その三十 その男、女児巫女の声を聞く。
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鍛冶屋に通じる道から出てきたのは、それはそれは大きい体躯の大男だった。
武僧のような出で立ちをしたその男はゆっくりとした足取りで……しかしその一歩は俺の今の俺の五歩はあるだろう幅で……こちらへとやってきた。
「おぉお、トッキぃぃ。すまねえぇなぁ、遅れちまってよぉ」
「おせえよニュウドウ! 時間はしっかり守れってあれほど言ってんだろ!」
「だぁどもぉ、オぉラんところはぁ……」
なにか間延びした喋り方をするニュウドウと名乗る者が【南蛮組】の首領……トッキー殿と話している。
やれ「りあるが忙しい」だとか「時間が守れなきゃれいどの参戦権を」とか話しているが、俺にはちんぷんかんぷんだった。
まあいい、その間にちょっと聞いてみるとしよう。
「巫女殿。最初に会ったときに置いてけぼりにして申し訳なんだ」
「い、いえ。私も止められませんでしたし……」
「いや、このままでは俺の気が収まらぬ。なにか困ったことがあれば、遠慮なく言ってくれ。この山本五郎左衛門惟喬。いついかなる時も、そなたを助けに行こう」
「あ、ありがとう、ございますね」
やはりうつむきがちだ。なにかあったのだろうか。
……む?
「ちっ、まあいい。オラ、行くぞお前ら! 今度こそ【新選組】のやつらをギャフンと言わせてやるからな!」
「トッキぃぃ。その言い方はぁ古いぞぉ」
「るっせぇ!」
どやどやと騒ぎながらマサムラ殿の工房から出ていく【南蛮組】の者共。
それについていくようにして、巫女殿がせっせと歩いていく。
さり際にぺこっとお辞儀をしていったのが、印象的だったが……。
「忙しい者たちだったな……」
「というか山本さん、あのロリっ子巫女ちゃんと知り合いだったの?」
「ろり……? まぁ、最初にエドに入った時に会うてな。くえすと? を一緒にしないかと誘われたのだが……その」
「私を見つけて一目散に走っていった、と」
「め、面目ない。……それにしてもあの巫女殿と【南蛮組】とやらは……似つかわしくないな」
「やっぱりそう思う? 私もギルドの名前を聞くまでいい噂を聞いてないからさ」
「どのような奴らなのだ?」
「チンピラみたいな奴らさァ」
工房からマサムラ殿が出てくる。若干その顔は不機嫌そうにしていた。
「ユーザーの店に行ッて、通報スレスレの嫌がらせ行為をしたり、レイドボス戦じャあ他のプレイヤーの邪魔をして上位を取ろうとしたり、気に入らないプレイヤーをトレイン行為で潰して、その装備を剥ぎ取ッていく……そんな奴らさァ」
「ううむ……やっている事の殆どは理解できぬが……おおよそやくざ者と変わりないではないか」
「ん。そしてそのアタマのトッキー。こいつがまたつええのさァ。【新選組】の局長と打ち合ッて互角ッていう話だしねェ」
「あの新選組の局長とか……」
ううむ、かなりの凄腕と思っていたが、よもやそこまでか。
いや、それよりも気になるのは巫女殿だ。
「『なら助けてくださいよ』、か……」
小声であまり聞き取れなかったが……巫女殿はたしかに助けを求めていた。
って、あ。そうだ。
「巫女殿の名前を聞きそびれていたな……」




