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国を滅ぼす悪役令嬢

悪役令嬢の魔王攻略

作者: ぺいた
掲載日:2026/03/24

「悪役令嬢の序列社会」

https://ncode.syosetu.com/n9825lx/


「悪役令嬢のボディビルディング」

https://ncode.syosetu.com/n4750ly/


「悪役令嬢の腐女子活動」

https://ncode.syosetu.com/n6203ly/


に続く第四弾です。順番に読んでいただけるとうれしいです。

気が付いたらいつもの場所、いつものセリフだった。

また時間が巻き戻った。


「マチルダ様は、貴重な聖魔法の使い手だから、国王陛下も

丁重に取り図るようにおっしゃってましたし、殿下は

そのお言葉に忠実に従っているだけだと思いますわ」


さすがに4回目なので、今までは「でもでも」と食い下がっていた

が、素直に頷いておこう。


「そうですわね。わたくしの考えすぎかもしれませんわ」


ここは王立学園のサロン。私は公爵家令嬢のクラウディア。

今、目の前で私とお茶をしているのは、お友達のジェーン侯爵令嬢。


そして私は、王太子のアラン様と婚約している。

しかし、聖女としてマチルダ男爵令嬢が学園に転入してから、

アラン様が彼女にかかりきりで、やきもきしている状態である。


そして実は私は、日本で生まれ育ち、この世界に転生してきた者であり、

この世界は「日本で遊んだゲーム」と同じなので、知識があるのだ。


なので、聖女マチルダとアラン様の仲にはやきもきしてるけど、

マチルダに文句を言うと、「聖女をいじめた」と断罪されることが

わかってるので何も言えない。


だから他の方法で冷静になろうとしたが、ことごとく失敗して

国を滅ぼしている。3回。

そして3回時間が巻き戻って、4回目の今に至るというわけだ。


それにしても、前回の国の滅び方はひどい。

「聖女の鼻血で魔物が押し寄せたから」国が滅ぶって。

適当すぎでしょ。


学園のある王宮都市には、騎士団も自警団もいるんだし、多少、

魔物が来たからって、国が滅ぶほどの被害が出るとは思えない。


と思ったらなんと、魔物じゃなくて、魔王が来てたらしいのだ。

魔王はそのとき、学園近くのパン屋で、コロッケパンを

買いに来ていたらしいのだ。毎日20個の限定販売を。


そして聖女の血の匂いを感じ、まだ若く、魔力の抑制が効かなかった

魔王は、初めて嗅ぐ聖女の血の匂いに興奮して魔力を暴走させ、

魔王もろとも王宮都市一帯を吹き飛ばしたというふざけた話だ。

バカか。バカなのか。


しかし、魔王が「限定販売のパンを買いに来る」という情報を

得られたのは大きな収穫ではないだろうか。


そもそも、なぜこの国に聖女が必要かというと、「数年後に

魔王率いる魔物達が攻めてくる」からだ。1回目でそうなったから

わかっている。聖女がいれば、その時に、救国できたはずだが、

いなかったので国が滅んだ。


ということは、魔王に直接「攻めてこないで」と交渉して、

同盟を結べれば、聖女がいなくてもなんとかなる、ってことじゃ

ないだろうか。


そしたら聖女のありがたみも減るし、アラン様も今ほど

マチルダと親しくする必要もなくなるはず。


これよ、これだわ! 


私はさっそくパン屋と交渉した。

そして学園にお休みの届けを出して、お昼前にパン屋に行った。

この時間に、焼き立て揚げたての卵コロッケパン、限定20個が

発売されるのだ。すでに何人かが並んでいる。


そこに今、並んだ男の子! この子だ!

10歳くらいに見えるけど、たぶん魔族。

だって、可愛らしいうさぎのかぶりものっぽいフードの、

うさぎの耳が変な方向に曲がってるんだもん。

あそこ、魔族特融の角でしょ。


「ねえねえキミ、ちょっとお話がしたいんだけど」


男の子はちらっとこっちを見るが、すぐ目線を戻して無視した。


「ここのコロッケパン5個を代わりに買っておいてあげるから、

ちょっと列から離」

「5個!? ここはおひとり様2個までなのに!?」


最後まで言う前に食いついてきた。


「ええ、護衛3人に買わせるから大丈夫よ。先に並んでるし」

と、列に並んでいる護衛を手の平で指し示すと、


「…3人いたら、6個買えるよ?」


ちっ。1個は自分で食べようと思ってたけど、しょうがないか。

「じゃあ6個あげるから、話を聞いてくれる?」


「いいよ!」


素直な魔王だった。


私と魔王は近くのカフェに入って座った。そして


「単刀直入に言うわ。あなた魔王よね?」


「!!!」


驚愕した顔の魔王は、ぶるぶる震えながら目をそらし、

なんとかごまかそうとする。


「バ、バカいっちゃいけませんや、あっしはただの野良うさぎ…」


つっこむのも面倒なのでサクサク話を進める。


「あなたが魔王なのはわかってるの。毎日限定コロッケパンを

買いに来てることも」


「な、なんで…」


「その上で交渉にきたの。毎日コロッケパン6個を、あなたのために

取りおいておくわ。だから人間社会に攻めてこないでほしいの」


「なにそれ? 僕は君たちを攻めるつもりなんてないよ?」


そうだったのか。じゃあ数年のうちになにかがあるのかな?


「でも攻めてくることは決まってるのよ。だから不安なので、

同盟を結んでくれないかな。コロッケパンを取りおく限り、

戦争はしかけませんっていう…」


「コロッケパン30個がいい…」


「なんですと?」


「開店時に10個、お昼に10個、閉店時に10個欲しい…

そしたら絶対、人間に迷惑かけないようにする!

魔物たちにも伝える!」


限定20個のコロッケパンを30個とは、大きく出たもんだと思ったが、

これで平和が約束されると思ったら破格の条件じゃない??

パン屋の負担だけ大きくなっちゃうから、王家の力でなんとか

お金とか人員とか増やしてもらえば…。


私と魔王は証文を作ってサインした。

「交渉成立ね!」「成立!」


それから、毎日3回、魔王はパン屋に来るようになり、

店の前でうれしそうにパンを食べる姿が目撃されるようになった。


「あの子、魔王なんだって」

「魔物が来ないのも、あの子のおかげなんだってね」

「あんなに夢中でパンをほおばって…」

「かわいいわねえ」


と、市民の間でもほほえましく見られていた。


しかしある時から、魔王のかわりに魔族がパンを

取りに来るようになって、魔王は姿を見せなくなった。


「魔王最近こないね」

「仕事が増えたのかな?」

「ちっちゃくても王様だものね」


と人々が噂していると、大量の魔物が襲ってきて、国は滅びた。


魔王が来なくなったのは、実は急激な炭水化物のとりすぎによる

メタボで、動くのが億劫になったからだった。


そのまま内臓脂肪増大による高血圧、糖尿になり、心筋梗塞で

急死してしまい、「魔王が死んだのは、人間がよこしたコロッケパンの

せいだ!」と怒った魔物達が復讐にきたのであった。ちーん。

コロッケパン大好きなもんでつい…。卵コロッケ食べたいな~。

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