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シド! 言ってることが違うじゃないか!

「え? ちゃんと怪我した場合は無料でヒーラーに治療してもらえるって」


「はぁ?! それはちゃんとモンスターと戦った時の話だろ! モンスターと戦ってそれで怪我した時の話だろ! お前なんでもかんでも自分の都合のいいように解釈してんじゃねぇよ! 酔っ払い同士の喧嘩にギルドが金を出すわけねーだろ!」


俺はシドの言うことが信じられなかった。誰のためにあんな喧嘩をしたと思ってるんだ。死にかけたのに。



「でも、聞いてた話じゃちゃんと王宮ギルドのクランメンバーは無料で……」


「だからお前が勝手に喧嘩したんだろ! お前が周りの迷惑も顧みずに喧嘩したんだろうが! それなのになんでギルドから金出すんだよ!」


とシドは大声をあげた。待機所が静まりかえる。少しの沈黙のあと俺は言った。


「俺に勝負しろって言ったのシドじゃないか……命令したのはシドなのになんで」


「はぁ? 命令したのは俺? じゃあお前は命令されたらなんでもやるのか! 普段命令なんて聞かないくせに、その時だけは命令されたからやりました?! 随分都合いいな! 自分で判断して命令に従ったんだろ! オメェの自己責任だろうが!」


ユイのカードを持つ手が震えているのが見える。怯えているのか。ユイの持つカードがプルプルプルと小刻みに揺れている。どういうことなんだ。なんで俺を責めるんだ。


「どっちなんですか……戦えって言ったから戦った、でもそれはクランのみんなのためだったのに。戦ったことを責められるなんて、もう僕どうしたら良いのか」俺は絶望しながら抑揚のない喋り方で喋った。


「知らねーよそんなの。さっきからグチグチグチグチよぉ。命令に従ったら責められる? お前がいちいち口答えするからだろうが! 何でもかんでも人のせいにしてんじゃねぇよ! オイ! お前いまいくつだよ!」


「22ですけど……」


「22? 22なのにそんなガキみたいなこと言ってんのか?! 駄目だわ。今どきの若い奴らって。本当に駄目だわ。お前苦労とかまともにしたことねーんだろ? もう喋り方で分かるわ。甘やかされて育ったんだろ? お前」


待機所の他の冒険者の男がシドに近づいてきて小声で言った。


「あの……すいません。天空の大鷲のシドさんですね?」


「あ、はいそうですが」とシドは人が変わったように朗らかに喋った。


「あのぉあんまり大声で怒鳴ったりとかは……最近問題になってますので……クランでのイジメ問題が根深いって」



「心配おかけしてすいません。申し訳ないです! いや、ちょっと熱い思いが出ちゃって、こいつに変わって欲しいんですよ。いい方向に。でも本当にアドバイスありがとうございます。了解っす」とシドはにこやかにその話しかけてきた男と話して、その男は去っていった。どうやら俺を助けようとしてくれていたみたいだった。


シドは俺にニコリと笑っていう「なんにも言えねーなぁ。なに言っても問題だ、問題だって言われるんだから。怖いわ。こんなんじゃ人なんて育たなーけどなぁ」シドは笑って言った。


「クロードお前な、ヒーラーで治してもらうならちゃんと自分の金でいけよ。話はそれだけだ。分かったか?」


「はい……」


と俺がいうとシドは舌打ちしてカードをプレイした。俺はカシムのそばの席によろけるように座った。カシムが耳打ちしてくる。


「お前シドに謝っといた方がいいぜ」


「えっ?」


サムソンも耳打ちしてくる。


「お前なんであんな態度とるんだよ。生意気って思われても仕方ないぞ?」


俺は納得いかなかった。


「どうして?」俺は聞いた。


「どうしてったお前シド怒らせたらダメじゃん。分かるでしょ?」


「分からない……俺言ってること間違ってないハズなのに」


「だから駄目なんだよ。とにかく謝っとけって! 間違ってる間違ってないじゃなくて人を怒らせたらダメじゃん。分かる?」


「うん……」俺は憮然としながらサムソンの言うことを聞いていた。


みんなはカードをプレイしている。


「ちょっとトイレ行ってくるわ」とシドが言ったのを俺は聞き逃さなかった。


「ちゃんとごめんなさい出来るチャンスなんじゃねーかぁ。行けば?」カシムがそう言う。


俺はシドがトイレの席に立ったあと鉢合わせできるようにトイレのすぐそばに待機した。


シドがトイレから出てきた。俺は言った。「あの……シドごめん」



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