その六十一 その男、新しい刀を抜く。
やってきたのは数人のぷれいやぁと思しきやつら。
しかし一人だけ、感覚が違う者がいるが……。
「よぉ、悪いんだけどさぁ、ちょっと装備くれねぇかなぁ?」
直球に言ってくるな。数は……足音で目の前のやつを合わせて五人か。
なるほど、その場で逃げれば即座に後ろの二人が攻撃するということか。
「お前じゃあ扱い切れねぇだろぉ? だからよこせよ、なぁ?」
相手が刀に手をかける。もはや問答無用に奪い取るつもりなのだろう。
「結構。貴様なんぞにくれてやるほど、この刀は安くはない。それにどのみち、俺の持ち物すべて奪うつもりなのだろう?」
「話が早くて助かる! じゃあ死んどけ!」
しゃん、と刀を疾く抜いた。
驚いた。これは居合か。だが、俺の身長を甘く見たな?
「ぬんっ!」
「なにィ!?」
その場の一閃を屈んで避ける。俺の胸元に届くはずだった剣はその場で空を裂く。
そのまま地面に手をつき、両腕をぐんと伸ばす。
腕の力で俺の体を後ろに下がらせる。できるかやってみたが、なんとかできるようだな。
「てめぇ、舐めたマネを……」
「舐めてなどおらぬさ。実際こうでもしなければ後ろから斬られるなり撃たれるなりするだろう?」
そう言って俺は飛んできた小刀を刀で受ける。鈍い音と共に足元に苦無が落ちた。
「ほら。こんな感じにな」
「っ、てめぇら、やれっ! 姿を見せなきゃこっちのモンだ!」
そう言った後、横の草むらから火球が飛んでくる。避けて発射した所に駆けていき、移動する前に別の刀で横薙ぎに一太刀。
「ぎゃあ!?」
「そこか!」
顔辺りを斬ったと思ったが、思うところに当たったか!
そのまま返す刀で相手を袈裟がけに斬る。それでも浅いと思った俺は今度は正面に突く。
いつもの俺の刀では相手にトドメを刺すには至らない。倒すとなればそれ相応の刀が必要であるらしい。
マサムラ殿に打ってもらったこの刀は、頑丈さだけでなく、その切れ味も鋭いものであった。
空色地獄正村:ランクS
攻撃力+50 防御力+20 会心ダメージ+50%
製作者:マサムラ
織晴鉱をベースに地獄素材を練って作られた刀。
普通の刀より頑強さを主に作られている為、切れ味は良くないが、その分、相手の急所に当たれば地獄の閻魔が心臓に杭を打つことだろう。
ふれぇばぁてきすと、なるものはよくわからぬが、とにかくなんだか凄い刀であることは分かる。
峰はあの地獄の空のような黒仕上がり、刃は燃えるような赤色。俺が生きていた時代にあったのであれば、これは妖刀と呼ばれるようなものであったろう。
名前に関してはちょっと不吉なものを感じるがまあいい。
さておき、手応えからどうやら相手を倒すことができたようだ。姿を隠していたものが青い砂となって消え去った。
「流石マサムラ殿。よい仕上がりの刀を作ってくれた」
今までの刀と、この空色地獄。
この二本でたたかっていこうではないか。




