいつ悪魔が出てきてもおかしくない。上空にはドラゴンもいる。常時警戒態勢をとる。」

「はーい。」

エルザが装甲車の上部の銃座から空と周囲を警戒する。装甲車は山に入った。

「悪魔約10体発見、左前方11時の方角、距離200、こっから撃てば当たるわよ。」

「今は銃弾を節約したい。マイク、スピードを出してやり過ごしてくれ。」

「了解!エルザ、下に下がれ。」

「オッケー!」

「捕まっていろよ!」

装甲車は加速、突っ込んで来る悪魔を撥ねた。カーブで減速したが、悪魔たちは追随できない。

「楽勝だなwww」

その後通常の速度に減速して林の中の道を進むと川沿いの開けた場所に抜けた。右側には川があり、そしてドラゴンがいた。ドラゴンが火を噴こうとする。装甲車が急加速したため、炎にはギリギリ当たらなかった。エゴン班のみんなは車の後ろに引っ張られる。

「ヤバ!」

装甲車は最高速度の100km/hまで加速、カーブはドリフトで曲がった。

「急げ!あと少しだ!」

トンネルが近くにあった。ドラゴンの咆哮の凄まじい音が聞こえた。そして次の瞬間、ドラゴンは火を噴こうとしたが装甲車はトンネルの中に逃げ込んだ。急ブレーキをかける。装甲車はトンネル内で停車した。

「バックしてトンネルの真ん中で止めてくれ。」

「了解!」

その瞬間、地面が揺れた。トンネルの出口にはドラゴンが着地した。フィンリーが銃撃すると、ドラゴンはトンネルの出口から飛び立った。

「鳴き声が聞こえるってことは近くにいるのか。」

「そうだな。今攻撃しに行くのは危険だ。トンネルから出たとたんに攻撃される可能性もある。」

「ここで昼食休憩にする。今は待つのが最善だ。」

「了解。」

「こんなところで昼飯食えるかよ!」

エゴン班は戦闘用糧食を食べる。ドラゴンの咆哮がトンネル内にも響く。

「しつこい奴だな!さっさとぶっ殺そうぜ!」

ティオとマイクは焦っていた。

「慌ててもしょうがない、チャンスが来るまで待て。」

「何だよチャンスって?空軍に支援要請したのか?」

「していない、とにかく落ち着け。」

フィンリーが二人をなだめる。トンネルの上でドラゴンが暴れて上から砂が降って来る。

 「おい、ヤバいんじゃないのか?」

 「絶対ヤバいだろ!」

 「チャンスが来た。」

 「どういうことだよ!エゴン!」

「今ならドラゴンはトンネルの真上にいるから、トンネルの出口には注意が向いてないわけだ。」

「エルザ、外に悪魔はいそうか?」

「何かいるわね。距離400。こっちには気づいてないけど、対戦車ミサイルの発射位置まで出ていけば、多分ばれて攻撃されるね。」

「グレース、トンネルの出口付近から狙撃できるか?」

「やるよ。」

「フィンリー、外に出てドラゴンに損傷を与えてきてくれ。アレックスはフィンリーの護衛を頼む。」

「了解!」

「殺せなくてもいい。ドラゴンが追撃できないようにすれば十分だ。」

「了解!」

「ちょっと待ってくれ、俺も行く。」

「俺も行きたい!」

「マイク、お前がやられたら、誰が装甲車を運転するんだ?ティオ、お前がやられたら誰がダムに爆薬を仕掛けるんだ?」

「…」

「お前らはいつでも出発できるように準備を頼む。」

「了解!」

フィンリーとアレックスがトンネルの外に出ようとする。

 「やっぱり、こっちには注意が向いていない。」

「行くぞ。」

フィンリーとアレックスは急こう配の道なき道を登ってトンネルの上にいるドラゴンを狙える位置に向かう。その時、狙撃銃の銃声が聞こえた。

 「命中。」

「…」

再び撃つ。

「命中。」

突然の狙撃に混乱する悪魔たちは身を隠すことを忘れて、次々に殺される。その頃、フィンリーとアレックスは必死に丘を登っていた。

「まだドラゴンはトンネルの破壊に夢中だ。これならいけるぞ。」

「フィンリー、急いで先に行け。新手の悪魔が10体ぐらい、こっちに向かっている。」

「わかった。」

アレックスは迫りくる悪魔たちに向かって発砲した。コアに複数弾撃たれた悪魔たちは断末魔を挙げた。他の悪魔は奇声を挙げながらアレックスを追う。銃撃で4体倒した。しかし無傷の3体の悪魔が白兵戦を挑んできた。アレックスは自動小銃を肩にかけてナイフを取り出す。そして突っ込んできた1体の攻撃を素早くかわしてコアにナイフを突き刺す。さらにもう一体を圧倒的なパワーで投げ飛ばす。もう一体には強烈なパンチを食らわせてコアを破壊した。

 その頃、フィンリーは素早く射撃位置についた。そしてドラゴンの目を狙ってNLAW対戦車ミサイルを発射、見事に命中した。ドラゴンは咆哮を挙げながらのたうち回っている。フィンリーはすぐにアレックスの応援に入り、残りの3体を倒し、装甲車まで帰った。

 「急げ!」

 みんなは既に装甲車に乗っていた。

「ドラゴンが回復する前にここを離れるぞ!」

「全員乗車完了!」

「飛ばしてくれ!」

「了解!」

マイクが装甲車を勢い良く発進させる。ドラゴンはまだのたうち回っていて追いかけてくる様子ではなかった。しばらくするとドラゴンが完全に視界から消えた。

「もう大丈夫か?」

「そうだな、次のトンネルに入ったら一度休憩しよう。」

 装甲車は再びトンネルの中でゆっくりブレーキをかけて止まった。

「何とか助かったな。」

「ああ、周囲の警戒は怠らないようによろしく。」

その頃、セコンド川の防衛ラインを守るパットン少将は勝負所を迎えていた。

「大型ケルベロス数体がエリア01の突撃破砕線を突破、セコンド川を渡河しようとしている、我々だけでは対処困難。送れ。」

「CP、了解、機甲部隊を向かわせて対処する。」

「もう来たか。」

川の向こうに取り残されている部隊がたくさんある中、悪魔が川を渡って攻撃してくる。


悪魔の子プラスアルファ!

・悪魔の戦闘スタイル

悪魔は約10体の群れを作って行動する。その10体の群れの中にリーダーのような存在がいて群れ全体を指揮している。これは悪魔学者の研究によって明らかにされていて、軍もこの情報を念頭に置いて戦っている。特に一つの群れが他の群れから離れて単独で行動している場合、リーダーの悪魔が殺されればその群れは混乱を起こす。実際に、先ほどの戦いでもグレースはリーダーの悪魔を狙撃して混乱させた。


・グレースの狙撃銃

グレースはヘカートⅡと呼ばれる狙撃銃を使用している。この狙撃銃は12.7mm弾を使用する銃で、通常の自動小銃で使用される7.62mm弾より威力が高く、悪魔のコアを一撃で破壊できる。


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