その四 その男、巫女を助ける
視点が惟高さんではなく三人称になります。
なってると……いいなぁ。
そしてここでようやっとVRMMOの世界の説明が。長いなぁ。
どうしてこんな事になった。
柊心陽……ハルはそう思いながら必死に鬼……【ヘルオーガ】の攻撃を耐えていた。
VRMMO……フルダイブ型和風オンラインRPG『ヤマトオンライン』。
和風の世界観と、美しい衣装やかっこいい装備が大量にあるという話を聞いて、幼馴染と一緒に始めたゲームだ。
だが、このRPGの民度は総じて悪い。
日常的に罵詈雑言が飛び交い、通報からのアカウント停止なんてのはよくあること。
アイテムドロップは倒したPC全員に配布されるのだが、このアイテムを同じ種類合成すると品質が一つ上がるのだ。
レア度が高いものは同種が集まりにくいため、PKが横行している。運営もレア度の高いものをそう出すこともできないのだろう、度々警告やPK常習犯のアカウントを停止したりしているが、ゲームギアを一度初期化してアドレスなどを変えてしまえばまたPKができる。
あとは出会い系目的でリアルの情報を知ろうとしたり、クラッキングを仕掛けてきたりするやつも居るんだとか。
だが世界観や風景がとても作り込まれていて、それを見るためだけに購入した人も多い。
そしてPKされて心折れる人も同じくらい存在している。
ハルはそんな後者のプレイヤーであったのだが、同じようにゲームのセンスについてもそこそこあるつもりであった。
今回もアップデートの新エリアである【地獄ヶ原】というエリアが開放されたというので見に行こうと思い、幼馴染も誘って行こうとしたのだがその幼馴染が時間を過ぎても来なかった。
そのため、フリーのパーティと一緒に混ざって行ったのだが、そのフリーパーティが素行の宜しくない連中だった。
エネミーのトレイン(※わざとヘイトを集めて大量のモンスターをなすりつける行為。もちろん迷惑)をしてこちらになすりつけてきた。
目的は追い剥ぎだろう。自分の装備はそこそこ良いものに仕上げている。とすれば、その装備を剥ぎ取るなり、売り払うなりすればお金になる……と考えたのだろう。
とんでもない迷惑だ、とハルは【ヘルオーガ】の攻撃をしのぎながら思った。
もちろん、これをしてきた奴らの思うようにはさせないつもりだ。
ハルの職業は【陰陽師】。他のゲームでいうところの賢者に当たるポジションである。
レベルも50台、なんとかはなるだろうが……。
「流石に、きつい……!」
詠唱をする暇も無く、ただ相手は棍棒を振るってくるのだ。同レベル帯の為、一撃でも喰らえば死に戻りするかもしれない。
「せめて【侍】がいれば……」
ないものねだりをしても仕方ない、とにかくここをしのいで早い所エリアの入り口にたどり着かなくては……そう思っていた。
その瞬間、ヘルオーガの動きが止まった。
「へっ……?」
システムのバグか、あるいは遅延か。
ハルは思考を巡らせたが、そのどれもではなかった。
首が、へし折れていた。
しかもそれをしたのは小柄の胸が大きい幼女。
それを【ヘルゴブリン】が持っている棍棒でへし折ったのだ。
「うっそでしょ……!?」
確かにヤマトオンラインでは『敵の武器をつかって敵を倒す』という戦法もある。
しかしそれをするためには敵から武器を奪い取らなければいけないし、敵を倒してしまったら武器は同時に消失してしまう。
おまけに敵の武器は脆いのだ。
そのへんの木の棒で大木を叩き折るようなもの。それを目の前の幼女はやってみせたのだ。
「ふう……怪我はないか、巫女殿……」
幼女は零れそうな胸を揺らしながら近づいてきたと思ったら、途中で止まった。
「お、お陽……?」
「へっ?」
ひとまず、連続投稿はここまでとなります。
一週間毎に出していく予定ではありますので、どうぞよければお付き合いをお願いいたします。
したらば。