その三十一 女児巫女、助けを願う。
5200PV突破……本当に感謝しかありません。
今回もまたちょっと別の人視点。
書いててわかる弥七ポジとかの重要さ。
――私はきっと、運がないんだろうな。そう思った。
「おい、新人。なんかあいつに言ったりしたか?」
「い、いえ。何も」
「ならいい。強くなりてぇんだろ?」
私はうなずいた。
「ならおら、あれをとっとと出せ。また死にたくはねえだろ?」
「……はい」
私は巻物を取り出して、ギルマスに渡した。
それを貰ったギルマスは、他のみんなに渡していく。
VRMMOに興味を持って、最初にやろうと思ったのがこの『ヤマトオンライン』だった。
内気であんまり人とも馴染めず、運動もおしゃべりもそんなに得意じゃない私は、同学年の友達ができなかった。
いじめられるのは、時間の問題だった。
給食に虫を入れられたり、机に落書きなんていうのは、もはやテンプレとしかいいようがなかった。
だけどまさか、みんなの財布を盗んだ犯人に仕立て上げられるとは思わなかった。
誓って言うけれども、私はそんなのやってない。
クラスの中でも人気の子が、『私が気に入らないから』という理由でやったらしい。
学校が嫌になって引きこもるようになった私は、リアルよりもバーチャルの世界に逃げようと思った。
それで選んだのが『ヤマトオンライン』だった。
格好良くモンスターを斬ったり、動物と触れ合ったり、魔法でみんなをサポートする……。
そんな世界に行けたら、と思った。
自分を変えられたら、と思った。
だが結果はどうだろうか。
私はここでも、結局誰かからいじめられるのだろうか。
【南蛮組】というギルドに強引に誘われた私は、ここでギルドメンバー強化のために【経験の書】を提供させられていた。
【経験の書】というのは他のゲームでいうところの経験値アイテムだ。
始めたばかりの私は、その【経験の書】が一定の時間までたくさん支給される。
【南蛮組】の人たちはそれを欲しがって、私を勧誘して、【経験の書】を欲しがった。
それを拒んでいたのだけど、拒んだら戦闘エリアに飛ばされてキルをされてしまった。
怖かった。
目の前で刃物を持って、いきなり首を飛ばされるのだ。
ゲームだからと言い聞かせているけれども、感覚はないけれども、それでも怖かった。
あんな恐怖を味わったのでは、この人達に逆らおうとは思わなくなった。
強くなりたい。
でも、ここでは強くなれない。
逃げ出したいけど、逃げ出せない。
ログアウトをして逃げ出そうと思っても、何故かギルマスは私の住所を把握していた。
本名もわかっていた。
『逆らったらどうなるかわかるよな?』
なんで? どうして?
そんな言葉がずっとぐるぐると回っていた。
そんな中、一番最初に出会ったあの子……。
『この山本五郎左衛門惟喬。いついかなる時も、そなたを助けに行こう』
「なら、助けてよ……」
私の言葉は、誰にも聞こえない。
そうつぶやいていると、どうやらギルマスとサブマスのニュウドウさんがなにか話しているのを聞いた。
「なぁぁ、トッキー。いつまでやるんだぁぁ?」
「あ? どういうことだよニュウドウ」
「こぉんかいはいってきた新人だぁ。まぁた潰すつもりかぁ?」
「るっせぇ。てめぇ俺に意見するのかニュウドウ。ええ?」
「相手は新人だぁ。セリザワに負けたのがぁ悔しいのはわかるがぁ……」
「だったら黙ってろよ。 殺すぞ」
「トッキー……」
「あんのクソ野郎、ぜってぇチートを使ってやがる。だったらこっちも応戦だ……ククク、見てろよセリザワァ……次のレイドが楽しみだぜ……」




