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気付いたら非日常に  作者: 重曹:溶解組
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5.5話 力の使い方

弘たちと合流するために雪さんと校内を歩いていた。俺はずっと気になっていたことを質問しようとしていた。早めに聞いておいたほうが後々助けになるかもしれないからだ。

「質問いいですか?」

「何?」

「さっきみたいに幽霊を殴るって誰にでもできるんですか?」

俺が質問した途端、雪さんは足を止め真面目な表情になった。

「そうだね、じゃあ、わかりやすく説明しようか。まず、普通の人じゃあんなことできないよ。やろうとしてもすり抜けるだけだよ。だから幽霊は人に干渉できるけど逆に普通の人は幽霊に干渉できないの。できるのは霊感の強い人か、霊感の強い人が力を込めた物だけが幽霊に干渉してダメージを与えられるの。ちなみに霊感はあるけどそれが弱かったらダメージはほとんど入らないの。それと君のつけてるブレスレットは力が込められてる。しかも強力な力がね。だから、それを身につけていれば干渉できるよ」

なるほど、なら納得がいく。俺が後藤さんや女性に触れられたのもはブレスレットをつけていたからか。

「分かりやすかったです。ありがとうございます」

「どういたしまして〜」

雪さんの表情はまた先ほどのように緩い表情に変わっていた。そして職員室に向かうためにまた歩き出そうとした時に、前方から足音が聞こえてきた。どうやら走っているのだろう。弘たちか、それともやつらか…。俺はいつでも逃げれるように準備をする。雪さんも同じように逃げる準備をしていた。極力、避けたいからだ。だが、その準備はいらないものだったとすぐに気付いた。懐中電灯の明かりの範囲に入り、その姿が見えたからだ。その姿は舞だった。舞は俺の姿を見ると俺に抱きついてきた。プルプルと震えているのがわかる。

「えっと…。よっ、舞、元気にしてたか?」

「元気なわけないでしょ…!!心配かけないでよ…」

舞が泣き出してしまった。校内に入る前にあれだけ約束したの約束を破ったのだからな。相当心配させてしまったようだ。当たり前だろうな。幽霊と言っても見た目は「化け物」にも見える。それに自分の友人が襲われそうになってれば誰だって心配するだろう。

「ちゃんと…そばにいてよ…」

「すまん、心配かけたな…悪かった…」

舞の頭を撫でてやると、頭を左右に振った。

「ううん…生きててよかった…。でも、これからはあんな危ないことしないでよ…?」

「まぁ…なるべく努力するよ」

俺が返事をするとにっこりと笑顔を浮かべた。実は強い子なんだよな…俺はずっと舞を弱い子だと思ってたけど、勘違いだったみたいだな。怖いのに一人で俺を探しに来るなんてな…。



二人を見てると羨ましく感じる。私もあんな風にすごしたかった。でも、私には無理。こんな力もあるし。それに…。いや、今はいいかな。

「ちょっと二人とも〜?いつまでイチャついてるのかにゃ〜ん?」

私の声に反応して、二人とも慌てて離れた。まったく羨ましいよね。あんなことがなければ私もこの子たちの側で普通の生活をしていたのかな。

「じゃ、じゃあ、先を急ぎましょうか!!」

「そ、そうだね!!」

「お〜!!行こう!!」

だけど、今はこの子たちを守ることも考えよう。他のことは今は無視しなくちゃ。集中して、ゆーちゃんがブレスレットの使い方を理解するまでは私が守らなくちゃ…。



俺は泉と職員室の中にいた。泉の足の負担を減らすために職員用の椅子に座らせ、俺は旧校舎の鍵を探していた。

「見つかった?」

「ん〜、なかなか見つからないな。もしかして移動されてるとかあんのかな?」

「可能性としてはあるんじゃない?」

職員室になければあとはどこにあるんだ?考えろ…考えるんだ…。佑に頼らず。自分で…。何で佑のことを今考えたんだ…?佑がいれば佑なら何とかしてくれるんじゃないかっていう俺がいる。舞に言ったことは自分に向けて言っていることでもあったんだろう…。次、舞に会った時にちゃんと謝んないとな。

