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お前はクビだ!

俺はハッとして地面にある石を拾いトロールに向かって投げた! 


バコン! それはトロールの口の中に滑り込むように入る! 


口元を抑えてよろけるトロール。シドはハッとトロールと俺の両方を二度見した。


そして、トロールに向かっていく。俺はシドに蹴られたお腹があまりに痛かったので倒れ込んだ。


トロールは炎で黒焦げになっていたが、やがて力尽きたように仰向けで倒れた。


ドスーーン! 森の中にトロールが倒れた音が響き渡る。


「トドメは俺がさす!」シドはそう言うと腰に装着していたダガーを抜いた。


素早くトロールの体の上に飛び乗り首に向けてダガーを振り下ろす。


首から吹き出す血。どうやら一発で動脈をつらぬいたみたいだった。トロールはピクリとも動かなくなる。戦いは終了した。



シドはギルドの報酬を受け取るためにトロールの鼻と耳を切り落とした。そしてユイはシドとサムソンを回復魔法で癒す。俺はまた何も出来なかった。


「やっぱあたしがいないとこのチーム駄目だね」


「いやそうでもないぞ。やっぱりシドが的確に指示してくれたから」


「カシムもあんな位置からよく外さずに撃てるな」


「やっぱ盾役のサムソンがいると後衛が安心だわ」


メンバー達は談笑しながら互いに健闘を讃えあっている。俺はそれに入れずに遠巻きにそれを見ていた。


「おい皆集まれ」


シドがそう声をかけた。俺たちはシドを中心にして集まる。そしてシドはチラッと俺の方を見た。


「お前クロードこの戦いでどんな活躍をした?」


と威圧的な様子で聞いてくる。俺は頭の中が真っ白になった。そして震える声で答える。


「サムソンにポーションを振りかけて回復させたり……」


「他には?」


「あの……トロールに石を投げてひるませたり……」


「あのなぁポーションぶっかけた?! 石を投げた? はぁ? そんなもんそこらへんのガキにだって出来るんだよ! お前舐めてんのか!? 分かってんのか? お前」とシドが激怒した。


「あ……あ……分かってる……」と答えたら


「あぁ?」とシドが怒鳴り声を返してくる。


俺はビクッっとした。


「あ、はい。分かってます。でもシドが俺にだけ指示をくれなかったから、どう動いていいかわからなくて」俺は震える声で言く。


「は? お前言い訳すんのか?」とシドが威圧してくる。


「あ……いや……そんなことは」


「てか、なんで前に出てきたんだよ! そんな指示してねーだろ!」シドは怒鳴る。


「えっ? だってシドが危なかったから。それにカシムがシドを助けに行けって」俺はチラリとカシムを見ながら言う。


「カシムお前そんなこと言ったのか」シドがカシムをにらんだ。


「あぁ、言ったけど、だってこいつ使えねーから。弾除けくらいにはなるかなと思って」


と言うとクランから笑いが起こった。俺はキョロキョロと笑ってるメンバーを見回す。ユイだけが辛そうな顔をしていた。


「なんで笑うんだよ。みんな……」


俺は消え入りそうな、だが怒りのこもった声で言った。するとみんなピタッっと笑うのをやめた。シドは冷たい目で俺を見つめて、そして言う。


「もういいお前クビだわ。お疲れ。もう明日から来なくていいぞ」


目の前が真っ白になる俺。この王宮クラン、天空の大鷲は俺が学生時代からずっと憧れてきたクランだった。それがこんなにもあっさりと。


ショックで体がガタガタと震える。母親がこのクランに入ることが決まった時泣いて喜んでいた。それを思い出す。


「クビって……どういうこと?」


「クビだよ。そんなこともわかんねぇくらいアホなのか? オメェはよぉ。一から十まで教えてもらわねぇとなにもできねぇのかよ。こいつは」


俺は黙り込んだ。


「はぁ。大地の英雄として選ばれたって聞いたからお前をクランに入れたんだよ。だけど酷い貧乏くじだなお前。周りに迷惑ばかりかけて恥ずかしくねーのかよ!」


森の中シドが怒鳴る。クランのメンバーは静まりかえっていた。


「早くどっかいけよ。うっとうしい。お荷物なんだよお前。ちゃんと自覚しろや。消えてくれ」


その言葉を聞いて俺は後ずさりする。そしてその場を離れようとした時


「シド! もうやめてよ! 言い過ぎだよ。クビなんて可哀想だよ!」とユイが言った。


「ユイ……」驚いたようにシドはつぶやく。


「調子悪いときだってあるじゃん! 私だってあるし。そうやって誰かを責めてもどうしようもないじゃん! もうやめよ! 意味ないよそういうの!」とユイが目に涙を浮かべながら言った。


クランのメンバーは少しの間沈黙した。そしてシドが重い口を開く。


「まぁいいわ。お前今回のミスを二度と繰り返さないように反省しろよ」と言ってシドはプイッっと歩き出す。


「男のくせに女に守ってもらって気持ち悪ーい」


とエリザベスがからかうように言ってシドに付いていく。


「ありがとう助けてくれて……」俺はユイの方を見た。だが、ユイは感極まった様子で泣いている。目からポロポロと涙を流しそれを手で拭っていた。


俺は慰めることも出来ずにその様子を見ていた。だって俺が不甲斐なくて泣かせたみたいなもんじゃないか。そんな俺がどうやって慰めることができるだろう。


俺たちはユイの泣き止むのを待ってからシドに合流した。


「さっきのトロールのアジトを探すぞ。なにかお宝を隠し持ってるかも知れねぇ」シドはそう指示を出した。


俺たちはなんとかトロールのアジトを探し当てそこに侵入する。


中は簡素でワラで出来たベッドがあった。そして焚き火の跡がある。そばには薪も。


思ったよりも清潔にしているみたいだった。


「さっさとお宝を探せ!」松明を持ったシドがそう言う。


「こいつ金貨持ってんぜ!」カシムがそう言った。


「マジックアイテムもあるな。こいつ蓄えてんな」サムソンがそう言う。


俺はトロールのねぐらの一室に入った。


「ピピピピピピ……」なんとそこにはコカトリスのヒナがいた。ひょっとしてさっきのトロールが飼っていたのだろうか。



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