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8話「ダン、必殺のこんにちは」

主な登場人物

ルーファー・カリン:記憶を読み取る特殊な能力を持つ少女。この物語の主人公

ダン:ベルス第一商隊の隊長。ズボラな適当人間。銃身が長すぎるライフルを武具にしている。

~言葉~

封樹=エル。大樹のこと

封樹の力=エルマ。エルから採られて使われるエネルギー。あらゆるものへの活用がなされている。

封樹の戦士=エルズ。エルマを用いて戦う人間。

 ダンは、男たちの方へ突っ込んで行きながら、ポケットから小さな短剣を出した。

 自分の前腕をそれで切り付けた。傷口からは血が滲みでてきている。

 そこへ、エメラルドの液体が入った小瓶から傷口に液体を流した。


「おい!婆あ、抵抗すると死ぬぞ!」


 男たちは老婆をどうにかするので夢中なようであり、ダンの存在に気づいていないようだ。

 ダンの体の周りにはエメラルド色の粉が舞い始めた。


封樹の力(エルマ)だ…」


 ルーファーはつぶやいた。

 ダンは、そのまま男たちへと距離を詰めていく。

 そして、思いっきり老婆の真ん前の男を蹴飛ばした。


「ウゲェー!」


 とんでもない速度の蹴りで人間が小石のように吹っ飛んだ。

 たちまち、左側にいたもう一人の男も回し蹴りで森の中に蹴りこむ。


「ヨシッと!」


 ダンはウキウキしているようであった。

 残る一人の男が大きな声で


「くそ、何でこんなところに…封樹の戦士(エルズ)がきたぞーーー!」


 と叫んだ。その後、あっけなくその男も蹴り飛ばされていた。

 ダンは大げさに自分の体に付いたほこりをはたいた。

 そして、腰をかがめて老婆の前で膝をついた。


「カレス議員、お怪我はございませんか」


 ダンは今までに見せたことのない真面目な面持ちで老婆に話しかけている。

 老婆は、安心したせいか微笑んでいる。


「ダン、助かったわ」


「あなたが現役であればこんな奴ら屁でもないでしょうに」


「ふふ、だいぶ昔の話をもちだすのね。ダン、注意して。私を襲ったのはこの連中以外にもいるわ。封樹の戦士(エルズ)も混ざってる」


 老婆は真剣な雰囲気をだし、ダンも何が起きているのかを分かっているようであった。


「先ほど叫んでいたのはその封樹の戦士(エルズ)を呼んだということかな」


「でしょうね」


「あっれ~?カレスちゃんの横にいるのは誰かな~」


 森の中から甲高い声が響いた。

 その不快な声は、どことなく敵意に満ちていた。

 ルーファーは、思わずアルスから貰った護身用の拳銃を握りしめた。

 男が姿を現す。垂れた目に鼻が大きい、とても印象に残る顔つきの男である。

 大きく刀身が湾曲した剣をもち、ゆらゆらと歩いている。

 エメラルドの粉末が体を取り巻いている。封樹の戦士(エルズ)である。


「まぁ誰でもいいか、封樹の戦士(エルズ)であることはわかるからね。ヨッ!」


 男はダンとの距離が30mほどあったが、およそ目で追えない速さで距離を詰め、ダンに切りかかる。

 ダンも相手の突進に合わせて先ほどのナイフを相手の刃に合わせた。

 「ギンッ」という音が森に響く。だが、ダンの持っているナイフは簡単に刃が折れてしまった。


「いやぁ、この封樹の武器(エルノード)にナイフって無理あるでしょ」


「創意工夫ってやつだ」


「いや、ただの無謀っしょ」


 男は更に容赦なくダンに切りかかる。

 ダンは細かく避ける。

 するとダンは突然指笛を鳴らした。


「なにそれ、仲間でも呼ぶの?」


「まあそんな感じかな」


「その前にやっちゃうよ!」


 相手は、またしてもとんでもない速度でダンに切りかかった。

 ダンはバックステップを踏み、相手をよける。

 だが、わずかに避けきれず軽く腕から血が噴き出す。


「いたぁ!泣けてくるぜ…」


 ダンがぼそぼそ言い出した。

 『もっとまじめにやれ』とルーファーは思わずにはいられなかった。相手の男は追撃をやめない。ダンは、後方へひたすら逃げる。


「まぁまぁ早いし、面倒だなぁ。よしっ!」


 男は急にステップを切り返し、カレスの方へ進んだ。


「まずい!」


 ダンは少し焦った表情で言った。

 ルーファーは、貰った銃を無意識に男の方に向けていた。

 その瞬間、引き金を引いていた。


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