7話「面接官の車中から」
登場人物
ルーファー・カリン:記憶を読み取る特殊な能力を持つ少女。この物語の主人公
ダン:ベルス第一商隊の隊長。ズボラな適当人間。銃身が長すぎるライフルを武具にしている。
~言葉~
ベルス:ベルス王国。主人公の活動拠点
チーダス:ベルス王国の首都。
ルーファーとダンは、アルスの武器屋のある村から再び商戦車を走らせていた。
ルーファーは一体どこに向かっているのか検討もついていなかった。
「で、結局何がどうなのよ」
ルーファーは怒りを交えて運転しているダンに聞いた。
「あ~、隊員じゃない人になんだかんだいうのはなぁ~」
「ここまで連れといて無関係はおかしいでしょ!」
我ながらあまりに正論をいっていると感じた。
面接の採否もわからなければ、この状況も意味がわからないのである。
「まぁいいか。まず、俺らベルス第一商隊が何をやっている商隊か知ってるか?」
『そういえば』とルーファーは心の中で思った。この連中は一体何の商売で暮らしているのか。
「わからないわ。何をしているの?」
「正直に聞きすぎだろ…せめて少しは興味をもって面接こい」
ダンは少し苦笑いを浮かべていた。ルーファーもよくよく考えるとその通りであると感じた。何より獲得要望が来ていた隊を調べないのは、自分の怠惰と痛感した。
「俺らの商売は、簡単にいうと運送屋だ。」
「運送屋…?」
「それと同時に情報屋みたいな副業もあったりする」
「情報屋…」
ルーファーは言葉の意味は分かるが、いまいちピンときていなかった。
「今回の俺らの業務は、とある国のお偉いさんを『チーダス』まで無事に届けることだ。だがそのお偉いさんってのはまた別の国のお偉いさんから恨まれてんだ」
ダンは話をしながら森の中で車をとばす。ルーファーも話を聞きながら、体が車両に合わせて揺れる。
「無事に『チーダス』に届けるには、その準備として運送の邪魔をしてくるであろう連中をあらかじめ排除する必要があるんだなこれが」
「つまりお偉いさんが『チーダス』にくるのを邪魔する連中、つまり他国のえらいやつを排除するの?」
「まぁそんなことしたら戦争になりかねないから、そこまではやらん。それにそいつらも直接手を下したりしないからな」
「間接的に誰かを利用するってことね」
「そゆことっ!」
ダンはハンドルを思いっきり切った。ルーファーは吹っ飛ばされるかと思ったがシードベルトのおかげで救われた。
「アブね~、動物轢くとこだった。そんな感じで…」
ダンはすぐにハンドルを取り直し、運転と話を続けた。ルーファーはどんな動物がいたのかとぼんやりと窓の外を眺めた。
「動物じゃない!人だわ!人が倒れてる!」
「びっくりした、人?」
「人だよ、人!ちょっと止めて!」
「まじかよ、あれ死体なの…おそろし」
ぼやきながらダンはゆっくりと商戦車のスピードを落とした。
ルーファーは、商戦車のドアを素早く開けて、通り過ぎた道を走って戻った。
すると男が倒れているのを発見した。
「大丈夫ですか?凄い血が…」
倒れている場所には血だまりができていた。
ルーファーはこの男の身なりが整っており、それなりの身分の人物であると考えた。
そして、わずかに呼吸が残っているのを感じた。
「とりあえず治療しないと…」
「いい、俺はもたなぃ…」
男は息絶えた。だが息絶える直前に森の中を指さした。
ルーファーは、その方向に何があるのか気になり、進んだ。
ダンもだらだらしながらやってきた。
「あ~、かわいそうに野盗かなぁ?」
ダンが呑気に予想を立てていることに少しルーファーはむっとしたが、森の中を慎重に進む。すると、3人組の男に一人の老婆が囲まれていた。
ルーファーは思わず飛び出しそうになった。しかし、肩を後ろからつかまれ動けない。
「仕事だ」
ダンはいつの間にかルーファーの真後ろにいた。ダンが肩をつかんでいた。
「仕事…?」
「いいから見てろ」
ダンは勢いよく男たちの方へ突っ込んでいった。




