『マジェスティック』(2001年) 当たりしか作らないダラボン監督の名作映画を今頃発見!
※ネタバレあり
主演のジム・キャリーは、たくさんの映画に出演していることもあり、私にとって当たり外れが大きい俳優さん。
なので特に期待せずに流し見ていたら……この映画はまさかの大当たり!
結構長いのに見はまってしまった!
……調べると、『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』『ミスト』のフランク・ダラボン監督作品でした。
テレビの『ウォーキング・デッド』の監督もしているけれど、映画監督として公開したのは『マジェスティック』含めてこの四作のみ。
結論から言うと、四作全部レジェンド級だった! この監督の外れのなさが怖いw
個人的に大好きなティム・バートン監督でさえたまに地雷持ってくるのに、SSR出現確率100%のガチャみたいな存在!
ただ、この作品だけはスティーブン・キング原作ではないので、私の感知アンテナから外れていて今頃発見した模様。
ジム・キャリーはコメディー俳優だと思っていたけれど、この映画ではコメディーの要素をあまり入れず、抑えた演技をしている。
どちらかというと『トゥルーマン・ショー』を思い出すようなハートフル・ストーリー。
赤狩りの嵐が吹き荒れる冷戦時のハリウッドから、共産主義の疑いをかけられて逃げ出した脚本家が主人公。
彼は、事故で記憶喪失になってとある田舎町にたどり着く。
その田舎町では、第二次世界大戦中に行方不明になっていた英雄ルークと勘違いされ、盛大な歓待を受けることに。
しかし、やがて、自分がルークではないことを思い出す脚本家……。
この映画は、『ニュー・シネマ・パラダイス』を意識して作られていて、題名の『マジェスティック』はルークの実家の潰れた映画館。
だが主人公の帰還により、年老いた父がやる気になって映画館を整備し始め、主人公も町から補助を受けて映画館をみるみるうちに再建する。
やがて町の映画館はみんなの娯楽の場になり、町全体も息を吹き返したように活気付くという展開。
アメリカの田舎町の場面は、古き良き時代の名残のような町並みが綺麗に撮られています……正直、町に来た直後くらいは桃源郷オチだろうなと思っていたくらい。
そしてヒロインが着ている60年代に流行ったであろうレトロな原色ファッションが可愛い!
息子が戻ってきたと信じているお父さんとのシーンは、薄々違うだろうと思いつつもほっこりして、もういっそこのまま記憶が戻らない方が主人公的には幸せだろうなと思ってました。
しかし脚本の都合上、中盤でまさかの記憶戻りと共産主義疑惑で裁判召喚。
最後にスピーチ映画として締める下りはびっくりした。
でも、よく考えると共産主義の疑いは最初の時点で提示されていたので、脚本が基本の書き方どおり線対称になっている……! これがお手本なのか……!
当時、共産主義疑惑で仕事を干されたという『ハリウッド・ブラックリスト』を調べてみたら、適当に有名人をピックアップして入れたんじゃないかというほど錚錚たるメンバーが並んでいる……これは当時の映画にものすごく影響しただろうな……。
なお、名作『市民ケーン』でも有名ですが、ラジオ版『宇宙戦争』で臨時ニュース仕立ての演出を流し、聞いていた人々にパニックを起こさせた伝説のお騒がせ監督オーソン・ウェルズもさらっと入ってましたw
ラスト一分、写真でダイジェストにまとめてくるのはよくある演出だけど、やっぱりぐっとくる展開!
他の三作に比べて知られていないけれど、家族・政治・勇気など、色々な要素を凝縮して最後までしっかりまとめてきた名作だと思いました!




