新たな出会い
教会にお世話になって、1ヶ月が過ぎた。
朝の畑仕事も慣れたし、この頃はパン作りも手伝っている。
今日は薪割りに挑戦中
「オノが当たりませーん」
「頑張ってフローラさん」
全然出来ないけど、楽しかった~
「フローラさん、そろそろ教会の方のに行きましょう」
ルーシーさんが呼んでます。
教会は月に1度のバザーの日です
私達は昨日山盛りのクッキーとマフィンを焼きました。
それをルーシーと一緒に売ります。
バザーでは私達だけでなく、近くの村の人や農家の人もいろんな物を売るためにやってきます
それを見るのも楽しみにしてるの。
「一段落ついたから、フローラさんバザー見てきていいよ」
「ほんとに?すぐ帰ってくるね」
「はいはーい、行ってらっしゃーい」
端から順に見ていきます。
大きいカボチャ、穴あきチーズ、真っ赤なリンゴ。
こっちは山もものジャム、アップルパイ、ピクルス。
向こうには木で作ったおもちゃや家具。
エプロンやテーブルクロス
ポプリや軟膏まで揃ってる
どこを見ても楽しい。
私はルーシーの分も手荒れ用のクリームを買った。
それから、アップルパイを買う
後で一緒にお茶にしよう
「お嬢さん、これ落としましたよ」
振り向くと背の高い男性が私のコイン入れを手に持っていた。
「あら? ありがとうございます」
落としたコイン入れを受け取りお礼を言って顔をあげるとジーと見つめられた。
「あの… 何か顔に付いてます?」
「いえ、すいません」
そう言って目を逸らされた。「そ、それでは」
そう言って行ってしまった。
私もルーシーの所へ戻る
「ただいま~ アップルパイ買ってきたよ」
「わーありがとう、後でお茶入れて食べよう」
その後も順調にクッキーを売っています。
いろんな人と話せてそれも楽しい経験です。
「クッキーを、売ってくれないか?
あるだけ欲しい」
え? 見るとさっきの男の人が立ってます。
「全部ですか? 10袋以上ありますよ?」
ルーシーが聞くと
「ああ、あそこにいる孤児院の子達にごちそうする約束をしてね」
「だったら、このかごをお貸ししますわ
これに入れてお持ちくださいな」
「君は…さっきの…
ありがとう助かるよ」
男性はかごをを持って子供たちの元に向かいました。
向こうの方で子供たちの歓声が聞こえます。
ふふ、なんかいい人ですね。
さっきも落とし物を拾ってくれたし
それによく見ると、ずいぶんとイケメンだったのよね
プラチナブロンドの髪に、紺碧の瞳
整った顔立ち。
さっきルーシーも顔を赤らめていたものね。