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幕末武士が転生したら和風VRMMOの世界だった件  作者: 嫁葉羽華流
第一章 ~その男、剛力なり~
52/64

その五十二 其々、日常に帰る。

まいど同じく、16600PV突破です。本当に大感謝です。


そしてやっとこさ第一章エンディングです。

Side:ひいらぎ 宗介そうすけ


「んあーっと……疲れたァ」


運営チームの一人、柊宗介は椅子に腰掛けながら背伸びをした。

たった今、一人のプレイヤーのアカウント停止とブラックリスト入りの通知をした後だ。


理由は初心者に対して【経験の書】の不正搾取と他プレイヤーへの嫌がらせ、妨害を行った事、そしてなにより禁止されているチート、ハックを行ったことだ。


数十年前にVRMMOの基盤となるデータが発見、配布されてからというもの、どこもかしこもVRMMOの運営に着手している。宗介が運営しているヤマトオンラインもその一つだ。


基盤となるデータはあちこちで配布されていたため、これを元にしたハック、チートも横行している。他のVRMMOではそうならないように特別監視チームが組まれているのだが、ヤマトオンライン運営にはその監視チームが人員不足のため存在しない。

運営用のアバターはあるが、そう頻繁にログインできるものではない。


「だからって主任に丸投げするかねふつー……」


――ま、面白いやつなら雇ったがね。


今回のブラックリストとアカウント停止もその雇った人物の目から録画したものだ。

そしてその結果からさらに興味深いものが分かった。


「しかし、他のゴーストが居るってのと、土方歳三の転生者ねぇ……」


普段なら眉唾もので、かつ精神病院に行ってくることをすすめそうだが、あのプレイヤーの年齢と体格、そして経歴をちょっと調べれば納得できた。


しかし宗介はもっと気がかりなことが残っていた。


なぜヤマトオンラインにはネットゴーストがやってきているのか。

そして運営の解析にもかからないチート。


「もちっと調べる必要がありそうだなぁ……あー眠てぇ」


~~~~


Side:ひいらぎ 心陽こはる 久屋ひさや 伝吉でんきち ???


「「だっはぁぁ~~~~~…………」」


市立銀杏台ぎんなんだい高等学校、2-Aにて、心陽と伝吉は机に突っ伏していた。


「疲れた……」

「まだねみーんだけどぉ……」


【新選組】であの後山本がニュウドウに詰め寄ったのだが、結局は詳しいことはわからず、それでもなんとか問い詰めようとしたところでなんとか二人がなだめてとめたのだった。

その後もぶつぶつつぶやいている山本をなだめるために前回と同じくプリンをなんとかおごってなだめていた。

結果、気疲れを起こしていた。


「というか、山本さんどれだけ甘いものに目がないんだろ……バーチャルだからって食べすぎじゃないの……?」

「つか俺眠すぎて今日の授業起きてられる気がしねーよ……【新選組】からの事情聴取もあったしよー」

「頑張んなさいよ伝吉……起きてなきゃ一時間目の国語、萩先生だからぶっ叩かれるよ……」

「ぢぎぢょぅ……あ」


伝吉が「そういえば」といいながら起き上がって、


「心陽、今日うちのクラスに転校生がやってくるらしいぞ」

「転校生? まぁ、まだ5月だし、そういうこともあるだろうけどさ」

「いや、その転校生ってのが先生達が話してたんだがよ、どうも前の学校でいじめられてたらしい」

「ってことは、不登校ってこと? よく2年に上ってこられたね」

「年齢的に問題がなかったのと、成績はよかったんだと。あと授業については自宅学習とリモートでやってたらしい」

「へー」


そんな話をしていると、担任の先生が入ってきてホームルームが始まった。


「今日は突然だが、転校生を紹介するぞ。どうぞ、入ってきてくれ」


担任がそう言って促すと、おずおずと入ってきた人物に男女問わず「うおう」と声を上げた。

教卓より少し高いくらいの身長に、腰まであるつややかな黒い髪、そして目を隠すくらいまで伸ばしてる前髪。

静かに入ってきた彼女は、言ってみれば怖い市松人形のような人物だった。


「名前は望月千代さん。両親の都合でこの学校に転校してきた。みんな、仲良くするようにな」


「望月、話せるか?」と担任が促すと、こくり、とうなずいた。


