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気付いたら非日常に  作者: 重曹:溶解組
7/10

5話 出会い

コツン…コツンと足音が響く。4人で横一列で歩いている。旧校舎の鍵を探すために職員室を目指しているのだがすぐに異変が起きた。

「弘、おかしくないか?」

「やっぱり感じたか?」

「いや、何かまではわからないが後ろから嫌な感じがする」

「な、何が…?」

俺の左腕にぴったりとくっついている舞が言う。俺はいつでも走れるように舞に手を繋ぐように言う

「何かいるような気がする」

俺が後ろを振り返ろうとすると、俺の右にいる弘が「後ろは見るな」とアイコンタクトを送ってきた。だが、次第に弘が感じていたものが分かってきた。音だ。地を這うようなズルッ…というような音。舞の方を見ると舞も音に気付いたようだ。だが、唯一気付いていないのは泉だ。弘の右隣で今の状況を理解できておらず、ただ恐怖を感じているだけのように見える。

音が次第に大きくなるにつれ、弘の顔が険しくなっていった。

「走れえぇぇ!!後ろは見るな!!」

弘の掛け声で全員が走り出したが、走りながら思った。走ってどうなる。後ろにいる何かが消えるのか?消えるとしたらそれはいつだ?それまで走らなければいけないのか?

「きゃっ!!」

泉は足がもつれたのか転んだ。

「泉!!」

弘が叫ぶが弘は一番先頭にいる。泉から一番近いのは舞だが。

「舞、先に行け!!」

「おい!!佑!!」

「弘!!お前が二人を守ってやってくれ!!」

「だ、だけど…」

「お前がやるんだよ!!」

舞の手を離し、泉の元へ走る。泉を起こしたが、足に捻ったのか左足をかばうように立ち上がる。これでは走れない。

「泉?早く弘と舞のとこに行きな。後ろは見るなよ?」

「え…?佑君、何する気なの!?」

「いいから早く行け!!」

俺の声に反応してゆっくりだが弘たちの方へ進み出した。弘たちが先に進むのを確認してから後ろを見ると少し離れたところに片足のない黒いコートを着た女性の姿があった。

「さて、どうしたもんかな…」

距離は離れているが、俺が戻れば泉に危険が及ぶ…。女性と目があう

「足をちょうだあぁぁぁぁああい!!」

叫びながら俺に迫ってくる。俺はどうすればいい。考えろ…!!考えろ!!この状況から助かるにはどうしたらいい!!何をすればいい!!後ろには3人がいる。なら優先するべきは!!

「おらぁああああああ!!」

勢いよく飛び込んでくる女性に蹴りを食らわせる。地面に倒れる女性を確認し、3人が進む方向とは逆方向にいく。そして女性がこっちにくるように挑発する。

「おい、足が欲しいんだろ?なら早くこっちに来いよ!!」

女性に挑発が効いたのか、はぁはぁ吐息を荒げながらまるで昆虫のようにカサカサとかなり速いスピードでこちらに走ってくる。

「ほら、こっちだ!!」

俺と女性の最悪な追いかけっこがはじまる。正直どこまで逃げるべきか、どうしたら女性がいなくなるのか全く考えていない状況。

「あ…やばい」

気づくともう1階の端が見えている。階段を登り2階に上がるかと考えるが万が一3人に遭遇することも考えられる。一気に3階まで上がるしかないか。いや…!!

「チッ…!!」

階段の手すりに手をかけ、階段を勢く階段を駆け上がる。階段の途中の踊り場で体を反転させ女性を確認する。

「ちょうだぁああぁああぁあああああぁあああい!!」

女性は先ほどのように方向を上げながら迫ってくる。俺は躊躇わずに、階段から飛び降りる。正直ほぼ賭けに使いことだが、やるしかない。どこでもいい。当たればそれで!!

「あっははっはっはぁああぁああ!!」

女性は奇妙な笑い声をあげる。怯むな。俺がやらなきゃ、誰がやる。目の前に来た女性の顔面を思いっきり殴る。ベキッと嫌な音がするが今は別のことを考えてる余裕はない。女性と俺は階段から落ちる。俺はうまく受け身をとるが流石に高さがあったか結構痛い。だが、俺は今度は逆方向に走り出す。

「こっちだ!!早く来いよ!!」

走るのが辛いが今はそんなこと言ってられる状況じゃない。息を切らしながらも走る。走る速さは遅くなり、先ほどの行動で余計怒らせたのか後ろから迫る女性の顔は憎悪に満ちた顔をしている。

「く…そ…!!」

捕まる…!!なら!!俺は立ち止まり、逃げることをやめた。女性に向き合い。やり合うしかないと思い。構える。その瞬間、俺の後ろにあるドアがガラガラッと音を立てて開かれる。しまった。後ろにいたにもいたのか!!

