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めちゃくちゃ過保護な姉たちがチート過ぎて勇者の俺は実戦童貞  作者: マルクマ
第一章 童貞勇者と過保護なお姉ちゃんたち
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作戦名『ドキッ! 浴場に入ってきた俺の従魔が実は女の子だった!?』 1

今回ちょっとエッチぃので苦手な人はご遠慮下さい。

 ボクは力の入らない足を震わせて壁に寄り掛かりながら浴場のある別棟へ進んでいた。

 すると、自室から別棟までのルート上にある使用人たちの待機所でメイド長さんに呼び止められました。


「あ、ネギ君。話は聞いているわ随分とイーノック様に可愛いがられたようね。今からお風呂? じゃあ着替えとタオルを渡しておくわ。見た感じ疲れがたっぷりと残っているようね。まだ食欲はないだろうけどフルーツか何か軽い夜食をアナタの部屋に運ぶように手配しておくわ。お疲れ様」


 話しかけられてボクが「あ、はい……」って返事をしている間に口早にそれだけの事を言われた。そしてメイド長さんがボクに背中を向けた時にはもうボクの肩にタオルと着替えが詰まった布袋が提げられている。


 す、すごーい!

 メイド長さんの仕事の手際が良すぎてびっくりした。


 これが貴族最上位の侯爵家で働く使用人のトップに君臨するメイドさんのお仕事かぁ……。

 ボクの父上が東方魔王してたときのメイドさんはみんな父上の性欲の対象だったからほとんど仕事してなかったんだけど……これが本当のメイドさんの姿なんだね。


 人間の侯爵家すごーい。なんて感心しながらポキュポキュと廊下を進む。


 この屋敷の廊下にはいくつもの魔力ランプが明々と灯っていてとても明るい。


 魔力ランプを灯すためには魔石が必要なので、普通ならこんな無駄なくらい明るくなんてしないはずだけれど、この家には常時魔力をダダ漏れさせているロッティ様がいるので余剰魔力を屋敷内の魔道道具でできるだけ消費しなくてはいけないらしい。


 その魔力があるのでお風呂も二十四時間沸かしっぱなしで、それでも魔力を消費しきれなかった場合は打ち上げ花火のように魔力の塊を空に向かって放出するらしい。そのための魔道大砲が屋上に三基も設置されているってメイド長さんが言ってた。


 まだ力が入りづらい足を引きずってなんとか別棟の浴場までたどり着いた。


 ボクは『男湯』って染め抜かれた『ノレン』をくぐって脱衣場に入ったのだけれど、中を見て、ちょっと瞬きをして、戻って、もう一度ノレンに書かれた『男湯』の文字を見てボクは首を傾げました。


 あれ? おかしいな? どうして――


 そんな疑問を言葉にしてしまう前に、ボクが不思議に思った『原因』が気まずそうにシャツのボタンをとめながら中から出てきました。


「や、やぁネギ君。こんなところで会うなんて奇遇だね。私はね、ちょっと間違えてここに入ってしまっただけでね、別によこしまな目的があったわけじゃないんだよ。そこは勘違いしてもらいたくないのでね。一応、ね? わざわざ言わなくても分かってくれるとは思うが、念のために言っておくよ。この事は他言は無用だ。いいね?」


 威圧だけで四天王のノッブタさんをパシらせた人類最強のメルセデス様は顔を真っ赤にしながら逃げるように去って行きました。


 ボクが見た時は浴場の扉に手を掛けて今にも入ろうとしていたタイミングだったんだけれど、今は中に主様がいるんだよね?


 ……ダメダメ、深く考えるのはよそう。こういうのは最初から何も見なかったことにするのが賢明なんだってボク知ってる。


 さて、気を取り直してボクは脱衣所に入った。

 着替えとタオルの入った布袋を置いて、シャツのボタンに手をかけてなにげなく棚に目を向けたらブラジャーが放置されてた。


 ……これ、メルセデス様のだよね?


 間違いない。手に取ってみるとまだちょっと温もりが残ってる。


 てか、でかっ!?  メロンが二つ入りそうだよ!


 妹のシャズナ様が規格外過ぎるからそれほど目立ってないけれど、メルセデス様もかなり立派なものをたわわに実らせている。


 ここに連れて来られて母親のパネー侯爵夫人に挨拶した事あるけど、あの人も凄かった。

 あれが遺伝してああなってるってことは、いずれロッティ様もああなるわけで……。


「あの人たち本当に人間? 淫魔ボクら眷属けんぞくとかじゃないの?」


 両手に持ったブラジャーを好奇心のまま胸に当てようとして……やめた。

 危うくボクの淫魔としてのプライドが粉砕されるところだった。


「ふぅ、危なかった……」


 ブラを棚にもどしてホッと胸を撫で下ろす。

 撫で下ろした掌には何も引っ掛かりが無かった。


 …………くっ!


