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アシッドスライム

「ムリだよ……ムリだって……」カシムが怯えて逃げ出した。「おい! 逃げるな!」叫ぶシド。「痛ーーいい!!! 死ぬ! 死ぬ!! 助けて!!」エリザベスが叫んだ。


「おい全員退却だ!」シドが叫ぶと同時にシドも逃げ出した。「シド……」エリザベスが呼びかけるがそれに目もくれずにシドは逃げ出す。


「逃げるよ。エリー!」ユイはエリザベスの肩をとり自分の肩を貸した。「逃げて! クロード!」後ろを振り返りながらユイは叫んだ。



俺の前に巨大なスライムが迫っていた。俺は後ずさりをした。


「ああああ……」サムソンの声が小さくなる。もはや虫の息だった。するとスライムは刺さった氷の槍をニュルリと吐き出した。そしてそのまま俺達とは反対の方にゆっくりと逃げていく。どうやらスライムも戦闘は避けたかったようだ。スライムはそのまま小さくなって見えなくなった。


「サムソン!!」俺はサムソンにかけよった。


「あっ……」俺は思わず目をそらした。全身が熱傷している。全身の鎧は所々剥がれ落ちて、服も溶けて焼けただれた皮膚と一体化していた。顔はと頭は特に酷くまぶたと鼻は溶けていた。顔全体の皮膚は剥がれ落ちて赤黒い肉が見えていた。酷すぎる……どうすれば……そうだ! 洗い流さないと!


「マジックウォーター」俺がそう唱えるとサムソンの体の下から巨大な水の柱が吹き出した。それはサムソンを空中に浮かせるくらいのものだった。それをサムソンの上空にも出現させて上下で挟むようにサムソンの体を洗う。

「ミニリヴァイアサン」

俺は水の龍を出現させた。サムソンの鎧や服をその龍の口で剥がし丸裸にした。


サムソンがなにか呟いているのが聞こえた。オレは一旦サムソンを地面に降ろして耳を近づけた。


「殺して……殺してくれ……」サムソンはそう言う。俺はその悲壮な声に顔を歪めた。


「駄目だ! まだ全てを尽くしてない! サムソン! 死ぬときは一緒だ!」俺は言った。


「ケルピー! 出ろ!」


俺が言うと空中に水が集まりそれが馬の形になった。それが焼けただれたサムソンのところに近づく。そしてそのケルピーはサムソンを自らの体に取り込んだ。水の馬であるケルピーの中で浮遊するサムソン。俺はケルピーの体に水で出来た肺を作った。ケルピーの体の左右にエラのようなものができ、それらがケルピーの肺まで繋がった。その肺からサムソンの口に空気を通す管が通した。ケルピーの肺を通して外気とサムソンの口と呼吸器を繋ぐ筒のようなものが出来る。バフッ……バフッ……エラから空気が供給され、ケルピーの肺が拡がりサムソンに空気が供給される。サムソンの胸も拡がる。それはまるで息をしているかのように、エラを広げたり閉じたりしていた。


「行こう。教会のヒーラーに治してもらうんだ」俺とサムソンを取り込んだ水の馬ケルピーはダンケルクの街までかけていった。


「ちょっとまって! クロードが来てない!」ユイが言う。エリザベスに肩をかして一緒に歩いていた。


「え?……クロード?」エリザベスが忘れていたかのように言う。


「あいつも逃げてるハズだ。逃げ足だけは早い奴だからな」シドが言った。


「サムソンどうなっちまったのかなぁ……」カシムが言った。誰も答えなかった。



「シド!」俺は叫んだ。


「クロードお前なにやってんだ!」シドが怒鳴った。


「ケルピーでサムソンを運んできた!」


「運んできたってお前……」


「え? え?! なにそれ! 馬の中に人が!……え? あぁ」エリザベスは叫んだ。


「サムソンだ。スライムの体液にやられた。教会で治してもらうために連れてきた」


「連れてきたってお前これ息できてねぇじゃねぇか!」シドが怒鳴った。


「ちゃんと呼吸出来るように管を通してある!」俺は言った。シドはまじまじとサムソン入りのケルピーを見た。


「よくこんなこと思いつくな……」とシドがつぶやく。


「気持ちわる……グロ……うわこの馬内臓スケスケじゃん」エリザベスは言った。


「サムソン!」サムソンと仲の良かったカシムが駆け寄る。「生きてるのか?」聞いてきた。


「かろうじて生きてる」俺は言った。


「良かった……良かった……」カシムは涙ぐんで言う。


「みんな急いでくれ! 俺の魔力はケルピーを維持するだけでいっぱいいっぱいだ。だからモンスターに襲われたら守ってくれ!」俺は言った。カシムがうなずく。シドは舌打ちした。


シドは「なにお前勝手に指示出してんだ……」とぶつぶつつぶやいている。



俺たちは教会に向かって走った。


「ユイ! 俺たちにファストスピードの魔法をかけて欲しい。できる限り早く教会に着かないと!」ユイはうなずいて魔法を俺たちにかける。


「ありがとう! ユイ助かったよ!」ユイはニコリと笑ってうなずいた。動きが速くなった俺達は途中ゴブリン数匹の群れに出会った。


「ゴブリンだ! カシム頼む!」目の前にゴブリンがいた。まだこちらに気づいていない。カシムは矢を放った! それはまるでバクチクのように空中で広範囲に火花を散らす! 驚いて逃げ惑うゴブリンたち! 「やったな! カシム!」俺は言った。カシムが親指を立てて笑顔でサインを返す。それを不満足そうにシドが見ていた。



俺たちは教会についた。教会の大きな扉を俺は叩く。するとシドが割って入ってきて言った。「すいません。怪我人です! 仲間なんです! 大怪我しているんです! 助けてください」俺は思わずシドの方を見た。シドはなぜかいきなり心配しだした。中からシスターが出てくる。


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