表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気付いたら非日常に  作者: 重曹:溶解組
9/10

6話 奇妙な出会い

「このぐらいでいいか?」

「うん、大丈夫だと思う」

「準備できたら、さっきお友達が言ってた用務員室に行こうよ」

俺たちは泉のために保健室で薬や包帯などを探していた。

「そうですね、舞、これ持っててもらっていいか?」

俺は舞に薬箱を渡した。舞はうなずき俺から薬箱を受け取った。

「さて、行きますか」

この保健室から用務員室まではあまり離れていないが、この状況では何が起こってもおかしくない。だがさっさと呪いを解きたいという思いの方が強い

「用務員室は確か、ここから2個目の教室だよね」

「へ〜」

俺の後ろで舞と雪さんが話していたが、俺は扉を少し開け懐中電灯で左右を確認して保健室から出る。どうやら何も異常はないようだが何となく身構えてしまう。

「異常は特にはないようだが…」

カコーンと金属のような重たいものが何かに当たるような音が聞こえる。こんな音が普通するわけない…なら…!!

「雪さん、舞を」

「ちょ…!?ゆーんんん!?」

舞が俺の名前を呼ぼうとした時、雪さんが舞の口を塞ぐ。俺はゆっくりとドアを閉め、雪さんに奥に隠れるように保健室の奥を指で刺し、指示する。俺はドアの付近で様子を伺う。ゆっくりと歩いているのは確認できる。しかし、先ほどの金属音が気になる。そう考えているとパリンとガラスが割れる音が聞こえる。ただの不良か…?金属バットの音だと考えればしっくりくる。だが、無闇に出て余計な手間をかけるようなことはするべきではない。やり過ごすことだけ考えるしかない。俺は舞と雪さんを見る。雪さんはともかく舞は限界のようだ。今にも悲鳴を上げ飛び出してしまいそうなように見える。雪さんはそんな舞をどうにか止めている状況。

「仕方ない…」

俺は立ち上がりドアを開けようとしたが、俺は舞と雪さんがいるほうにゆっくりと進む。そして、舞の頭を優しく撫でる。

「大丈夫だ。舞、俺を信じてくれ」

舞は小さく頷く。それを確認すると、雪さんに目を向けお互いに頷く。俺は再度、ドアに向かい。今度こそドアを開け外を確認する。どうやら近くの窓ガラスが割られていたようだ。

「誰も…いない?」

俺は保健室から出て、周囲を確認し安全を確かめるがやはり何もいない。俺は1人で用務員室を確認するため、用務員室の方へ向かう。だが、先ほどまでの音の正体はどうやら用務員室にいるらしい。何かを探るような音が聞こえる。俺は影に隠れながら用務員室の入り口側で中を確認する。

「ない!!クソが!!」

顔は確認できないが、何かを探しているはわかる。あまり刺激しないように慎重に話を聞いてみるしかない。相手は金属バットを持っている。凶器にもなり得る代物だ。

「おい、そこにいるのは誰だ?」

「…!!寄るな!!」

男は俺にバットの先を向けてくる。

「待て、お前も何かに襲われたのか?」

男は少し落ち着いたのか、バットをゆっくり下ろす。俺もゆっくりと男に近く。

「最初に一つ質問だ。一体何に襲われたんだ?」

男は近くにある椅子に座り俺に話しかけてくる。

「お前も多分見ただろ?俺が見たのは何人もの子供が重なった気持ちの悪い化け物だった」

男の話を聞き、想像してしまう。だが、俺らが見たものよりも酷いものを見たのだろう。

「なるほどな。もう一つ、なぜこんな時間にこんなとこにいるんだ?」

男は先ほどよりも険しい表情になる。そして、少し躊躇ったようだがゆっくりと口を開く。

「俺は3日前に妹と、旧校舎に入った。そしたらよくわかんねぇけど不気味な女にあって俺は気を失って気づいたら校舎の外に倒れていたんだ。そっから妹は帰ってくることはなかった。だから!!俺は妹を助けるためにここに来たんだ!!」

