その四〇 その男、万事休す
なんとびっくり9000PV突破です。本当に大感謝しかありません。
――やっと、一発!
やっとの一発を当てることができた……が。
「――それだけか?」
「っ!」
トッキーは何事もなかったかのように立っている!
やはり浅かった!
やっとの思いで一発を当てることはできたが、いかんせん相手が硬すぎる!
足や肩、筋を狙っても効果がないならば、頭か首を狙うしかないというのに……!
決定的な隙でもあれば狙えるだろうが、それを出してくれそうな相手ではない!
「いくらぶっ叩いても壊れねぇからおかしいと思ったんだ。それ、初期武器だな?」
「……だからどうした?」
「そんなヘボ武器じゃあ俺の体力なんざ1ミリも減らねえってことだよばぁぁぁか!!」
体力、というのは分からんがおそらくそれが自らの命を指し示していることは明白だろう。
相手にある、ということは当然こちらにもあるということだ。
そして俺はまだこの煉獄の掟をいまいち理解していない。
獄卒相手にするのはやっているが、人相手の経験がまるで足りぬのだ。
そんな相手……トッキーはこの煉獄において人相手の経験が多いのだろう。
型なんぞない、しかし相手をとにかく傷つけるという方面においては有用な攻撃が次々に打ち込まれていく。
がむしゃらに、素早く刀を振るうトッキー。その一発一発がやたらに重い!
一撃でも触れれば俺の体力がどうなるか分からぬ。故に防ぐしかない、のだが……!
「残念だったなァクソガキ! さっさとそこの役立たずを置いて逃げればよかったのによぉ! テメーもそいつも、道連れだァ!!」
「ぐ、ぬ……!」
くそっ、一発が重い上に受けるだけで精一杯だ!
破竹も撃てぬ、攻撃はできぬ、防ぐ一方! なんと窮屈な戦いか!
「山本さん……!」
チョメ殿が不安そうな声を出している。
確かにチョメ殿を捨てればすぐにケリをつけることはできよう。
だがそれはいかん。チョメ殿に約束したのだ。
もう見捨てぬ、と。
武士として、男として、チョメ殿を捨てるような戦いはできぬ! どうすれば……!
「そらぁ!!」
「ぐっ!」
不意の蹴りをなんとか防ぎ、一時的に距離を取る。
呼吸を整え、霞下段(※刀の柄を頭の横にし、刃を相手に向ける構え。通常は上段で目を狙う構え方だが、下段……つまり刃を下に向けている状態)に待ち受ける。
対するトッキーは余裕そうにこちらを見つめている。
まるでお前などいつでも殺せるといったような目つきだ。
生きている頃に何度も見た、弱者をいたぶる目つきを、トッキーはしていた。
「そろそろトドメ、いっとくか……」
ざ、と手を正面に向け、刀を後ろに構える。
やはりアレにはなにかある。だが……!
「死ねェ! クソガキいいいいいいい!!」
くそっ、時間がまるで足りぬ! ここまでか……!
せめてチョメ殿だけでも逃さねばならぬ……! そう思い、後ろに引いた時である。
「山本さんっ!」
聞き覚えのある声が、後ろから響いてきた。
それと同時に、トッキーが突っ込んできた。
※【霞の構え】について
霞の構えは一応調べて『顔の横に柄がやってきて刃を相手の正面に向ける構え』がそれとなっています。
一応このお話にて『霞下段』となっていますが、本当の呼び方はわかりません。申し訳ございません。
ですので、一応このお話の中では霞下段はこんな感じ、とさせていただきます。あしからず。




