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リーゼ

ちょっと更新に時間がかかってしまいました。なかなかモチベーションが上がらなくて。それで、みなさんにお願いです。どうかブックマークをお願いします。よろしくお願いいたします。

う~、


まだ頭も痛いし気持ちも悪い。


どのくらい気を失っていたんだろうって。


あれ、たしか、俺が気を失ったのは岩肌の崖の前だったよな。


なんで、こんな茂みの中に居るんだ。


ま、いいか。


しかし、可愛かったな。


リーゼって言ったっけ。


ちょっと痩せていたけど、彼氏とかは居るのかな。


って、なんてことを俺は考えているんだ。


今はかなりの緊急事態なのに。


でも、ちょっとぐらい現実逃避をしてもいいよな。


だってここはラスベニア領って言ってたぜ。


なんだよ。領って。


だいたいの意味は解るけど普通、国だろ国。


それか市とか町とか。


空から落ちて、今までのことを踏まえて考えると。・・・・


結論としては、別の世界って考えた方がよさそうだな。


でも、まさかな。


そんなことはライトノベル小説の中だけだろ。


でもな~。


日本には、っていうか、世界にもあんな服装の人いないし。


居るとしてもアマゾンとかの秘境に住んでいる原住民族ぐらいしか。


あ、でも、たしかこの前見たテレビでは、普通にプリントTシャツを着ていたよな。


それを考えるとまず、服装からしてありえない。原始時代みたいだ。


あ~でも、リーゼって、金髪で可愛いなぁ。


タクトはリーゼの顔を思い出し、顔を赤く染めた。


って違う違う。


なぜか言葉が通じるし。


俺は英語を話せないし。


いろいろ考えると俺が知っている世界とは矛盾だらけだ。


ということは、ここが別世界だと仮定して、どうやってこの世界から元の世界に戻るかだ。


あ、ちょっと待てよ。


最悪じゃんか。


東京に戻ったら、この超能力をフルに使って野望を達成しようと思ったのに。


なのに何で俺は今、別の世界に居るんだよ。


例えば、パチ○コに行ったら球が減らないじやん。勝ちまくりだね。


お小遣い稼ぎにちょうどいいし。


(タクトはまだ17才だからパチ○コには行けません。)


それに、強風に合せてスカートめくりも出来るし。


(それは犯罪です。)


もっといっぱいいろんなことが出来たのに~。


タクトは落胆している。


タクトはいろんなことを考えてへこたれているとリーゼが戻って来た。


「どうかしましたか?」


「いや、なんでもないです。」


邪な考えをしていたタクトは作り笑いをした。


「タクト様。どうかこれにお着替えください。それと、荷物はこの袋にお入れください。」


「ちょっとリーゼさん 聞いてもいいですか。」


「はい。何でしょう。」


「やはり村の皆さんは、リーゼさんが着ているような服を着てらっしゃるのですか。」


「ええ、それが普通ですが。」


「やっぱりそうですか。わかりました。着替えます。」


タクトはその場で着替え始めた。


リーゼは恥ずかしいのかタクトに背中を向けた。


「リーゼさん、着替え終わりました。」


「はい。それでは私の村にご案内します。」


「あ、そうだ。ちょっと待って。」


タクトはリーゼを引き留め、リュックからおにぎりを取り出した。


「なんですかそれは?」


「これはおにぎりって言うんだ。」


「え、それってまさかお米ですか。」


リーゼの目はキラキラと輝きだした。


「この海苔を巻いて食べるんだ。はいどうぞ。」


「え、いただいてもいいんですか。」


「どうぞ、どうぞ。普通のおにぎりだから。」


「あの~、この黒いのは何ですか。」


「それは海苔だよ。」


「のり?」


「そう、海の海藻を干しもの。」


「うみ?かいそう?」


リーゼは聞いたことが無い単語が出て来て頭の上にクェッションマークが出ているようだ。


あ、ヤバい。ここは違う世界だった。


「ごめん。ごめん。今のは聞かなかったことにして。とにかくおいしいから食べてみてよ。」


「は、はい。いただきます。」


リーゼは海苔に噛み付いた。


「ん。何ですかこれ。なんか口の上にくっ付きますね。」


「あははは~。良くある良くある。口の中が乾燥していると海苔が上にくっ付くんだよね。」


「ちょっと気持ち悪いです。」


「そうか。」


タクトはリュックからコーラのペットボトルを出して、栓を取った。


「はい。」


タクトはコーラをリーゼに渡した。


「え、なんですかこれは?」


あ、まずい。


つい、いつもの癖で妹に渡すかのようにリーゼに渡してしまった。


しかも、よく考えたらコーラって。


今、ここで出すのはだめだよな。


でも、出しちゃったから仕方がない。


「ちょっと口に合わないかもしれないけど、飲んでみて。」


リーゼはヒロシから見たこともない容器に入った黒い飲み物を勧められ、かなりためらったが、命の恩人の言う事を断れる訳が無く、恐る恐る口に少し入れた。


「うえ、なんですか。これ、なんかピリピリするんですけど。」


「やっぱり、そんな飲み物ここの世界にはないよな。ごめんごめん。じゃあ、こっちの。」


タクトはリュックからペットボトルの水を取り出し、栓を取り、リーゼのコーラと交換した。


「これは?」


「大丈夫。ただの水だから。」


リーゼは、恐る恐る口に入れた。


「おいし~。どうしたんですかこのお水は?