「そこの君、伏せて」

だが、俺の後ろからしたのは女性の声が聞こえた。俺はその声の通りに伏せる。女性は俺を飛び越え黒いコートを来た女性の元に。そして手に持っていたバットを振りかぶり女性を殴る。殴られた女性は「ぎゃあぁぁぁあぁ!!」と悲鳴をあげ逃げて行った。だが、気にするのはそこじゃない。どうして急に逃げていったのかというところだ。

「大丈夫?」

女性は俺の顔を覗き込み言ってきた。薄暗く顔ははっきり見えないが、先程までの緊張感と恐怖感が一気になくなり、正直体に力が入らないが、無理に立ち上がる。

「助かりました。ありがとうございます」

とりあえず、助けてもらったからには礼を言わなくてはと思い。俺は頭を下げた

「危ないところだったね、いいよ気にしなくて」

俺は頭をあげる。また、月明かりが差し込んできたことではっきりと女性の顔が確認できた。俺と同年代か一個上だと思うが、俺はそんなことより驚いたことがある。それは目の前にいる女性が俺にブレスレットをくれた女性にそっくりだったからだ。あまりにも似過ぎている。

「ん?どうかした?」

「え?あ、いや、なんでもないです」

「そっか、やっぱり思い出せないか…」

「え?」

「ううん、なんでもないなんでもない。ところで君は何をしてるのかな?」

そう質問してくるのは当たり前だ。だがこの子があの女性に似ているからって本当のことを話すわけにはいかないと思った。

「学校探検てやつですよ、これから旧校舎に行くんですよ」

「そっか、私もついてっていい?」

「駄目です」

俺は即答する。人数が増えると守らなければいけない人数が増える。それに他人を巻き込む訳にはいかない。

「でもさ、さっきみたいなの倒せるのは私だけだよ?それでも連れてかないの?」

確かに一理ある。この女性を連れて行けばみんなを守れるかもしれない。

「ほらほら〜、どうするの?」

ニコニコとしながら俺を見てくる。

「はぁ…わかりました。連れて来ます」

俺はため息をつき、答える。本当は人数が増えるのはごめんなのだが、仕方ない。

「やった、じゃあ、私のことは雪って呼んでね」

「わかりました、雪さん」

ん?雪…?名前に聞き覚えがあるが思い出せない。

「よろしい!!それじゃ、行こうか」

まあ、いいか。聞きたいこともあったからなと自分に言い聞かせ。弘たちを探すために雪さんと歩き出した。



泉に肩を貸しながら、職員室の前についた。職員室の手前にある校長室も一応調べようとしたが、やはり鍵は開いていなかった。職員室の前に泉を座らせ足の具合を聞く。

「泉、足は大丈夫か?」

「うん、歩けるから大丈夫」

走れないんのでは、あいつらからは逃げられない。それに我慢して歩いている。どうするべきか…。それに舞の様子もおかしい。佑がいなくなって不安なのか?

「舞、大丈夫か?」

「なんで…」

「は?」

「なんで佑を犠牲にしたの!?」

確かにあの時、佑だけじゃなく俺も行っていれば佑も一緒にここにいたかもしれない。だが、俺もいままで溜まっていたストレスが爆発した。

「なら何が正しいんだよ!!お前にわかんのかよ!!いっつも佑の後ろにいるお前に!!」

「二人ともやめてよ!!」

俺も舞も黙る。この沈黙が辛い、あの時何も言わなければという後悔がある。

「とりあえず、職員室から旧校舎の鍵を探そうぜ…」

俺の提案に舞は何も答えなかった。そして、一階に降りる階段がある方に進み始めた。

「おい、どこに行くんだよ」

「佑を探しに行くの…」

「舞、危ないよ…私も行く…!!」

「泉は弘と一緒にいなよ、足に怪我してるし。私は大丈夫だから」

泉に微笑みかけるが、俺を見る表情は泉とは違うものだった。冷たい表情。

「あんたに泉を任せたくないけど、ちゃんと守りなさいよ」

といい、舞は佑を探すために走り出した。舞に言ったことを思い出す。佑の後ろにいるのは俺も一緒じゃないか、佑に頼っているのは俺もじゃないか!!今頃後悔しても遅い。今できるのは泉を守ることと、佑も舞も無事でいることを願うことだ。俺は職員室のドアに手をかけ、鍵が開いているかを確認する。するとガラガラっと音を立てドアが開く。いいのか悪いのか複雑な気持ちだが、再度、泉に肩を貸し職員室に入る。

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