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こんなはずじゃなかった

最初胸糞展開ですが、追放されてから主人公褒め、ざまぁ展開になります

9話からざまぁ、主人公アゲが少しずつ出てきます


「それでは第123回アルカディア魔法大学首席卒業生を発表いたします。首席卒業生はクロード君です!」


校長が大声で発表した。


それと同時に大勢の人の拍手が鳴り響く。


俺は照れくさそうに校長のいるところに向かった。


校長のところに向かう際に多くの同級生から声をかけられる。


「クロードやったな!」


「おめでとう!」


「やっぱすげぇなお前」


「お前だと思ってたよ」


俺はその声に手を振り照れくさそうに応えた。


拍手をしているその中には俺の一番の親友であるジャンヌもいる。


壇上に上がり俺は表彰状を受け取った。


「おめでとう! 君は当校始まって以来の天才だ。その才能を世に活かして欲しい!」


鳴り響く拍手。


俺はその拍手に手を振って応える。


「クロード君から在校生、卒業生に一言」


校長はそう言う。


俺は大声を張り上げ言った。


「この大学で学んだこと、そして与えられた力を使って、多くの人々を助けていきます。みんなありがとう!」


するとまた大きな拍手が鳴った。


卒業式の後、大学の中庭で俺はジャンヌと一緒にベンチに座っていた。


多くの学生が名残惜しそうに雑談をしている。


「卒業したらどうするんだ?」


ジャンヌが聞いてきた。美しい黄金の髪。雪のような白い肌。


まるで恐ろしささえ感じる美しさ。それをジャンヌは持っていた。


ジャンヌは女だった。


男らしい喋り方をしているがそれは何よりも俺に心を許しているからだ。


「王宮直属クランで働く予定だ」

俺は答えた。


「あの天空の英雄がいる王宮クランか。流石だな。ただお前には物足りないんじゃないか?」

ジャンヌはいたずらっぽく笑った。


「そんなことないよ。あのクランは実力者揃いらしいからね。あそこで働けるなんて幸せだよ。ジャンヌは?」


「私? 私か? 私は王室に帰るつもりだ。本当はギルドに入りたかったが、父がどうしても許してくれなくてな」


「そりゃ王女様がギルドになんか入ったらみんなびっくりするでしょ」俺は笑った。


ジャンヌもつられて笑う。


「お父さんは正しいよ。それにジャンヌが大切なんだよ。嫌だったら王室を抜け出せばいい」


俺はふざけて言った。


「しばらく会えなくなるな」


ジャンヌが口を開いた。


「また会えるよ。きっと。ジャンヌは本当の友達だもん」


「クロード。いつか私を迎えにきてくれるか?」


ジャンヌは言った。俺は思わず赤面する。俺はジャンヌの手を取り持ち上げた。


そしてジャンヌの瞳を真っ直ぐに見つめて言う。


「ジャンヌと出会えて良かった。たった一度きりの人生の中で君に出会えて良かった。産まれてくるタイミングを間違えたらジャンヌに出会えなかったんだから」


と少しふざけて言ったら、ジャンヌは笑ってくれた。


俺も笑いながら真剣な目でジャンヌを見つめて言った。


「笑うなって。本当なんだ。ジャンヌがこの世界にいるだけで、この世の全てを肯定できる。ジャンヌと出会えて本当に良かった」


俺はまっすぐジャンヌの目を見つめ赤面しながら言った。


ジャンヌは頬を赤らめ笑って言う。


「私もそうだ。お前がいるこの世界に産まれてきて良かった。お前は私の誇りなんだ。お前と出会えたことが、そして同じ時間を過ごしたことが、全て私の誇りだ」


ジャンヌは感極まったようにそう俺に告げた。


俺は赤面しながら深くうなずいて言う。


「ジャンヌ。お前こそ俺の誇りだ」



俺は強い雨に打たれていた。靴の中がぐちゅぐちゅに濡れて気持ちが悪い。


全身が雨と汗でビショビショだ。俺たち6人はうっそうとした森の中、そして土砂降りの中、歩いていた。


「おいゴミ! 聞いてんのか!? オメーだよクズ! クロード!」


王宮直属クランのリーダーであるシドが怒鳴りつけてきた。


シド……王宮直属クランのリーダー。年齢20後半の男だ。髪の色は白で短髪で気も短い。日常的にパワハラとセクハラを繰り返す。天空の英雄らしい。


その能力は人にはあまり見せない……シドがいるだけでなぜかその場の空気がギクシャクする。そんな特別なオーラをまとっている。


「は、はい!」


「オメーがゴブリンの群れを見たって言ったから俺たちこんな中、土砂降りでよーーなぁ」


「はい」


「聞いてんのか」


「はい……」


俺たちはそこから無言で歩いていた。


「あぁっ!」


と言ってエリザベスは尻もちをうつ。ぬかるみで足を滑らせたみたいだ。


メンバーはそれに気づかないのか、エリザベスを無視してそのまま通り過ぎる。


「あの……大丈夫?」俺はエリザベスに声をかけた。


「手を貸そうか?」と言って俺は片手をエリザベスに差し伸べる。


「手を貸そうかってあんた! そんなこと言ってる間に早く起こしなさいよ!」


エリザベスが何故か俺に怒鳴った。



エリー……本名エリザベス。炎の魔術師。みんなエリーと呼んでいる。彼女は数多くのクランを崩壊に導いてきたクランクラッシャーだ。人の陰口、噂話が好きでクランの空気を悪くするのが得意だ。