やけに透明ですが。湧水でもありましたか。

もし、有ったなら場所を教えていただきたいです。」


「あ、これはごめんなさい。湧水とかそういう物じゃないんだ。」


タクトは下を向いた。


リーゼはタクトの気持ちを察知したのか、話題を逸らした。


「タクト様。このお米とてもおいしいのですが、なんか少しショッパイ感じがしますが。」


「それは、塩だよ。」


「えっッ 」


リーゼはかじりついたおにぎりを見て黙り込んだ。


「どうしたの?」


「これ、お返しします。」


リーゼは食べかけのおにぎりをタクトに付き返した。


「え、どうしたの?不味かった?」


「違います。こんな高級な食べ物はいただけません。」


リーゼはタクトとの出会いと、リュックから次々と出て来る見たこともない品物に心を奪われて、超高級なお米を食べていることも忘れていたが、塩がお米以上に高級なものだったので我に返った。


「いいよ。食べて。腐っちゃうし。」


「だって、お塩って言ったら、貴族の中でも上級の方たちしか食べられないって聞いていますし。」


「へ~そうなんだ。でも、お願い。食べて。じゃないと捨てることになっちやうよ。」


タクトは、おにぎりを地面に捨てる素振りを見せた。


「わわわわ~~」


リーゼはおにぎりが捨てられると思い焦って口を開いた。


「あの~、本当に私がいただいてもよろしいのですか。私、何もお返しすることができませんど。」


「いいの。いいの。別に見返りは求めていないよ。ただ捨てるのがもったいないだけだから食べて。」


「そういうことならいただきます。」


リーゼはおにぎりを両手に持って、ちょっとずつ食べだした。


顔はスッゴイ笑顔だ。


「ちょっと、食べながら聞いてほしいんだけど。いい?」


「はい。」


「実は俺、たぶんだけど違う世界から来たみたい。」


「ええ、そうだと思いました。」


「ん、どの辺で。」


「服装で。」


「ああ、そうだよね。」


「あ、そうだ。タクト様は、魔法が使えるのですか。」


「えっ、魔法。」


「そうです。大きな街の方では魔法学校というのがありまして、そこで学んだ人は魔法が使えるそうなんです。」


「へ~この世界って魔法があるんだ。でも俺は、魔法は使えないよ。」


「でも、私を助けて下さった時のあの力は?」


「あ、あれは、魔法じゃないよ。超能力。」


「ちょう·のう·りょく·ですか。」


リーゼはまた、聞いたこともない単語が出て来て判断に困っている。


「あの力は秘密の力なんです。誰にも言わないって、約束してくれますか。」


「はい。約束します。絶対に誰にも話しません。」


リーゼは何度も頷いている。


「それで、リーゼさんにお願いがあって、さっきは見返りを期待していないって言った手前なんだけどさ。」


「はい。何でも申し付けください。私が出来ることは何でもいたします。」


「本当。それは有り難い。」


タクトはこの世界に飛ばされ、生きて行けるかどうか心配だったが、現地人と仲良く馴れて少しうれしくなってちょっとニヤッとした。


その顔をリーゼは見た。


「ちょっと、はずかしいことは···」


リーゼは顔を赤くして下を向いている。


「ち、ちがうよ。誤解だよ。この世界に来て右も左もわからなくて不安だったの。

リーゼさんと友達になれてうれしかったの。」


「え、タクト様と友達ですか。」


「え、だめですか?」


「そんなこと恐れ多いです。」


「どうして?」


「だってタクト様は、儚き人。神様と同等に扱われるべき存在ですから。」


「え、何それ?」


「タクト様みたいに、不思議な格好をした人を見つけたら神と同等に扱う事。そして速やかに国に報告することになっています。」


ん、儚き人。


神と同等。


国に報告。


ちょっと待て。


リーゼが言うには俺と同じようにこの世界に現れるやつがいると。


ということは、ひょっとしたら俺と同じ様にこの世界に来ている人がいるかも。


でも、神と同等、国に報告か。


ま、知識だけはこの世界の人よりあると思うが神様と同等に扱えって、どういうことなんだ。


わからん。


でも、俺の超能力は隠さないとやばいよな。


元の世界でも隠さないとまずいし。


元の世界とこの世界でも基本、同じ様に考えたカがいいな。


「リーゼさん。お願いです。私がここに居ることを国に報告しないでください。」


「はい。」


リーゼは簡単に答えた。


「え、いいんですか。っていうか。そんなことをしたらリーゼさんの身に危険はないんですか。」


「もしも国に発覚したら死刑ですね。それも村人全員。でも、私の命も助けていただきましたし。それに、儚き人のうわさがありまして。」


「うわさって何ですか。」


「儚き人は、消えてしまうらしいんです。国に連れて行かれたら最後、その姿を見た人はいないということです。」


あ、どういう事だ。


リーゼの話からすると、考えられることは国に囚われるってことだよな。


それはまずい。全然自由が無いじゃないか。


囚われたら、帰る手段も探せない。


