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2話「知らない人たち」

 目を開けると土埃でかすんだ空が見えた。

 どうやら外で寝転んでいるようだ。だが首に人の温かみを感じる。

 ルーファーは、人の膝上で寝ていることに気付いた。


「目ぇ覚めたー?いや~ごめんね~大丈夫?」


 膝を貸してくれている女が、ルーファーの視界に入り込んで話しかけてきた。ぼってりとした唇に鋭い眼光の短髪の女であった。ルーファーは同じ女でも色気を感じた。そして、さっき「リン」と呼ばれていた女であることを思い出した。


「ええ、大丈夫です」


 リンの膝上から、起き上がろうとすると腹部に鈍い痛みが広がった。地面に落ちた時に強打したのだろう。横目に大柄な男が、大きな穴の横で倒れているのが分かった。

 とりあえず、腰を立ておきあがった。


「ダンさんー!無事みたいです!」


 リンが大きな声で叫ぶ。


「お!アブねぇアブねぇ、警備隊の世話になるところだった。すまんかったね。」


 ダンと呼ばれる男が座っているルーファーに手を差し伸べてきた。

 ルーファーは少しむっとした表情で、手を無視して立ち上がった。

 ルーファーは服についた土を丁寧に払いながら


「この辺にベルス第一商隊の隊屋ってある?」


 ぶっきらぼうにダンに聞いた。


「あ~、そこそこ」


 ルーファーの真後ろをダンは指さした。ルーファーは首を回し、指した方向をみた。


「で、ちなみに俺がそのベルス第一商隊の隊長な、そんでもって、このリンも隊員だ」


 ルーファーは少し考えた。そして、少し状況を理解し、ルーファーはこの瞬間自分の人生を悔いた。なんであのテストのときにもっと頑張らなかったのだろうか、もっと身体能力を強化しなかったのか後悔が脳内を一瞬で巡った。


「なんでそんな絶望した顔してんの、こいつ」


 ダンは小指で耳をほじりながら、リンに尋ねた。


「あ!この子、今日うちに面接にくる子じゃない?写真の顔こんな感じだったもん」


「そうか、そういやいたなぁ」


 ダンは小指についた耳垢に息を吹きかけ飛ばした。

 リンはワクワクした表情でルーファーをのぞき込んでいる。


「名前はねぇ~、うーん」


 リンは首をかしげる。


「ルーファー・カリンだ」


 意外にも適当そうな方が覚えているもんだと、ルーファーは驚いた。


「そうだっけぇ、でもそんな感じもするかな」


 リンはまだ首をかしげている。

 ダンは突然地面に胡坐をかいた。


「なんだかんだやるのは面倒だ。とりあえず見せてくれ、お前の能力を」


「え、ここで?」


 ルーファーは思わず眉をひそめて、尋ねた。


「隊屋もここも対して変わらん。ここでやれ。この後用があって、時間がないんだ」


「なんかかわいそう…」


 リンは少し同情した表情で言った。

 ルーファーはここまでの経緯で若干自暴自棄になっていた。もはやここで面接が始まることは大したことではないように感じていた。


「いいわ、まぁ私に獲得要望出すのは、この力に興味があること以外なさそうだし」


 ルーファーはぶっきらぼうに答えた。

 ルーファー自身は、納得していた。大体人よりわずかでも違う点は「封樹の力(エルマ)」を使えるというところしか思い当たらない。でなければあの成績で、そもそも商士になんてなれないのである。

するとダンは丁度となりに横たわっていた男をつかんだ。

 ルーファーは、自分の見ないところで気を失わせた男であると理解した。


「こいつの記憶を少し覗け。細かいことはいい、俺らを攻めてきた理由をざっくり教えろ」


「いいわ」


 ルーファーはゆっくりと息を吸い。そして、吸った息を体に巡らせ、ゆっくりと息を吐いた。心臓の鼓動がだんだんと早くなるのを感じた。

 するとエメラルド色の粉末が体を取り巻き始める。

 ルーファーの頭の中に、徐々にエメラルド色の球体がイメージされてきた。そこには様々な映像が貼られている。

 そこから、およそ必要そうな部分を薄くフィルムのように刈り取る。

 一枚のフィルムをのぞき込んで、相手の記憶を探る。

 記憶を覗く力、これがルーファーの能力である。


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