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勝つのは簡単だけど引き分けにしなきゃ

「おいしっかりしろ!」


口々に叫ぶ観衆。俺は驚いた。まさか攻めていたハズのヴィンセントがうつ伏せに倒れているとは。


ここで追撃すれば勝ちは確実だった。だが、俺は追撃しなかった。


勝ってしまう展開は最悪だ。メンバーが殺される。ヴィンセントはおもむろに立ち上がった。


そしてキョロキョロと目が覚めたように軽く周りを見回した。それを見て俺は悟った。あいつは意識を失ったまま攻撃していたんだ。


「チッ!」ガイウスが舌打ちするのが聞こえた。


「オイ、オメェら! ちょっと待て! 静かにしろ!」ガイウスが叫ぶと観客は静まり返った。


ガイウスが近づいてきて俺に耳打ちした。


「お前、手を抜いてるんじゃねぇだろうな?」俺に聞いた。俺は真っ青になった。



「お前あんまり舐めたマネしてると両方とも殺すぞ」と耳打ちして輪の中に帰っていった。


全部ガイウスにバレてるようだった。鳴り止まない歓声。俺の手の内は封じられた。


引き分けをしてなんとか痛み分けにしようという魂胆が封じられた。どうすれば……


ガイウスは輪の中に戻り手下に耳打ちした。


「引き分けなら全員であの二人を殺せ」


「アニキそれは……」


ヴィンセントは突撃したきた。パンチが俺に当たる。血しぶきが飛ぶ。大きな歓声があがった。


俺もヴィンセントの顔めがけてパンチを繰り出した。強烈なパンチでヴィンセントがのけぞる。俺たちは立ち止まったまま打ち合った。


みるみるうちに両者の顔が血に染まる。ヴィンセントが俺の腹にミドルキックをした。顔を歪めて受ける俺。


しかし、俺はすかさずその足を掴み引っ張った。バランスを崩し倒れるヴィンセント。


俺はマウントを取り頭上からタコ殴りにした。ボゴン! ボゴン! ヴィンセントはたまらず俺の腕を掴み足で俺を蹴りつけた。


そしてヴィンセントはマウント体制から逃れる。俺たちは息を切らしながら立ち上がる。ヴィンセントも俺も疲労困憊だった。


突然、ヴィンセントが突撃してきた! 俺が右パンチで迎え撃つ。それをヴィンセントはしゃがんで避け、俺の腹にパンチをした。ボゴン! 

俺の腹にクリーンヒットする。オエッ……俺はおもわずゲロを吐く。ピチャピチャと地面に落ちるゲロ。


観客から笑いが起こった。


「きったねーなぁあいつ!!」


「吐いてんじゃねーぞお前!」


「ヴィンセントもっとやれ!」


「ゲロまみれにしてやれ!」


「うっ……」俺がゲロを吐くのを見てなぜか勝負を見ていたユイもオロロロ……とゲロを吐いた。


「大丈夫? ユイちゃん」エリザベスが心配する。「おうぇ……」ユイがまだ吐く。


俺は口を拭った。


「ゲロ吐いてんじゃねぇーよ。汚えなぁ」ヴィンセントが言った。


「フン!」俺は鋭くヴィンセントの脇腹をえぐるようにパンチした。ガボッ……ヴィンセントの口からもゲロがこぼれ出る。「汚いのはお前もだろ」

すると観客がワーーーー!! っと湧いた。


「ふっざけんな! お前!」ヴィンセントは突撃してきた。俺は集中する。そして右のパンチをヴィンセントに繰り出した。


すんでのところで避けられたが俺はヴィンセントの髪の毛を掴んだ。すかさず俺はヴィンセントの顔に頭突きをした。


鼻血を出して倒れそうになるヴィンセント。だが踏ん張り俺の顔面にパンチを入れてきた。俺も吹っ飛ぶ。お互い顔面血まみれになりながら俺たちは殴り合う。


俺の右パンチがヴィンセントを吹き飛ばした。するとその吹き飛ばされたのを利用してヴィンセントは後ろ回し蹴りを繰り出した。


ヴィンセントの背中が見えて必殺の一撃がくるその瞬間俺も後ろ回し蹴りを繰り出した。空中で交差する蹴りと蹴り。バグン! と音が鳴った。俺たちはすぐさま距離をとる。


「おおおおお!!!」と観客から歓声が上がった。


「すげぇ! あの色黒の奴も負けてないぞ!」


「やるじゃねぇか! あいつら!」


「あいつも結構すげぇじゃねぇか!」口々に声援が聞こえる。


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読んでいただいて、ありがとうございます!


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「面白い!」


「ざまぁが見たい!」


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