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シスターガブリエル

私は婚約破棄からここへ来る事にした経緯を話しました。


シスターは何も言わず私の話を聞いてくれていました。


「よく私を頼ってくれました、貴女は頭もいいし、きっと1人でも生きていけたかもしれません

でもね、やはり貴族として育った令嬢には分からない事や思いもよらない出来事もあると思うの」


「分かります、ここへ無事に来れたのも、たまたま親切な方に出会えたからですもの」


「そうね、それはあなたの運の良さや人を見る目もあったでしょう

でも、それでも寄ってくる悪意はあるものです」


たしかに、一歩間違えれば全てを奪われて無事ではすまなかった可能性もあるのね。


「まずはここで庶民の生活や考え方を学んではどうかしら?

そのあとゆっくり、これから自分がどうするか考えればいい、もちろん家に帰る事も1つの選択肢ですよ」


今頃、家で両親はどうしているかしら?


「貴女はご両親の考えを聞いていないのでしょう?」


「はい、手紙を置いて出てきてしまったから」


「わかったわ、私の方でそれとなく公爵家の様子を見てみましょう」


「シスターが?」


「ええ、そこは私に任せて、貴女はここでゆっくりしていなさい」


そう言って、わたしを1つの部屋に案内してくれました。


そこは教会の敷地の中にあるシスターや見習いの女性が住む建物でした。

私はその中の一室をもらい、シスターの衣装も一式貸してもらいました。


「今日はもうゆっくり休みなさいな、後で体を拭くためのお湯と食事を届けさせるから」


「はい、シスターガブリエル

ありがとうございます」



◇◇◇◇◇◇◇


次の日目を覚ますと、もうずいぶんと高いところまで太陽が上がっていました。


これはずいぶんと寝坊をしてしまったようです。


顔を洗い、着替えるとドアをノックされました。

「は、はい!」


「おはよう、よく眠れた?」


「シスターごめんなさい

私ずいぶん寝坊してしまった気がします」


私は慌てて謝ると


シスターガブリエルは優しく微笑み

「いいのよ、フローラ ここへ来るまで気を張っていたのでしょう?

昨日も言ったでしょ?  ゆっくり休みなさいって」


本当に何も言わなくてもみんなわかってくれる。

うれしいな~


シスターガブリエルは王妃教育で顔を合わせていました。

この国での教会の影響力はとても大きいのです。

その中でもこのシスターガブリエルは一目置かれる存在だった。


シスターガブリエルは、王城でいろんな事を教えてくれました。

去年シスターが突然この教会へ来ることを希望され、みんなが驚きました。


理由は知りませんが、お別れするのはとても残念でした。


あの頃から私の事をよく分かってくれて、両親よりも理解をしてくれていたように思います。 


そんなシスターガブリエルだから、

何処へ行けばいいか悩んだときに

私は一番にここを思い浮かべたのでした。




「フローラ食事にしましょう

ちょうど、もうすぐお昼の時間なのよ」


もうお昼の時間だとは…どれだけ寝ているんですか、私ったら


私はシスターに連れられて、食堂へ向かいました。


「ちょうどいいから、みんなに紹介しますね

もうすぐ集まると思うから、ちょっとお茶でも飲みながらお話していましょうか」


そう言ってシスターがお茶をいれてくれました。


少しして、1人、2人と集まってきました。

女性ばかり、私くらいの子から、年配のシスターまで総勢10人ほどの人が席につきました。


「みなさん、今日からしばらくの間ここで一緒に暮らすフローラさんです。

いろいろ教えてあげてくださいな」


「フローラと申します。

よろしくお願いします」


「「「お願いします。」」」


「では、お昼を頂きましょう」


みんな各々席を立ち、部屋の奥にある長テーブルへ向かいます


「?」


「さあ、フローラいきましょう

ここでは自分のお皿に食べたいだけ、盛り付けて自分で持ってくるのよ」


「まあ、面白いですね」


「ふふ、貴族の家では無いことよね」


長テーブルに近づくと、まず大きな木のお皿が重ねて置いてあるのが目に付きました。

四角いお皿で、四つに仕切られています。

「おもしろいでしょう?

このお皿1つで味付けの違うものをのせても混ざらないのよ」


「へー凄いですね、こんなの初めて見ました」


「そうでしょう? 特別に作ってもらったのよ

これが出来て、いくつものお皿を使わなくて済むようになったの」


シスターはお皿を一枚持ちます


お皿の横に大きなボールにサラダ隣に茹でた根菜がいっぱいあって、

そのとなりには、焼いたソーセージとベーコン。メインは肉と野菜の煮込み、パン、チーズ

と並んでいました。

一通り盛り付けていくシスターの真似をしながら、私もお皿に盛りました。


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