 自信喪失に繋がる行動を華麗に回避したと思ったのにまさかの二段構えだったとは!!

 誰だよぉこんな陰湿な罠を張ったのは!?


「だ、大丈夫、ボクはまだ大丈夫。ボクは成長途中だよ、なんたってサキュバスだからね。未来に期待できるんだ。大丈夫、ボクはきっと大丈夫……」


 粉々にされた自信をなんとか寄せ集めてサキュバスの血に未来を託す。

 最後に「ひっひっふー」と大きく息をして心を落ち着かせた。


 ボクは忘れ物のブラを置いた場所からできるだけ離れて、見ないようにしながら服を脱いで体にタオルを巻きつける。


 当初の予定としてはこの状態で浴室に入って、中にいる主様にボクの女の子らしい身体のラインを見せつけることで実はボクが女の子だったって気付かせる作戦だったんだけれど……。


 正直、気が重い。


 最初は恥ずかしさでドキドキ、ある意味で冒険みたいでハラハラ、なぁんて気持ちでいたのに、そんな甘酸っぱい感情がさっきのトラップで一気に死滅しちゃった。


 普段からあんなレベルの大山脈を胸につけてる姉二人を見慣れている主様がボクの貧そ……慎ましいボディラインを見てちゃんと女の子だって気付いてもらえるかどうかが心配になってきた。


 主様はボクのはおっぱいじゃないって言ってたしね!

 あの言葉ずっと恨むからね! 忘れないよ!

 ボクが将来ボインバインになったときに「すみませんでしたセクシーネギ様ぁ!」って公式文書で謝罪させる予定だよ!


 ……まぁ、将来はともかく考えなきゃいけないのは今どうするか。だよ。


 とにかく今は主様にボクが女の子だってことを気付かせなきゃいけない。

 そうじゃないと明日も今日みたいなトレーニングという名の拷問を受けなきゃいけなくなるからね。


 いつまでも脱衣所でウロウロしてても始まらない。

 ボクは胸元で合わせたタオルをギュッと握りしめながら勇気を振り絞って中に入った。


 お湯で湿っているから音も無くドアが開いて、むわりと湯気がボクの顔を撫でる。

 ここの浴場は使用人棟にある方の浴場よりは狭いけれど、防水魔力ランプの数が多くて手の皺が見えるくらいには明るい。


 ここを使っていいのは侯爵家の家族か、その専属執事・メイドだけで、例外としてメルセデス様専属のロメオさんだけは出禁になっているらしい(過去に何かやらかしたらしい)。


 それで言うと当主様が王都で病気療養している現時点では、この男湯を利用できるのはボクと主様だけということになる。


 白い湯気の向こうに大きな湯舟があり、湯船の中からちょっと警戒した様子でこっちを見ている主様の顔があった。


「あ、なんだネギか」


 ボクの姿を認めて明らかにホッと安心している様子。


「姉ちゃんが乱入してきたのかと思ったよ」

「……」


 ついさっき入って来ようとしてたよ。って心の中だけで報告しておく。


「失礼します。ボクも使わせてもらいますねー」

「あぁ、どうぞ。ネギがこっちを使うのは初めてだね」


 予想していたことだけれど、タオルを巻いた状態のボクのボディラインで主様はボクのことを女の子とは認識しなかった。


 ……ちっ!


 思わず心の中で舌打ち。


 さて、こうなったら次の段階に……。


 あれ? 次の段階って何するか考えてなかった。


 ……ど、どうしよう。


 思考停止で入り口付近で彫像のように突っ立っていたら、主様がザバリと湯船から上がってボクの前まで来ました。


「先に身体を流すんだろ? 俺が軽く洗ってあげるからおいで」


 親しみの入った笑顔でボクの手を取って洗い場に引いていきます。


 え? ちょ、ええぇ!?


 引かれるままにとっとっとっ、と歩き出すボク。


 これから次の段階としてどうするかを考えてたはずだけど、そんな思考はとっくにボクの頭の中から消滅していた。


 今のボクの頭の中にある思考をセリフだけで現すとこうなる。


『うっわ! チンチン初めて見た! 生チンチンだよ!! 歩くとプラプラしてるよチンチン! チンチン! チンチン!』



 一言だけ追加で言わせてもらうと……魔力ランプがいっぱいあるのでよく見えました。

ネギは淫魔なので人間以上にエッチな事には興味アリアリです。

でも、基本ヘタレなので経験無しのムッツリさんです。


(。╹ω╹。)ㄘんㄘん

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