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決戦

日が昇るころ、森の中からタクトと村の人たちは、コブリンの住み家に奇襲をかけようと様子を見ている。


しかしここからは大きな岩が邪魔をしてゴブリンの姿は一切見えない。


その場所は、村から数十キロ離れた森の奥にあり、直径が2m級の大きな岩や小さい岩が所々に転がっている。


ゴブリンたちは、その岩をうまく利用し、外敵から身を守るように自分たちの住み家を作って暮らしている。


ここは天然の地形を利用したゴブリンの要塞だ。


出入り口は一つしかない。


「よし、みんな気づかれてはいないぞ。」


村長は小声で指示を出した。


「今の内だ。行くぞ。」


「ん、ちょっと待ってみんなぁ。俺の前に出るなー!!」


タクトが叫んだと同時に岩の隙間から数十体のゴブリンから放たれた。


矢は弧を描いで村人たちに降り注いでくる。


村人たちはその光景を見て、死を覚悟した。


その時、タクトは、両手を前にかざして叫んだ。


「止まれー! !」


タクトの視界に入った矢は、空中で一旦止まると、ばらばらと地面に落ちた。


「あ、ありがとうございます。タクト様。あのぅ、さっきのが、この前お話していた奇跡の件ですか。

タクト様がいなければ今頃みんなは。


って、顔が真っ青ですが大丈夫ですか?」


心配そうに村長がタクトを見ている。


「大丈夫です。それより今です。急いでください。次の矢が飛んできますよ。」


「おお!みんな行くぞ。」


村長が叫び合図をすると、村人たちは農具などの武器を携えてゴブリンの棲む要塞へ攻めて行った。


「目指すは、ゴブリンリーダーの首だ。行けー」


村長の大声が聞こえてくる。


それに賛同するように、村人たちも声を張り上げている。


どうやら戦いが始まったようだ。


「タクト様、大丈夫ですか。」


「ああ、大丈夫だ。僕のことは心配しないで、早く村長さんたちの所に行ってあげて。」


「わかったわ。私も行くねタクト様は無理をなさらないで。」


「ああ、気を付けて。」


「さっきはありがとう。後は私たらがどうにかするわ。」


そう言って、リーゼは村人たちを追いかけた。


やばい。もうこんなところで力を使ってしまった。


気持ちが悪いし頭がズキズキする。


最悪な気分だ。


でも、みんなの所に行かないと。


タクトは頭を押さえ、みんなの後をふらつきながら歩いて追った。


タクトはゴブリンの要塞の中に入った。


そこは、木で簡単に作った小屋のような家が中央の道を隔てて両側にいくつも建てられており、奥に続いていた。


小屋の中に目をやると、たぶん人間のであろう頭蓋骨や動物の頭蓋骨などの骨が散らばっている。


タクトは、更に奥に進んで行くと村人に倒されただろうゴブリンの死体があちこちに倒れている。


だが村人の姿は無い。


「なんとかなりそうだな。」


タクトはそう思いながら、村人たちが要塞の奥で戦っているゴブリンリーダーがいる場所に急いだ。


「やはり、一筋縄ではいかないな。」


頭から血を流し、泥だらけになっている村長は、剣を構えてゴブリンリーダーを見据えている。


その周りには、ゴブリンの死体はもちろんのこと、数名の村人も倒れている。


ゴブリンリーダーは要塞の一番奥にある大きめの小屋の前で今、村人たちに周りを囲まれている。


「イヤーーー!!」


リーゼは、ゴブリンリーダーに正面から切りかかった。


ゴブリンリーダーは、リーゼの剣を棍棒で受け止めるとそのまま、力任せに振り切った。


「キャァァァ」


リーゼはゴブリンリーダーから吹き飛ばされ、地面に転がった。


「おい、大丈夫か?」


村長はリーゼに詰め寄り、肩に手を当てた。


「ええ。大丈夫。」


リーゼは、村長に体を支えてもらい、立ち上がった。


ゴブリンリーダーの周りに

は数名の村人が囲んでいるが、頑丈で大きな体と強力な力を持っているゴブリンリーダーに対して村人たちは攻めあぐんでいる。


「あともう少しだ。ここで倒さなければ村に残った子どもたちや女たちがゴブリンに皆殺しにされるぞ。

俺たちには神様がついて下さっている。絶対に勝てるぞ。行くぞ、みんな。」


「はい。村長。」


村長が掛け声をあげると、村人たちはそれに合わせて声を張り上げた。


村人たちは一斉にゴブリンリーダーに襲いかかった。


何人かの村人の武器はゴブリンリーダーの頭や体に怪我を負わせたが、ゴブリンリーダーの力まかせの棍棒の一振りで、周りにいるすべての村人たちを吹き飛ばした。


「ちくしょう。やっぱり倒せないのか。」


村長が嘆いた。


他の村人たちも、疲れが見え始めている。


「グオーーーー」


怪我を負わされ血だらけになっているゴブリンリーダーは大声で叫び、何やら呪文を唱え出した。


「まずい。みんな避けろ。魔法が飛んでくるぞ。」


村長が叫び、怪我を負いながらもまだ動ける村人たちは、ゴブリンリーダーから距離を取って魔法に備えた。


だが、リーゼは先ほどの村人の総攻撃の際、吹き飛ばされた時に足を挫いており、ゴブリンリーダーの正面に取り残されていた。


「リーゼ、早く逃げろ。」


村長は叫んだ。ゴブリンリーダーの左手には拳大の火の玉が形成され、リーゼに

向けて放たれた。


「キャー」


リーゼは絶望的な表情で叫んだ。


その時、リーゼの前に男が立ちはだかった。


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