その二十八 ハル、珍客を倒す。
しまった……どうせやるなら前回最後に匂わせておけばよかったなぁと反省。
それはそれとしてもう少しで4500PVだそうですよ?
「――――っ!?」
こうなるってことはつまり他に誰かが居るって事になる。
足音はしなかったってことだから使ってるのは【音消しの足袋】かな?
「いきなり攻撃を仕掛けるなんて、ちょっと危ないんじゃないかなっ!?」
とにかく後ろを取られないようにマサ姉の工房に背をつけて【盛々】を唱える。
【盛々】は【陰陽師】が使える回復呪文だ。失ったHPを一気に回復できる。
……というか一撃で8割持っていくの!? 相手どれだけ殺意があるんだよ!?
あ、いや脆い【陰陽師】ならそれくらい行くかぁ……。
そして見る限り姿が無い。気のせいかなとも思ったけど、そんなはずはない。私のHPバーが減ったのとMPバーは【盛々】分で減ってるからね!
「となると……こうかな!?」
相手はチーターで、しかも『透明化』もつかってるとみた!
ならちょっと手加減なしでやってみようかな? あとでマサ姉には謝っておこう。
「【龍炎】!」
目の前に炎の渦が急に現れる。【龍炎】は火球よりかちょっとMPコストが高いけど、ちょっとした範囲攻撃ができる術だ。ただし大きさも広さも術士の身体くらいが限度で、クソ術とも呼ばれた。
だが、それはまだこのゲーム提供時初期の話だ。
「さらに【風拳】!」
【風拳】は進行方向をある程度操ることができる、風の固まりを射出して相手を吹き飛ばすっていう術だ。
吹き飛ばして障害物に当ててダメージを稼ぐ、っていうのが普通の使い方なんだけど、ここでやるのはそれじゃないんだよね!
私が狙うのは【龍炎】でつくった炎の渦の横!
「【風拳】! 【風拳】! 【風拳】! 【風拳】っ!」
風をどんどん送り込んでいって、近づけさせないようにしていると見せかける。
風は炎の渦の近くを回転させるようにして放っていく! そうすれば……!
――目の前にでかい炎の竜巻が出来上がるってわけだよ!
「先に攻撃してきたのはそっちだからね……手加減はしないよ! 【向風】!」
私は次に向かい風の突風を放つ。成長した炎の渦はこのくらいじゃびくともしないけど、立ってる私は結構キツイ。壁を背にしていても目を開けるのが難しいくらいの力に調整している。
「く、そっ!? うわああ!?」
どうやら私を攻撃してきたやつは生み出した炎の竜巻に飲み込まれたようだ。
HPバーが壊れて消えてしまった。
もっていた装備が散らばりそうだったので、急いで炎の竜巻を消しにかかる。
「【流水】!」
竜巻の根本に水をかける。これで消えるはずだけど……あ、あれ? 消えない?
「おかしいな……【流水】! 【流水】!」
……やっべ、消えねえ。うーん。成長しすぎちゃったかなぁ……?