「も、望月もちづき、ち、千代ちよです。よろしくおねがい、し、します」


精一杯頑張ったのだろうが、蚊が鳴くような声で言われたので全員がぽかんとしていた。

しかし伝吉と心陽はこの声に覚えがあった。



その後休み時間の時に千代を捕まえた伝吉と心陽。


「ごめんね、望月さん。ちょっと聞きたいことあるんだけどいいかな?」

「もしかしてよぉ、望月ってVRMMOしたりしてねぇか? ヤマトオンラインっつーのをさ」

「は、はい。……え?」


千代もそこで伝吉と心陽に心当たりがあったようだ。


「も、もしかして……ハルさんと……デンさん?」

「やっぱりチョメちゃんかよぉ!」「チョメちゃん私達と同い年だったんだ!」

「お、お二人がこの学校に居たなんて……ちょっと、嬉しいです。あ、も、もしかして山本さんも?」

「いや、山本センセはヤマトオンラインでしか知り合ってねぇ。だろ、心陽?」

「え、あ、うん。そうだね」


流石に心陽は山本がインターネットゴーストであることを言っていないので、とりあえず「ヤマトオンラインで知り合った人」として話していた。

千代は少しうつむいて、その後にぐすぐすと泣き始めた。

「え!?」「ちょ!?」

「うっ……ぐす……っ」

「ち、チョメ……じゃなくて、望月さん!?」

「な、なんだどーした!? 腹でもいてーのか!? なんか悪いもんでも食っちまったのか!?」

「あんたみたいな拾い食いとかするわけ無いでしょこのバカ!」

「バカじゃねえだろ心陽! それに拾い食いは3秒までならセーフだから!」

「だからつっておとした牛乳すら飲むやつがあるか!」

「牛乳飲まなかったら流石に牛さんにしつれいだろーが!」

「液体まで飲むなって話なんだよこのバカタレ!」

「うっ……ぐす……ちがうの……そうじゃ、ないの」

「え?」「ん?」


千代は二人に向かって笑顔を向け、


「知ってる……人が居て……安心、して……私、嬉しく、なっちゃって……」

「望月……」

「私……あのゲームで……山本さんから勇気を、もらって……だから、頑張って……学校に、行ってみようって、思って……でも、来てみたら、やっぱり、怖くって……」


容姿のおかげで馬鹿にされたり、いじめられたりしたのをとつとつと話す千代。

ただそれを二人はじっと聞いていた。


「望月さん……大丈夫?」

「……ちょっと、つらいけど。大丈夫、です。急に、泣いたりして、ごめんなさい」

「大丈夫だぜ望月! うちのクラスにゃあ新入りをいじめるようなやつは居ねえし、それにそんなやつが居たとしてもうちのクラス総出でシメにかかるから安心しろ!」

「基本男子は馬鹿ばっかで、女子も女子で脳内お花畑だったりするからねぇ……」


心陽は千代の手をそっと取った。その手はかすかに震えていた。

きゅ、とやさしく握りながら、千代に言った。


「望月さん……じゃなくって、千代ちゃん。安心して、なんて気軽には言えないけど……それでも、辛くなったりした時には、私達がついててあげる」

「おう! どんなことがあったって、心陽と望月は俺が守ってやるからよ! 安心しておけって話だぜ!」

「正直伝吉は心配だけど、ま、こいつはやるときにはやるから」

「んだとゴルァ!」


また言い合いが始まって、千代はその様子を見ながらふふ、と笑った。

そしてこの場にもしも山本が居たらどうするか、と思い、そして、


「あ、あの、ふ、ふたり、とも。そろそろ、次の授業、はじまっちゃう、よ?」

「え!」

「あ、しまった! 次実験室じゃねえか! 急がねえと!」

「ちょっと伝吉急ぐわよ! チャイム鳴り始めてるじゃん!」

「うおばばばばばばば!!! 急げえええええ!」

「千代ちゃんも! ほら、行こう!」


心陽は千代の手をとって、実験室へと進んだ。


「うん」


今取ってるこの手を、離さないようにと。



第一章 ~その男、剛力なり~ 


終劇


というわけで第一章はこれまでとなります。


次回はおまけというかちょっとしたデータ参照回になるかもしれません。備忘録みたいなものですし、ひょっとしたらツッコミどころが多いかもしれません。


そこはまあまあ、生暖かい目で見ていただければ、幸いです。それでは。

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