いかに男を騙して自分の味方に引き入れるか、そんなことばかりしている。彼女がいるとクランは最終的に内部から崩壊する。


シドと恋仲っぽい。本人はよく美しい花には毒があると自分を正当化する。でもそんなこと思ってるのは彼女とその取り巻きだけだ。



「あ……うん」そう言って俺はエリザベスの腕を掴み起こす。


「もうやだぁ。お尻濡れちゃったじゃない! もうどうすんの! これ!」


エリザベスはそう言って俺を睨みつけた。


「シドに少し休憩するように言おうか?」俺は提案する。


「そんなことしたら余計帰りが遅くなるじゃない! あんた何言ってんの!」


「うん……」俺はうなだれた。


エリザベスはそう言って歩き出した。


しかし、右足首をひねったようで足を引きずっていた。


「あっ……エリー大丈夫? 足引きずってるよ」


「うっさいなぁ……もうさっきから」


「ほら見せてみて」


俺は土砂降りの中エリザベスの前にひざまずきエリザベスの右足首を両手で包むように持つ。


そして魔法を唱えた。


「癒やしたまえ」ポワっと光がエリザベスの足首を包む。


「これで少しはマシになったと思う。でも本格的な治癒魔術じゃないからね。帰ったら教会のヒーラーに見せた方がいい。それにエリー靴が合ってないんだ。靴も変えた方が……」


俺がそう言いかけるとエリザベスは治った右足で俺の肩を蹴ってきた。


「はぁ? 靴を変えた方が良いってあんた何様よ。あんたに言われる筋合いないじゃん。それに、勝手に右足触らないでよ! 誰が治して欲しいって言った? 変態でしょ? あんた」


そう言うとエリザベスはシドたちに遅れないようにスタスタ歩いていく。


足首はどうやら治ったみたいだった。


対応が間違ったのかもしれないが、結果的には良かったのだろう。


俺はそう自分に言い聞かせてシドのいるところに向かった。


「本当に見たのかよ。見間違えだったらお前なぁ」


しばらく歩いていると、シドはそう言って俺を睨みつけた。


俺はシドの目を見つめる。


確かに俺はゴブリンの群れを見たとは言った。が、追いかけると言ったのはシドのハズだ。


「でも、追いかけるぞって言ったのは団長ですよね」俺はゴニョゴニョと語尾が消え入りそうな声でやっとのことそう言った。


「あぁ?! なにお前? もっぺん言ってみろ! 聞こえねーんだよ!」


シドは低い声で怒鳴る。俺は怯えたようにビクッと体をこわばらせた。他の王宮クランのメンバーは薄ら笑いを浮かべている。


「腹から声出せ!」


「はい……」


「てかな、お前その髪うっとうしいな」シドは俺の顔をチラッと見てからそう言った。


「はい……」


「切れよ髪」


「はい……」



シドはそう言うとつまらなそうに前を向いて歩き出した。


クランメンバーからバカにしたような笑い声が聞こえてくる。


「おいあれトロールじゃねぇか?」


カシムが声を上げた。



カシム……クランメンバーの弓使い。遠距離から魔力を秘めた矢を打つ。ウッドエルフの生き残りらしいが本人は否定している。性格と身のこなしは軽い。つまりシドの腰巾着。



草むらと木々の向こうに巨大にうごめくトロールが見えた。どうやら一匹で行動してるみたいだ。雨の中泥を体に擦り付けて遊んでいる。


「一匹か?」


「あぁ。あの化け物なにしてんだ」


「きったねぇな。泥を体中にぶっかけて遊んでんだ」


「シド。どうする?」


「受注したグレーターデーモンはいそうにねぇなぁ。あいつで我慢しておくか」


シドは少し考えた後言う。


「カシムは高台を確保しろ。弓矢のフォローが出来る位置にな。サムソンと俺はあいつに突撃をかける。ユイとエリーは距離をとって支援しろ。いつものパターンだ」



サムソン……盾役の騎士。全身重装備でフルフェイスの兜をしており、めったに顔を見せない。凄いイケメンか凄いブ男かクランのメンバーの中でも諸説ある。つまりシドの腰巾着。


ユイ……彼女はヒーラー。精神的にもクランの癒し役だ。彼女がいるとみんなホッとする。エリザベスと仲が良いみたいでいつも一緒にいる。だが、エリザベスと一緒にいる時の彼女の笑顔を誰も見たことはない。



「クロードは……」そう言ってシドは俺をチラリと見た。


「行くぞ」



そう言うとトロールに向かって歩き出した。


「えっ? ちょっとシド……」




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