男は机を力強く殴る。相当イライラしてるのはわかるが、3日前か…何か事件があったか行方不明事件かなにか…。

「長谷川…南…?」

俺は一つのニュースを思い出し、その中に出てきた名前を呟く。名前を呟いた途端、男は俺に迫ってきた。

「お前!!南を知ってるのか!?どこに!?」

男が俺に掴みかかり前後に揺さぶられる。

「待て待て!!ニュースで見ただけだ!!」

男はハッとした顔をした。そして俺から手を離し、また先ほどの椅子に重い腰を下ろしため息を吐く。

「どうすりゃいいんだ…」

男は椅子に座りながら項垂れてしまった。俺は男に声をかけることができなかった。旧校舎で3日…正直死んでしまっているのではないかと思ってしまう。きっと男もそれは考えているだろう。だからこそ、こんなに必死で探しているのだろう。だが、この男からさっきから妙な感じがする。薄暗いなにか…

「きゃぁああああああああ!!やめてぇえええ!!」

校庭の方から叫び声が聞こえる。俺は窓から校庭を見ようとするが、ここからじゃ見えない。

「チッ…」

叫び声の正体を探るよりも4人と合流する方が優先すべきなのではないかと思う。だが、死にそうな声を上げているのに助けに行かないという選択肢は取れない。俺は窓ガラスを開け飛び出す。こんなことしている暇はないのだが、校庭に向け走る。そして俺が見た光景は今までに見たどの光景よりも酷かった。吐き気が込み上げてくる。



さっきのことだ。俺は取り返しのつかないことをしてしまった気がする。だが、俺は妹のこと以外どうでもいい。邪魔なものは切り捨てた方が楽だ。楽なのだが…

「待って!!待ってよ!!」

俺は友達と呼べるものをもう2人も切り捨ててしまった。だからもう…1人も2人も関係ない…

「お前もう邪魔なんだよ」

俺は立ち止まり後ろから走ってくる女に足をかけ転ばせる。それを確認した時、俺はこのまま走って来られても邪魔だと感じ普通の人間とは違う行動を取ってしまった。一発、また一発。女の足を折るために女の足にバットを振り下ろす。バキッ、ボキッと耳障りな音が聞こえるが今はそんなことどうでもいい。

「いだぁあぁあああい!!いだいよぉおおお!!」

女が痛みから叫び出す。俺はバットを振り下ろすのをやめ、女が動けないことを確認する。

「どうして…!!行かないで!!助けて」

「…はは…はははははは!!」

無性に笑いが込み上げてくる。どうせ俺の話を信じなかったやつだ。俺の話を信じないでただ「楽しそうだから」と言って着いてきたこいつが悪いのだ。俺は何も悪くない。

「はは…はぁ…じゃあな、馬鹿女」

俺はひらひらと女に手を振りながらその場を後にする。後ろは振り返らず。女のことなんてどうでもいい。

「南…今助けに行くぞ」

南のことだけを考え、これから会うやつも利用価値がなければ切り捨てるだけだ。俺はゆっくりと校舎内に足を踏み入れる。俺以外の足音が聞こえるが、どうでもいい。やることは一つだ。



ガチャガチャと音を立て、ドアの鍵が開く。ドアを少し開け中を覗く。特に何もないのを確認し、中に入る。校長室にある椅子を動きやすい場所に移動させ、おぶっている泉を座らせる。

「ありがと、弘」

「ん?あぁ気にするな」

泉から視線を外し、何か情報がないかを探るために校長室の棚から調べる。学校建設の歴史。歴代校長の記録。学校に関するスクラップ記事集。いろいろあるな。俺はそれを一つ一つ手に取り目を通すが、特に何もない。

「歴代校長の名前って以外に普通だな…」

「いや、そりゃそうだよ!!」

確かにな…やはり特に目ぼしいものはないな。とりあえず、棚からとった資料を元に戻し次に校長の引き出しの中を見る。ん?日記帳か?

「校長の日記っぽいのがあった」

「日記?まさか!!校長先生のいやらしい淫らな世界がそこに!?」

「いやいや…」

俺は泉にひらひらと手を振り否定する。日記帳を開き中を確認する。特になんの変わりもない普通の日記帳にも見えるが、なるほどな。現在の校長は何も知らないのか…

「泉、ここ見てくれ」

泉の元に移動し、日記の一部分を見せる。

「これって…?」

泉は少し驚いた表情を見せる。これは結構でかい収穫かもな。この日記帳は持って行こう。また校長の机を探ると、やはり鍵が入っていた。一旦2人と合流して話をまとめる必要があるな。

「泉、行こうか」

再度泉の元に行き、泉をおぶる。校長椅子を元に戻し、祐に電話をかけようとした時、女性の悲鳴が聞こえた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