死闘!!
すかさずヴィンセントは追撃した。倒れている俺の顔面めがけてパンチを繰り出してくる。ブオン! 凄まじい音がする。俺はすんでのところで避けた。
地面に激突するヴィンセントの拳。痛みに顔を歪めるヴィンセント。俺はそれを見逃さず下半身を起こしヴィンセントの顔に蹴りを入れた。
クリーンヒット! ヴィンセントはのけぞった。そのタイミングで俺は全身を起こす! 距離を置いて睨み合う両者。
「やば……油断してた」俺は興奮気味につぶやいた。本当に油断してた。勝負はもう始まっている。
俺は意識を切り替えられなかった。勝負が始まった以上、油断は即死を意味する。俺はようやくそれを理解した。俺は意識を集中させた。
ヴィンセントは右でパンチを繰り出した。俺はそれがやけにスロウに感じた。俺は右手でパンチを払う。手が痺れる。ヴィンセントは驚いたように俺を見た。
ヴィンセントは精悍そうな見た目とは裏腹に動きは遅かった。これは当たらない。ミランダが叫んでいるのが聞こえる。
「男たちってなんでこんなにバカばっかりなんだろうね。ただ殴り合いたいだけじゃないか!」
ジャンヌとの修行を思い出す。俺は思い出していた。
ボコン! ジャンヌのパンチが当たる。ジャンヌのパンチは素早くそして重かった。まるで隼の一撃だった。
「目をつぶるな。相手のことをよく見ろ」ジャンヌは良く言っていた。
「相手の動きを予測しろ。目線筋肉の動き。相手がなにを考えているかまで読み取れば体が自然と避けるようになる!」俺はジャンヌの言葉を思い出していた。
ズバン! 凄まじい風圧のヴィンセントのパンチを紙一重でかわす。一瞬ヴィンセントの背後が見えたかと思いきや、後ろ回し蹴りが飛んできた。
ブォン! 巻き込まれそうな程の強風が俺を襲う。それも紙一重でかわす。ブォッ! またパンチが飛んできた。
このタイミングだ! 俺は反射的に右腕が動いていた。スパン! 鋭く俺のパンチが入る。
ヴィンセントの顔から血しぶきが吹き出した! 俺はヴィンセントの腹にパンチを入れた。ヴィンセントの体がくの字に曲がる。
追撃を……駄目だ。これ以上は……ヴィンセントは胃液を吐いてお腹を抑えている。そして俺の方を睨んだ。
まるで視線だけで人を殺せるような狼の目だった。まさに手負いの狼だった。俺は思わず後ろに引いた。
すぐさまヴィンセントが呼吸を整えた。そして矢のようにこちらに飛び出してきた。しかし!
それに合わせて俺がヴィンセントにカウンターを決めた! 強烈な衝撃が俺の肩まで伝わる。入ってしまった。
「しまった!」俺は思わず口に出してつぶやいた。
勝ってはいけない。負けてもいけないのなら、俺は引き分けなきゃいけない。そう思ってなんとか耐えていたが、思わず右カウンターを入れてしまった。
のけぞるヴィンセント。意識を失ってるのは明らかだった。全身から力が抜け白目を剥いていた。
俺は思わず追撃しそうになったが、無理やりパンチを止めた。
ヴィンセントが後ろに倒れそうになったが、足を踏ん張りなんとか持ちこたえた。ほぼ無意識の動きのようだった。
足がガクガク震えながら白目で俺を睨むヴィンセント。こういう状況の奴に追撃をくわえてはならない。俺は直感的にそう思った。
そしてヴィンセントは自らの構えを変えた。今までは拳を握りしめたファイティングポーズだったが、今はまるで両手にナイフを握るかのようなポーズに変わっている。
周囲に一気に殺気が満ちた。まるで引力を持つかのような殺気。その佇まいから俺は確信した。
ヴィンセントは多くの人を殺している。それも強敵ばかりを。人を殺した人間は独特のオーラをまとう。
決して普通に生きている人と交わらない、人であって人ではないオーラ。まるで中身に狼が宿っているかのような。
ヴィンセントは体を低くしてまるで地を這うようにこっちに向かってきた。
「アニキあいつなんだか雰囲気が……」俺とヴィンセントの戦いを見ていたガイウスの部下が聞いた。
「あぁ。あいつはヴァンパイアハンターだったんだ」
「え? ヴァンパイアハンター? 吸血鬼専門の殺し屋ですか?」
「あぁあいつはその中でも一番の凄腕だった。だが、仲間とトラブルを起こしたみたいでな。にっちもさっちもいかなくなってた状況で俺が拾ったんだ。掘り出しもんだよあいつは」
ヴィンセントは俺の胸目がけて頭突きをしてきた。俺は避けることが出来ずに思わず両腕をクロスさせて体を守る。
うぐぅ……しかしズシンと体に衝撃が走った。するとヴィンセントの右拳が弧を描くように俺の左頬にヒットした。一瞬途切れる意識。
と思いきや、次の瞬間左フックが俺の右頬にヒットした! キィーーーーン! と頭の中で音が鳴る。俺の頭の中は真っ白になってそのキィーーン! という音以外なにも聞こえない。
俺はとっさにヴィンセントを突き飛ばし後ろに飛んでひいた。完全に意識が絶たれた。自分かもはやどこにいるのかも分からない。ただ倒れたら、弱みを見せたら追撃されることだけは分かっていた。
「おい、立て!」
「さっさと続きをしろ!」
怒声が突然聞こえた。消えかけた意識が戻る。
ハッっと俺は意識を取り戻した。地鳴りのような怒声。凄まじい熱気。目の前にはヴィンセントが倒れていた。
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