ということは、俺と同じ境遇でこの世界に来た人に会うことは非常に難しいという事か。


「そうなんだ。」


タクトは考えながら空返事を返した。


「私の命の恩人のタクト様が国に連れて行かれて、会えなくなることに耐えられません。」


リーゼの顔が少し赤い。


なんか俺のことに好意をもってくれているのかな。


「あのぅ、タクト様。なんかおにぎりの中に何かが入っていますが?」


「あ、これは、鮭だよ。」


「しゃけ?」


「そう、魚をほぐしたもの。」


「食べても大丈夫なんですか?」


「もちろんだよ。おいしいよ。」


リーゼは鮭を口に入れた。


「これも、かなりしょっぱいですが。」


「塩に漬けてから焼いているからな。」


「えっ····」


「今更驚くなよ。お米と鮭と合うでしょ。」


「はい。すごくおいしいです。」


「それは良かった。それで、リーゼさんの年はおいくつなんですか。」


「私は15才です。」


15才か俺より2つ年下か。しっかりしているし、大人ぽっく見えたから俺より年上かと思った。


「若いですね。」


「そんなことないです。私の村では、14才になれば結婚できます。」


「へ~そうなんだ。」


ここの人は14才が成人って考えなのか。


ということは、付き合うのは有りか。


そんな告白する勇気はないけど。


「タクト様はおいくつなんですか。」


「お、おれか。この前17才になった。」


「付き···」


リーゼは言いかけて黙った。


「リーゼさんは、結婚しないんですか?」


あ、やば。


口が滑った。


タクトは言った傍から焦った。


「いい人がいれば結婚したいのですが、今はそれどころじゃありませんから。」


「どうかしたの?」


「理由については、村に着いてからお話します。」


なんだろうな。意味深だな。


でも、言いたくないことを無理して聞くもの良くないしな。


「ご馳走様でした。久しぶりにお腹いっぱい食べました。それもこんなにおいしものを。」


そう言いながらリーゼは立ち上がった。


「ちょっと待ってリーゼさん。普段はどんな食べ物を食べているんですか。」


「イモが主食です。後は、木の実とか。森にあまい木の実を宿す木があるのでそれが一番のごちそうです。ですがその実は、木の高い位置に実がなるのでなかなか取るのは難しいですが。」


まじか。


うすうすとは感じていたけど、とんでもないところに来てしまったようだ。


食料事情も原始人並みか。


「この世界のすべてがそんな感じなんですか。」


「いえ、たぶん、うちの村だけです。領主様が住む街に行けば、いろいろな物が売っています。もっと良い食べ物や服も。でも、私たちでは買えませんが。」


よし。大きな街は有るんだな。なら超能力を持っている俺だったら何とかなる。


「タクト様、これ、お返しします。」


リーゼは半分以上入っているペットボトルの水を返した。


「え、全部飲んでいいよ。あげるよ。」


「タクト様の心遣いありがとうございます。ですが、私の村ではこんな透明な水はとても貴重です。それにこの容器も見たことがありません。私たちの村にはそぐわない物です。どうか。袋に仕舞ってください。」


あ、そうか。そうだよな。


このリュックに入っている物はここの世界の人から見たら超テクノロジーだよな。


「うん。わかった。」


「それでは行きましょうか。お父さんも私のことを心配していると思いますし。」


「ちょっと最後に。」


「何ですか?タクト様。」


タクトはリュックの中でゴソゴソやって、黒い小さなボールを取り出した。


「はいこれ。食べて見て。」


「何ですかこれ。黒いですが。」


タクトが渡したのはアーモンドチョコだ。


「いいから騙されたと思って一気に口に入れて噛んでみて。」


リーゼは不思議そうな顔をしたが、断る訳にもいかず、口に入れて奥歯で噛んだ。


リーゼの口と表情が止まった。


「どう?おいしい?」


リーゼは目をおおきくしてタクトを見つめながら口がもぐもぐと動き出した。


しばらくすると一際大きな声で


「タクト様、これはなんという食べ物ですか。とても甘くておいしくて。中に入っていたのは木の実かなにかですか。」


「アーモンドチョコレートって言うんだ。俺もこれ大好きなんだよね。」


「もっとあるんですか?」


お、乗って来たぞ。


「うん。まだあるけど食べる。」


「はい。」


とリーゼは元気な返事をしたが思い返したのか


「いえ、すみません。貰えません。」


「あははは~。もっと素直になった方がいいぞ。」


そう言ってタクトは袋からもう一粒出して、リーゼに渡した。


「いただいてもいいんですか。」


「どうぞ。」


リーゼは両手でアーモンドチョコを受取り、口に入れ、満面な笑みがこぼれている。


女の子はやっぱり甘い物には

勝てないみたいだ。


この世界だったらなおさらだろうな。


「じゃあ、リーゼさんの村にしゅっぱ~つ。」


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