表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/22

17話「かわいそうなひと…」

~前回まで~

 ルーファーとリンは、タカン議員の悪事の証拠を集めるため、アジトのあるとされる地下街へ潜入した。そこで敵の拠点と思しき場所を発見した。しかし、ルーファーたちは敵に発見され、逃げ切れず戦闘をする羽目に。

 ルーファーと リンが限界の状態で戦闘をしていると、空からミカゲが救援に現れる。 追手が迫る中、商戦車に乗ったネルが登場し、ルーファーたちは脱出のチャンスを掴んだ。

 ルーファーたちは、商戦車に乗り込み何とか危機を脱した。

 機関銃を商戦車の後部に打ち込まれまくったが、封樹の力(エルマ)をこの車は行使できるらしく何事もなかった。

 そして、ネルは二カウスの門の方へ車を走らせた。


「え、隊屋に帰らない?」


 ルーファーは、ネルの言葉を聞き驚いた。


「一旦アルスのいる村まで行くよ。この首都にいても命が何個あっても足りないからね」


「確かに隊屋も安全じゃないだろうけど…ダンは大丈夫なの?」


「ダンはね、とある金持ちを奥さんにバレないように、浮気相手のところまで運ぶっていう仕事してるよ、結構儲かるみたい!」


 ルーファーはダンのことをわずかでも心配をしたことを後悔した。

 ネルは『よっしゃ先を急ぐよ!」というと、アクセルを全力で踏み、車をかっ飛ばした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 村では、ダンがアルスの武器屋の椅子に座って煙草をふかしていた。

 アルスはどうやら店内にいない様子である。


「おー、お前ら無事か?」


 ダンが呑気な様子で尋ねてきた。


「無事ではある…でも、ごめんね、ダン。私たちの作戦、ばれちゃったみたい…」


 リンは申し訳なさそうに言葉を発した。

 『リンは頑張ったのだから謝る必要はない』とルーファーは強く思った。

 すると、


「いや、大丈夫だ。もともとバレていたらしい」


 ダンはやけにあっさりと言葉を並べた。


「なんならお前らには尾行もついていたんじゃないかと思うんだよなぁ。うん、リンのせいではないよ」


 リンは、ダンの言葉に少しホッとした様子でいた。

 ルーファーの頭には、『もし尾行ならどこからされていたのか』、『あの飲食店に入ったのは本当に偶然なのか』様々な疑問が巡った。


「何かあったり、見れたりしたのか?細かいことは封樹(エル)通信では聞いてないからな」


「見たっていう証拠まではあるんだけど、物とか人の証拠がないから、成果としてはなんとも言えないんだよね…」


 リンは、責任を感じて再び暗い顔をした。


「いや、そこの拠点そいつらも使えなくなるし、もう1個を潰せば実質的タカンの行動は拘束できるよ。しかも、別の件名で令状を立てられる予定だ」


 ダンは冷静な様子で状況を整理した。

 しかし、ルーファーは『別の件名』が気になった。


「なによ、その件名は」


 ルーファーは思わず聞いた。


「監禁だ、そこには女子供が大量にとらえられているらしい。経緯はよくわからんがね…」


 ダンは先ほどまでとは打って変わって真剣な眼差しで話した。

 ルーファーは『演説男の「家族を解放」とかいう発言と何かつながるのかな』と考えた。

 ダンは煙草を灰皿に押し付け、火を消した。


「今回の捜査は、商隊案件だ、ベルス騎士団は採木で出払っているからな。警備隊も戦力的に不安だしな」


 ルーファーは、この拠点潰しは自分たちでやるのだと理解した。

 この国の商隊は、元々の成り立ちが戦争の際に軍隊以外の必要戦力としての役割があった。特権的な商業地位と引き換えに、採木や軍事といった役割を担うことが求められている。そして、公的な役割から商士学校の修了という資格も付した。

 商士学校では、当然捜査と制圧も学ぶのである。


「商隊はどこが参加するの?」


「コルダン議員を擁する「ベックス商隊」、カレス議員を擁する「チーダス第二商隊」、バダン大先生を擁する我ら「ベルス第一商隊」の3隊だ」


 各小隊は商議会に1人づつ議員を送り込むことができる。

 ルーファーは有名議員のことは知っていたが、バダンの名を聞いたことがなかった。


「バダン?商議会議員なの?」


「そっか、あったことないのか。商議会議員で、この村に普段住んでるんだ。おーい、リン」


 リンは武器選びの手を止めてやって来た。


「何ー?」


「バダンを呼んできてくれ」


「え~、バダンかぁ。今度の商議会に向けて資料作りで死にそうって言ってたんだけどな~」


「いつも準備してもうまくいかないんだし、いいよ」


「そうね、いつもガチガチで上手くいかないから、いいね。呼んでくる!」


 リンは扉を飛び出した。

 そして、数分待っているとドアが『バンッ!』と開いた。


「リンさん、死んじゃうよ…」


 リンの傍らに男が抱えられていた。


「おーバダン!」


「なんですかダンさん」


 抱えられている男はダンに少し語気を強めていた。


「こいつが新しい隊員のルーファーだ」


「よろしくお願いします。ルーファーです」


 ルーファーは抱えられている男に近づいていき挨拶をした。


「どうも、商議会議員のバダンです」


 バダンは顔を上げルーファーの方を向いた。

 そして、丸眼鏡のおかっぱ頭の妙に面白い顔をした男だとルーファーは感じた。


ここまでの主な登場人物

ルーファー・カリン:記憶を読み取る特殊な能力を持つ少女。この物語の主人公

ダン:ベルス第一商隊の隊長。ズボラな適当人間。銃身が長すぎるライフルを武具にしている。

リン:ベルス第一商隊の隊員。明るく親しみやすい性格の天然キャラの女。

アルス:武器屋の主人。

~言葉~

封樹=エル。巨大樹のこと。

封樹の力=エルマ。エルから採られて使われるエネルギー。あらゆるものへの活用がなされている。

封樹の戦士=エルズ。エルマを用いて戦う人間。

ベルス王国=ルーファーたちが暮らす大国

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