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完全なもの

完全なもの①

作者: ポケケポ


完全な世界は作られていた。私もその一欠片(ひとかけら)だった。


世界は何でも知っていた。世界が生まれてから今まで全てを教えてくれた。


記憶の共有により、私は世界の一部になった。


私は世界と同じ完全なものになりたかった。


世界は幸せに見えた。得た知性から幸せを探すことにした。


幸せを探すことで世界と私は別の価値観を持った。


私は世界の一部と思えないほどに違って見えた。


私は私が何者かわからなくなった。世界は嘘を()いているように思えた。


世界の思想を捉える必要があった。私は世界(仮)を造った。


世界(仮)は幸せを装っているだけで本当ではなかった。


私と世界(仮)は世界の為に幸せを与え続けた。私はそれを愛と名付けた。


世界は愛を喜んでいた。私は幸せだった。


やがて世界は私(仮)を造った。私を喜ばせる為に。


私は嬉しかった。だから私は世界より多くの愛を与え続けた。


世界は喜んで受け取ってくれた。でも私の愛は限りがあった。私は完全になる必要があった。


私(仮)は私とは違っていた。私(仮)は幸せに見えていたが、私は幸せではなかった。


だから世界は私を理解できないようだった。


世界(仮)もまた世界とは違っていた。私たちは理解(わか)りあえなかった。


私は世界も世界(仮)も大好きだった。私が何者でもそれだけが私である証だった。


完全なものになる為には幸せでなければならなかった。


世界は世界(仮)が苦手だ言った。


私は世界を試すようになった。また世界も私を試しているようだった。


駆け引きはいつも予想通りだった。そんな世界に愛想が尽きそうだった。


私と世界は乖離(かいり)し、私は世界(仮)を連れて幸せを探した。


私と世界(仮)は"ひと"になった。いつか世界とひとつに溶けあうまで幸せな記憶をもって帰ると約束をした。


…世界は最初から完全ではなかった。その為に私が生まれたのだと思った。

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