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『レ・ミゼラブル』映画は2012年版が素晴らしい! でもミュージカル25周年記念コンサート版も恐ろしくゴージャス!

※ネタバレあり

 もう媒体を変えて五、六回は見たけれど、曲の殆どが神曲!

 原作は革命後、パン泥棒の罪で投獄されたジャン・バルジャンを軸として、激動のパリに生きた名もなき人々を書いた心を打つ物語。

 これはこれで名作なのですが、ミュージカルはこれに輪をかけて名作です!

 2012年版はその曲を変えず映画にしたものなので、ヒットは約束されたようなもの。

 しかも出てくる俳優陣がヒュー・ジャックマンだったりアン・ハサウェイだったり、歌唱力のある人ばかり。

 顔にズームしても、ものすごく自然に歌っていると思ったら、実際に歌いながら撮影したそうで……。

 どしゃ降りシーンで歌うエポニーヌ役の人とか、すごく真に迫ってるけど本当に大変だったんだろうな……と。

 ストーリーをそこまで知らない人なら、このバージョンがおすすめ。


 ただ、ストーリーを知っているなら、このミュージカルのポテンシャルが見られるのは25周年記念コンサート版。

 ミュージカルではなくコンサートなので、ちょっとした小芝居はありますが、ほぼ曲を歌うだけ……なのに、やっぱりそこは25周年記念なのでとてつもなく上手い人揃い。

 アマゾン版で見たせいか訳がひどいですが、そこは脳内変換w

 フィナーレを迎え、全員が舞台に出てくるあたりまでは普通のコンサート。

 でもそこからがガラ・コンサートの底力……初演時のキャスト達が勢揃いして合唱!

 歴代のジャン・バルジャンが一斉に出てきて一フレーズ毎に歌う夢の共演を披露!

 盛りだくさんの内容でレミゼ好きとしては終わりが見えなくてクラクラするほど。

 そして、観客の歓声が入っているのも好きな理由です。

 この空間に行きたかった! これを体験したかった!


 そもそも、ミュージカル版が素晴らしいのは、音楽はもちろん、原作が超大作のため骨子だけまとめてわかりやすくしたことと、原作にほぼなかった「明日」という概念を付け加えたからだと。


 犯罪者だった「過去」と決別する「What Have I Done?(独白)」、現在の状況を歌う「one day more(明日になれば)」という曲までは主人公が歌うのですが……唯一「明日そのもの」を歌う「Do You Hear The People Sing? (民衆の歌)」は最後、死ぬまで歌いません。


 主人公は「明日」を迎えることができなかった。

 けれど、このパリに生きた人々がいたからこそ、彼らを礎に願った「明日」が訪れた。

 これは悲劇ではなく、どうにもならない運命にパリの人々が抗いもがいた結果。

 故に誰もが惨めで、誰もが美しい!

 『ああ無情』の訳は秀逸だけれども、無情というよりも、人々が明日を求めてもがき苦しむ美しさがこのミュージカルでは凝縮されているなと!


 敵役のジャベール警部やテナルディエ夫妻も嫌いになれない何かがあります。

 ジャン・バルジャンに助けられたジャベールが自分の正義を信じられなくなり煩悶するのも当然で、あこぎなテナルディエ夫妻も、混迷の時代では犯罪者たちがしたたかに生き残ったのでしょう。

 それに、絶望するときも、汚いことをするときも、彼らは前を向いて堂々と歌う!

 主人公が死ぬと、全員(死んだ人間も含めて)大合唱!


 ……まあ、これのせいで一定の人がミュージカルを受け入れられないのも頷けますw

 死ぬ直前まで元気そうに歌ってるから……。

 歌ってる場合じゃないだろうと。病院に行けと。

 でも、今風オペラとして見ればそれはそれで楽しいと思う!


 元々カーテンコールや、ミュージカルで一曲歌い終わって拍手喝采になる瞬間が大好き!

 オペラや劇でどんな悲劇的な死に方をしていても、幕が降りれば血糊つけながら、敵役と手を取り合って出てきてくれて、笑顔で喝采に応えてくれる!

 こっちも沈んだ気分ではなく、惜しみない賛辞を送っていい気分で帰れます。

 これは映画では、ほぼできないことで、できても映画の初回公開のみ。

 だから多分、映画初期の舞台女優は映画に出るのなんて嫌だっただろうなw


 とにかくこの映画を見たら、立ち上がって拍手したい衝動にかられます!

 「ブラボー、おお…ブラボー!」って本気で言いたくなる、そんな映画!!

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