逃亡の始まり
第一話なので、話短めです。二話からはだいたい3000~4000で書いていく予定です。
「アレックス!頑張って来いよ!」
「怪我には気を付けてね~。」
「アレックス兄ちゃん……俺、おれっ!絶対強くなる!この村を守れるように!」
大勢の村人に俺は送られた。
「行ってきます!」
俺はこの国の城を目指して歩き出した。俺は『あの事件』以来国の王国兵になるのが夢だった。そしてその夢に向かって歩き出す。行く先はグランシェル城だ。俺のすんでいた村は結構な田舎で交通手段は歩くしかなかった。そのお陰で足腰は鍛えられるんだけどな。
「しっかし、ここは本当に道なのか?」
俺が進んでいるのは森の中だ。道は一応舗装されているのだが……人が通らない事もあって雑草が伸びきっており腰の辺りまであるので邪魔でしょうがない。そんな道あるけど無い道を進んでゆく。
しばらく歩いていると、山のふもとに出た。山は登山客や商売人も通るので手入れはされている。俺が目指している城はこの山を越えた先にある町を一つ抜けた先にある。城への道のりの確認をしながらあるいていると、鉄と鉄の交じり合う甲高い音が響いた。
「何だ……?」
俺はその音が鳴っている場所に向かった。俺は開けた場所に出た。そこには、ボロボロに破れ血も滲んでいる服を着た少女と、甲冑に身を包んだ兵士が二人いた。2対1ということもあり少女は押されている。そして少女がバランスを崩し倒れこむ。チャンスとばかりに剣を振り上げる兵士。
(殺すきか!?)
「ちょっと待った!!」
振り上げた剣を振り下ろさずにこちらに視線を向ける兵士。
「なんだ貴様!?」
「さてはこの娘の仲間だな!こいつも潰すぞ!」
「は?ちょっと待て!俺はそいつの仲間じゃない!」
「騙されると思うなよ!」
「なりふり構わず襲ってくるきかよ!お前ら王国兵だろ!?」
その言葉に返答はなく、剣で斬りかかられる。俺はその剣を弾く。直後横からも斬りかかられた。それを後ろに飛んで回避。横から斬りつけてた兵士の胴に剣を入れる。兵士の鎧に弾かれるが相手のバランスが崩れた。俺は思いっきり蹴りを入れる。そのまま兵士は倒れこむ。
「このやろう!」
それを唖然と見ていた兵士が我に帰り俺に斬りかかってくる。その剣の付け根を弾く。兵士の剣が宙を舞い地面に突き刺さる。俺は兵士の喉元に剣を突きつける。
「勝負あったな。」
「ひ、ひぃっ!」
兵士は怯えながら後退る。そのまま後ろを向き逃げ出そうとした。
「逃がすかよ!」
俺は後ろから剣で攻撃した。兵士はそのまま地面に倒れた。
「!?」
他の足音が聞こえる。王国兵の追っ手か?
「君!逃げるよ!歩けるか?」
「え?あ、うん。」
「とりあえず、山を降りよう。たしか、此処から南東にカームル村があったはずだ。」
「分かったわ。」
「さて、と。」
宿についた僕は早速部屋を借りた。
「まずは自己紹介からかな。俺の名前はアレクサンダー・トレスだ。君は?」
「私はキャサリン・ハワード。」
ハワーズ?……まさかな。
「それじゃ、キャシー。単刀直入に聞くが、なぜ王国兵に追われてる?王国兵があそこまでやるなんて……」
「……敵討ち。」
小さな声でそういった。怒りで声が震えてる。
「両親を殺したあの忌々しい国王に仕返しにいった。」
国王が庶民の両親を殺した……?
「それで返り討ちにあったと。」
「……。」
「ひとつ聞くが、キャシーの両親はなんか犯罪を犯したのか?」
それを聞くとキャシーは怒り出した。
「そんなわけない!両親はある少女を助けるために家を出て行き帰ってこなかったんだ!」
「本当に王国兵がやったのか?」
「ああ。私は帰ってこない両親を探しにいったら、王国兵の剣が父の胸に刺さっていたんだ!」
「だいたいの事情は分かった。だが、俺らは国の反逆者となり指名手配されるだろう。このままだと捕まっちまうな。」
キャシーは俯いてしまった。
「追われることにはなったが、今更悔やんでも意味がないって。だから、元気出せって!」
「……すまない」
「え?」
「アレックスを巻き込んでしまった。」
「気にするなって。俺が勝手に助けたんだからな。」
「……。」
「キャシーは行き先あんのか?」
ふるふると首を横に振った。
「よし!なら俺の村に行こう。地味な村だから隠れるのには打ってつけだ。」
そういって笑いかけてやる。
キャシーはこちらを見る。
「いいの?」
「もちろんだ!」
キャシーの目に希望の光が宿ってきた。そんな気がした。僕らはそこで一晩すごした。