黒龍団との争い
オロロロロ……と食堂の床にゲロが巻き散らかされる。それを見て「キャァ!」と女性店員が叫んだ。
「殺してやるよオメェ!」とそのスキンヘッドが店内に響き渡る声で叫んだ。騒然とする店内。
「やっちゃったよ。やべぇよ。やべぇ……」ヤバいと繰り返しつぶやくカシム。
「逃げた方が良くないか?」とサムソンが言った。スキンヘッドの男はビールジョッキを手に持ちそれをシドめがけて振り下ろした。ヒラリと軟体動物のように避けるシド。
「お前!」とそのスキンヘッドがまたジョッキを横薙に降ると足元にゲロがあったようでズルッ! と滑ってコケた。ガシャーン!
その男がコケる際にテーブルを掴み、食事などが置かれていたテーブルもひっくり返った。
「ガイウス大丈夫か?」
「おいガイウス!」部下と思われる人間が口々に叫ぶ。
「お前やりやがって……」ガイウスと呼ばれたスキンヘッドの男はおもむろに立ち上がる。
「あんたら何やってんの! 喧嘩だったら外でやりな!」先程シドをひっぱたいた女性店員が大声をあげて注意した。
「ミランダさん!」女性店員がそのミランダの胸に飛び込む。
ミランダと呼ばれた女性店員は「喧嘩をやめるか。外でやるかどっちかにしろ!」と叫んだ。
「女は黙ってろ!」とシドが叫んだ。
「なに!」ミランダは叫んだ。
「お前誰殴ってると思ってんだよ。おめぇ死んだぞ。俺は天空の英雄シドだぞ」とシドは言った。
「天空の英雄……」ガイウスは少し動きが止まった。それを見てシドはニヤリと笑った。
「ふざけんじゃねぇ! お前が先に喧嘩売ってきたんじゃねぇか!」ガイウスが叫んだ。
「じゃあ買わなきゃいいだろうが! お前が買っといて文句言うんじゃねぇ! 返品不可だぞコノヤロー!」
ここで少しガイウスは考えた様子で
「おいあいつ何言ってんだ」と部下に聞いた。
「アホだってことは分かるんですが、言ってる内容までは……」と部下が耳打ちし、ガイウスはシドを睨んだ。
「あいつ確か王族ですよ。殺しちまったら面倒くさいことになりますよ。流石に王様敵に回したらヤバいでしょ」と部下がガイウスに言う。
「おいおいなんだぁ? ツルツル。ビビっちまったか? 仲間に土下座の仕方でも教えてもらってんのか?」シドはガイウスに詰め寄った。至近距離でにらみ合う。
「なんだとテメェ!」ガイウスも負けてない。
俺は「もうそこら辺で喧嘩はやめにしませんか? 他のお客さんに迷惑だし、喧嘩両成敗で……」とその二人のそばに立って取り持つと
ボコン! と俺の顔にガイウスの裏拳がヒットした。鼻血を出して倒れる俺。俺が倒れたのと同じタイミングで両方のクランのメンバーが飛び出してガイウスとシドを止めた。
「アニキ流石にやめといた方が」
「シドやめようよ!」
「うるせぇ! 止めるんじゃねぇ!」
メンバーがお互いの体を盾にするように羽交い締めにして止める。他の客も騒然とした店内に怯えていた。
「あんた大丈夫?」ミランダが鼻血を出している俺をしゃがんで覗き込む。
「あ……あぁ大丈夫……です」
「あんたすっごい鼻血出てるよ」
俺が鼻を触ると手にべったりと血がついた。
「あぁ本当だ」なんだか俺は他人事のように冷静だった。
「これで血を拭いて」そう言ってミランダは真っ白なタオルで俺の血を拭いてきた。
「あ、ありがとう」タオルが血で染まる。
「アニキ! もうやめましょう。リーダー同士がやり合ったらただの殺し合いになりますよ」とガイウスの部下が叫ぶ。
「おいどうした。かかってこねぇのか! 弱虫!」とシドが叫ぶ。
「おい、どうすりゃ良いんだ! このまま舐められたままで終わねぇぞ」とガイウスが羽交い締めにされながら部下に聞いた。
「誰か代理を立てましょう。そいつに戦わせるんです。そしたら団のダメージは一番少なくてすみます」と部下が言うとガイウスは顎に手を当てて考えた。
「おい。シドとか言ったな。本来俺らはメンツにかけて団総出でお前らを皆殺しにしなくちゃいけねぇ。だが酒の席で酔った挙げ句に殺し合いってことになったら世間の笑いものだ。互いに一人づつ選んでそいつに喧嘩させる。これでどうだ?」とガイウスが聞いた。
「どうだって、はぁ? なんで俺がお前の言うことを聞かなきゃいけねぇんだよ!」
「じゃあ俺の軍団とお前の軍団、総出で今ここで殺し合いするか?」すると黒竜団のメンバーがゾロゾロとガイウスのもとに集まった。
総勢100人くらいだろうか。到底殺し合いをして勝てるような人数ではない。俺たちが一方的にリンチされて終わりだろう。
その人数を見てシドが怯えたようになる。
「おい、ヴィンセント!」とガイウスが言うといかにも抜け目のない精悍そうな若者がガイウスの前に歩み出た。
「お前この酒場でのマナーが悪い王族さんにマナーを教えてやれ」とガイウスが言うと黒龍団はドッと笑った。
「おう分かった。良いだろう……おいカシム! 出てこいカシム!」とシドが言ったが返事が無かった。
「おいカシム!」
「あのーすいません。お連れの方の男性2名の方が急に親戚が亡くなったらしく店を出られましたが……」と女性店員が言った。
「はぁ?……親戚が急死? あいつら……使えねぇ。おいクロード! お前だ。出番だぞ!」
俺に声がかかった。するとミランダの血の気が引くのが見えた。
「おいおめぇら! 外に出るぞ! ステゴロでの一対一の殴り合いだ!」とガイウスが言うとウオーーー! と叫び声にも似た歓声が上がった。
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