「どうしたの?考え事?」

「うわ!!おまっ!!ちゃんと座っとけよ、足に負担かけんなって」

いつの間にか、泉が俺の横に立っていた。

「弘はさ、私の家族だし私を助けてくれた恩人だよ。だからさ、悩んでる時とか苦しい時は私のことも頼ってよ。佑君だけじゃなくてさ」

といい優しく頭を撫でてくれた。まるで母親のように優しくそして暖かいそんな安心感があった。

「わ、わかった」

「お、赤くなってる可愛い〜♪」

「うるさいな!!」

「照れない照れない〜♪」

だんだん落ち着いてきた。自分が冷静さを取り戻して来ているのがわかった。これなら考えがまとまる。佑に頼っていた分のツケはこれから生きていく中で返していけばいい。

「泉、ありがとな」

「どういたしまして」

泉はニコッと笑い、先ほど座っていた椅子に戻っていった。さて、考えをまとめようか…。職員室以外に大事な鍵を保管するとしたら?用務員室か、校長室そのどちらかにあるはずだ。校長室は職員室の隣にある。だが校長室の鍵は閉まっていた。とりあえず今佑たちがどこにいるか確認を取らなくちゃな。繋がるかわからんがスマホにかけてみるか。俺はポケットからスマホを取り出し、佑に電話をかける。

「頼む…!!繋がってくれ…!!」

電波が悪いのか。それとも何かに遭遇して出れないのか。だめだ、嫌な考えしか浮かばない。お願いだ。繋がってくれ!!

『お?この状況で電波は通ってたか。どうした?』

「佑!!よかった。職員室に鍵がなくてな、あるとしたら用務員室か校長室だと思うんだがどう思う?」

『その可能性がでかいな、俺たちは今保健室にいるから用務員室に寄って認してみる』

「了解、じゃあ、俺は校長室に見てみるわ。てか、なんで保健室にいるんだ?」

『泉、足怪我してるだろ?だから保健室で使えそうなもの探してたんだ』

「すごいな、佑は」

『ん?何がだ?』

「いや、何でもない。じゃあ、用務員室のほう頼むぞ」

『任せろ』

佑はそう言って電話を切った。さて、校長室は職員室の隣だ。だがさっき確認したが校長室の鍵は閉まっていた。旧校舎の鍵の前に、校長室の鍵を探さないとな。

「琴ちゃん、今何してるかな…」

「今この状況で家に帰ったら琴にも被害が及ぶかもしれない」

「そうだね。早く終わらせて帰ろうか、また三人でご飯食べようよ」

「そうだな、さて校長室の鍵はどこにあるんだ?」

「校長室の鍵なら確か〜」

泉が指差す先にあるのは教頭の机だった。教頭の机の引き出しを全部探す方がこの広い職員室探すより簡単だ。

「というか何で泉は鍵のある場所知ってんだ?」

「今日日直だったでしょ。その時に校長室の鍵は教頭先生の机にしっかり仕舞ってくださいっていうの聞いてたんだ」

「なるほどな」

俺は教頭の机を確かめる。引き出しを開ける。

「お?」

一番最初に開けた引き出しにすんなり鍵らしきものがあった。それをポケットに入れ、残りの引き出しも確認する。しかし、一番最初に見つけた鍵以外にめぼしい収穫物はなかった。

「泉、とりあえず鍵は見つけたが本当にこれが校長室の鍵かはわからん」

「そっか…まぁ校長室で試してみるしかないね」

俺は泉の元へ行き、また肩を貸す。泉の足を気遣いながらゆっくり歩きだす。

「痛くないか?」

「ん…、大丈夫…」

やっぱし、こっちの方がいいか。

「泉、おんぶのほうが万が一逃げる時でもすぐに逃げられる」

「え!?」

耳が痛かった。かなり驚いたのが理解できるが、鼓膜が…

「嫌か?」

「いやいや、嫌じゃないけど!?嫌じゃないけど…その、恥ずかしいというか…」

「はぁ?お前なぁ…家族なんだし別にいいだろ」

「そ、そうだよね…じゃあ…遠慮なく」

一旦肩を貸すのをやめ、俺は屈む。俺は泉の重みを感じ、立ち上がる。

「んじゃ、行くか」

教室を出て、隣の校長室に向かう。校長室で旧校舎の鍵を見つけられれば、簡単な話だが、まぁ行ってみればわかる話だな。

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