その四十四 デン、山本の戦いを見る。
なんとびっくり、11500PV突破です。本当に感謝しかないです。
今回は前回何が起こっていたのか、デンくん視点でお送りしています。
前の三人称はガチで間違いでしたので……いつか手直しする……かもしれない。
拙いものですが、本編をどうぞ。
すげえ。と俺――デンは思った。
ハルが割り込んで、山本センセの盾になって、あっという間にロストしてしまった。
散らばった装備品は、どうやら山本センセが自動取得しているようだから、あとで返してくれるだろうしな。
その場に座り込んで、ハルが居た場所を呆然と見つめるセンセ。
そして容赦なくぶった切ろうとするトッキー。
状況はやべえ。俺もセンセの盾になるべきだ……そう思って走ろうとした時だ。
「――おおおおおおお!!!」
VR越しだってのに……いや、VR……拡張現実だからこそ、なのかもしれねえ。
センセは、大声で吠えた。
斬りかかろうとしていたトッキーってやつはその大声で一瞬ビビって振りかぶった刀を止めていた。
俺は情けねえことに、足がすくんだ。ビビっちまったんだ。
姿はただのちっこい褐色銀髪巨乳幼女だってのに――。
その時のセンセはまるで、鬼みたいだった。
「あああああああ!!」
「なんだァっ!? 急に動きが!」
あの動きはまさに透明になってたプレイヤーを叩きのめすときの動きだった。
流れるようにして通常だったら相手を動けなくするような急所をぶっ叩いてる。だけどヤマトオンラインじゃそもそもそいつはちょっと無理がある。
確かに『部位欠損』っていう状態変化はある。でも、それをするにはそういう能力を持つ武器か術で攻撃するしかねえからだ。
でも動き止めの場所を狙うのは悪いことばかりじゃあない。
なんせその場所を叩くことはなれてなきゃ動きが制限されるからだ。
例えば、足の前にあからさまにぶつかっても痛くなさそうな棒があったら、邪魔だから飛び越えようとしたり、避けたりする。
だけど、棒のスピードが早くて、足が棒にあたったら普通とまってしまう。
進もうとすると進めなくなる、そんな感じになる。
「や、山本さんっ、落ち着いて……っ!」
「うおあああああ!!」
って、センセったら背中に女の子背負ってるじゃねえか!
今の調子でしがみついてたらあの子落っこちるぞ!
「おい! こっちだ! 飛べ!」
「っ、はいっ!」
女の子を受け止めてちょっとよろけて転んじまう。カッコわりぃ。
だけど本格的な乱戦になる前に山本センセから引き剥がす。じゃなきゃどんなことが起こるかわからねえ。
女の子が背中から居なくなった途端に、センセの速度がぐん、と上がった。やっぱしこの子を守りながら今まで渡り合ってたんだ。
やっぱり山本センセはすげえ人だ。リアルならきっと名のある剣術家なんだろうな。
「あ、あの、山本さんは……」
「センセなら大丈夫さ。きっとな」
「いいや、どうだろうねぇ」
後ろからオキタさんが話してくる。
「見る限りあの山本って子、初心者装備だろ? 対するトッキーは強い防具で固めてる。初期装備がいくら破損しないとはいえ、攻撃力が最低のもので硬い防具を抜くのは難しいよ」
「……たしかにそうっすね。普通だったら無理ゲーっスよ、オキタさん」
だけど。
「山本センセは、ただのプレイヤーじゃねッス。あの人はやべーんスよ」
思わず顔がにやけてしまう。なんせトッキーがセンセがわざと見せた隙に引っかかってる。
「ガムシャラにっ、つっこんで来やがってっ! 動きがクソ荒れえぞガキがっ!」
相手が前に見た漫画の剣客のポーズをしながら突っ込んでくる。
センセは初心者装備だ。熟練者の一撃なんて食らったら一発で死ぬ。
だけどセンセは強い。きっとアレをなんとかするはずなんだ。
「無念示現流――」
ガシャリ、と刀を反転させて、峰を下にする。
居合をするみたいに刀を後ろ半身に持っていく。
トッキーが振りかぶって山本センセを叩き切ろうとした。
その瞬間。
「――刃々斬!!!」
相手の刀に向かって、山本センセは己の刀を振り抜いた。
その瞬間、トッキーの刀はあっという間に砕け散った。
「――は?」
「すげええええ! やっぱ山本センセはすげええええ!」
「ち、ちょっとまって? 刀を狙って攻撃したってことかい?」
「そうとしか考えられねッスよ! あの呼吸の応用ってことかな? あとでセンセに聞くッス!」
「いやいや……確かに意図的に刀を攻撃して、耐久値を0にするやり方はあるけど、だからといって狙って一撃破壊なんて……」
オキタさんがなんか言ってるけど気にしねえ!
その後はもうすごかった。
織晴鉱を手に入れる時に見せてもらった『破竹』で相手をふっとばして、
その後動けなくなるように相手の周囲をぐるぐる回りながら攻撃する『草薙演舞』というやつでトッキーの身動きをとれなくしていた。
サブ刀をとりだそうとしていたみたいだけど、そもそも腕が動かせねえしでトッキーはとにかくガードするしかなかった。
VRだからつっても、目の前に棒切れが迫ってればビビっちまう。どんなにしててもビビらねえのは多分、それこそガチの剣客とか、上位ランカーくれえじゃねえかな?
そうしてじりじりとトッキーのHPを削って、防具を叩き壊して。
山本センセは、トッキーに勝利していた。




