その三十九 その男、一太刀入れる。
気づけばもう8500PV……ありがたいことです。
この調子で書き進められたらと思います。
あと熱中症と脱水症のダブルパンチを食らってしまい、一日ダウンしたりしていました。一応回復はしたので問題はないでしょうけれども……みなさんもお気をつけください。
今、何が起きたんでしょう――
私……チョメは背中にしがみつきながら山本さんの先程の挙動を見ていました。
攻略wikiにおいても、技を跳ぶ……というか、蹴って避けるなんて芸当をするのは一部の上位ランカーの人くらいしか居ないとのことでした。
というか、上位ランカーもそのような化け物じみたことができるというのが驚きでしたけど……。
技の出の速さにおいては、《空牙》はトップクラスとのことでした。
それを山本さんは私を背負い込みながら空中で技を蹴って避けた。
普通のゲームでもフレーム回避(※ここにおいては通常状態から回避行動に移る数秒の間の出来事。およそ0.2秒とされている)といった技術はありますけど。それもボタン操作とかでのこと。
弾丸のように出てきていた《空牙》を、山本さんは跳んで、それもダメージが通らない場所を狙って跳んだということになります。
トッキーさんは唖然としながらも、次の動作に移ろうとしていました。もちろん、山本さんも迎撃の準備に入ります。
山本さんは先程から回避やガードに専念していて、おそらくは自分から攻撃行動に移れません。
これは私をかばいながら戦っているからだと思いました。
ですが、ここで私が離れて、それこそ入り口で立ちふさがっているニュウドウさんに捕まったりしたら……。
山本さんは、トッキーさんになぶり殺しにされてしまうでしょう。
こんな時、非力な私が嫌でした。思わず下唇を噛んでしまいます。
せっかく助けに来てくれたのに、私が足手まといになって……!
「山本さん」
「なんだ、チョメ殿」
「もういいです。私、一旦死にます」
足手まといになるくらいなら、私はここから消えたほうが良い。
死んだとしても、リスポーン地点に戻るだけ。そうなれば山本さんの足手まといにはならない筈。
「駄目だ」
「どうして! 私がいるから、山本さんは全力を出しきれてないじゃないですか! きっと山本さんはすごく強いんですよね? だったら――」
「俺は!」
山本さんは私の言うことを大声で遮って、刀を上段に構えます。
「俺は、一度チョメ殿を見捨ててしまった。その結果としてチョメ殿が不幸に会ってしまったのは俺の責任だ。俺がチョメ殿をこれ以上泣かせぬ。故に案ずるな。俺に任せよ」
はっきりと。私に聞こえるように、山本さんはそう言い切りました。
「俺に任せろって……お前、ロールプレイにノリすぎだろ! 馬鹿じゃねえの? 足手まといくらいさっさと切り捨てればいいのによぉ!」
「貴様と同じような外道に堕ちたくはないのでな。それに、痩せても枯れても、武士は武士だ。己の言ったことは曲げぬよ」
「じゃあ死になァ! 《空牙》ァ!!」
トッキーさんが《空牙》を連発してきました。
まるで映画に出てくるガトリング砲のように、一発一発が飛んできています。
山本さんはそれを右へ、左へ、時にはしゃがんだり飛んだりして距離を詰めていきます。
「のっ、クソガキ……!」
「先程から技を見せすぎだ。その程度ならば底が知れるというもの」
そう言って山本さんはトッキーさんの《空牙》後の硬直を狙って。
ついに。
トッキーさんに一発ダメージを与えることができました。




