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なんか豊満な胸を押し当てられたんだが……

「えっ?」


あまりのことに呆然としていると、その女は


「あの、仲直りしたんですか? お腹大丈夫ですか?」と言って俺のお腹をさすってきた。その女性は際どい服装をしていて、もう少しで乳輪が見えそうな服装をしている。


俺は突然のことだったのでバッチリと胸の谷間を見てしまった。思わず目をそらす俺。


「あの私心配で……凄い喧嘩だったから。私のお店で休んで行きませんか?」


「えっ? お店?」なんのお店だろうか。誰ですか? と聞こうとしたが失礼になりそうなのでやめた。


「私そこの酒場で働いてて、でお兄さんに来てほしいなぁって。あ、全然営業とかじゃないんです。一緒にお酒飲んでくれるだけでいいので……さっきのカッコ良かったから……」


シドは吹き出したようにフッっと笑った。


「オネェちゃん。俺は? 俺は駄目なの? こいつより金持ってるよ。俺。クランのリーダーだし」とシドは言った。


その女性はシドの言うことをまるで無視して、俺の方を色っぽい視線で見てきた。


「丸坊主ってカワイイ」と言って俺の頭を撫でてきた。俺はなにがなんだか分からずにその女性のするがままに任せる。


「あの私ジルって言います。お名前なんて言うんですか?」その女性が聞いてきた。


「あ、あ……クロードです」と言うとその女性は目を剥いて驚いた。


「え? 私の初恋の人の名前もクロードで……嘘……え? これ絶対運命の人だって……」


と言って目をハートマークにしながら、更に俺の腕に胸を押し付けてきた。そして勝手に俺の手を握る。シドも呆然と見ていた。


「あの握手してくれてもいいですか?」ジルはそう言った。


「あ……はい」俺は空いている右手をジルが握手出来るように差し出す。ジルはその手を見るとクスリと吹き出して言った。


「あの、そうじゃないんです。冬至の祭りの握手って普通の握手じゃなくって……」するとジルは胸の谷間を見せつけるように人差し指で服を引っ張った。


「冬至の祭りはここに手を入れて握手するんですよ」と言って胸の谷間を乳輪がギリギリ見えるか見えないかぐらいに見せつけて言う。


冬至の祭り……! そういうことだったのか……! 握手の意味とは。俺は震えた。俺は産まれて初めて握手の本当の意味を知った。


俺は赤面しながら震える手で胸の谷間と握手しそうになる。すると


「はうあ!」俺は思わず叫んだ。視界の端にユイの姿を確認したからだ。ユイはこっちを見て目を見開き、まるで汚物を見るような目で見ている。


なぜだ。なぜなんだ。どういうことだ。俺の頭がパニックを起こした。なぜあんな目で見られなきゃいけないんだ。俺が悪いのか? 明らかに巻き込まれたのに? 


俺はもう一度ユイの顔をチラリと見た。やはり俺の顔を睨んでいる。俺は差し出した手を引っ込めジルの肩を優しくポンポンした。


「その握手、ちょっと僕には早すぎるみたいですね。またの機会にお願いします」そう言うとジルは残念そうな顔をしている。


「あの私ここの通りでお店やってるので絶対来て下さいね。スイートホエールって名前です」と言って俺の左手を両手で包むように持った。そしてジルがなかなか離れないので


「あ、あの……」と言ったらやっと離れてくれた。


「絶対来てくださいね」そう言ってジルはその場から去っていった。



「おいお前ら。ここにいると色々絡まれるからな。場所移して飯食いにいくぞ」シドは俺たちにそう言って俺たちは食堂に移動することになった。


食堂に行く道中で俺の隣にはユイが歩いていた。なんだか気まずい。なぜだろうか。


「なんだか凄いね冬至の祭りって……」ユイが両手の指先を合わせてモジモジしながら言った。


「いやぁ……俺もビックリしたよ。色んな人がいるんだね」


ここで二人の間に気まずい沈黙が訪れる。なんとか話題を探そうとするとなにも思いつかない。黙ったまま二人並んで歩く俺たち。


俺は口を開いた。


「あの……ありがとう」


「ん?」不思議そうな顔でユイは俺を見上げる。


「昼間、俺がシドに怒られていたとき、俺をかばってくれて。本当に嬉しかった」俺はユイにそう言った。


「うん。そうか。じゃあ私いい事できたんだね」と言ってユイはニカッと笑った。


「それにさっきのことも……」


「さっきっていつ?」


「俺が的に当てる前に頑張れって応援してくれたじゃん」


「あ、聞こえてたんだ。気づいたら声に出しちゃってて、迷惑だった?」


「ん? いや迷惑じゃなかったよ。あそこ観客が沢山いてさ。なんだか緊張してたんだ。大きな声出す人もいるからさ。だから応援してくれる人がいるのが嬉しかったんだ」


「うん……そか……」


「ユイのそういうところって助かってるよ。気を使ってくれるところ。いつかありがとうって言わなくちゃいけないって思ってたんだ。ありがとう」


ユイは驚いたようにこっちを見たあと、少しうつむいて顔を赤らめながら


「うん。どういたしまして」と言った。


「なんかクロードって真面目そうなイメージがあるから意外だった」


「え? 意外ってどういうこと?」


「女慣れしてそうにない感じというか……でもやっぱりクロードも男の子なんだね」とユイは残念そうに言った。


「えぇ? 男の子なんだねってどういうこと? なんか妙に納得してない?」


「あ、ごめん。でもクロードすっごい鼻の下伸ばしてたから」とユイは少し怒り気味で言った。なぜユイが怒るんだろうか。俺は不思議に思った。


「鼻の下は伸ばしてなかったと思うけどなぁ……」


「でもさっきの人も言ってたけど、クロードの坊主姿結構可愛いよ。ナデナデしていい?」ユイはニコッと笑って俺に言った。


「えっ? ちょっと……」拒否することも出来ず俺はユイに坊主頭を撫でられた。


「あ、自分で剃ったんだね。さっぱりしたね」


「あ……うん……」俺は思わず頬を赤らめる。なんだかいちいち触られると恥ずかしい思いがする。


「そういうのやめてくれるとありがたいんだけど」恥ずかしさのあまり俺は言った。


「えっ? そういうのって?」


「だから、頭触られたらなんだか変な気持ちになるから、やめて欲しいんだけど」俺は恥ずかしさのあまり言った。


「ちょっ……その反応やば……ぐふぅ……」とユイはなんだか変な返事をした。


「?」俺はユイを見たがなんだか口を抑えて笑いをこらえていた。


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