『グランド・ブダペスト・ホテル』 絵本チックな映像と、胡散臭いコンシェルジュの脱獄という意外な組み合わせ!
※少しネタバレあり
まさかのハンガリー映画? と思い、よく確認したらドイツ映画でした……そして特にブダペストが舞台の作品でもなかった。某東京Dランドが千葉にある感覚に似たネーミングかもしれないw
なお、ハンガリーはパリやローマの景観に似ているらしく、よく他都市のゴーストロケ地として登場しているらしいです。メジャーな映画にもわりとブダペストロケが使われているそうですが、さすがゴーストロケ地、今までわかったことないよ!
『グランド・ブダペスト・ホテル』、絵本や紙芝居のようなミニマム感ある撮影や、なんとも可愛らしいパステル調のホテルの外観に騙されて、女の子向けのラブ・ストーリーかなあと思っていたらそうでもなかった……。
ホテル内のヒューマンドラマが、途中からとんでもない方向に折れ曲がってクライムコメディーになってましたw
作中作の中の回想というややこしい作りですが、二次大戦の直前時代、とある東欧のホテルに名物コンシェルジュと、ホテルの新人ベルボーイがいました……というのがメインの話。
有名ホテルのコンシェルジュ、といえば品行方正で清廉潔白……と思いきや、早々に胡散臭い雰囲気を漂わせてくるw
ベルボーイの少年は、従順な感じの移民で、この少年を語り手に物語は進みます。
行きつけの客だった名門貴族のおばあさんが、そのコンシェルジュに高価な絵画を残して急死したので、葬式後の親族会議で大揉めに。
……そして、死んだ貴族のおばあさんの屋敷に乗り込んで、たまたまその絵画のある部屋に取り残されたコンシェルジュと少年は、アイコンタクト一つで絵を盗んで逃走します。
もっと他にいい方法あったろ! どう考えても犯人ってバレるよ!
というツッコミをする人がいなかったせいで、コンシェルジュはあっさり捕まってしまい、ここから怒涛の脱獄劇になるわけです……ホテルのヒューマンドラマから延々遠ざかっていくw
あの絵本のようなフェミニンな絵から、緩いながらもプリズン・ブレイクな展開になると誰が予想できただろうかw
脱獄劇自体もかなりコミカルで楽しいのですが、何と言ってもコンシェルジュ時代のネットワークを生かした電話リレーのシーンが面白かった!
国中のコンシェルジュ仲間にテンポよく電話を繋いでいき、スムーズに馬車や変装を獲得する場面が爽快!
最後十分ほどで、まるで打ち切り漫画のように巻きでさっさか終わってしまったけれど、二次大戦から共産圏になるまでの話を、テンションを必要以上に下げることなく、うまいことまとめた映画でした。




