16話「ベルスの銃声」
ここまでの主な登場人物
ルーファー・カリン:記憶を読み取る特殊な能力を持つ少女。この物語の主人公
ダン:ベルス第一商隊の隊長。ズボラな適当人間。銃身が長すぎるライフルを武具にしている。
リン:ベルス第一商隊の隊員。明るく親しみやすい性格の天然キャラの女。
アルス:武器屋の主人。
大きな銃声が鳴る。腕がものすごい勢いで持ち上がった。
「ルーちゃん⁉」
リンは驚いて声を上げた。
ルーファーには、この銃弾の進みがとても遅く感じた。
弾丸が螺旋に回転していて、近くの空気を巻き込みながら進んでいるのがよく見えた。
そして、弾丸は狙いを定めた男と1mほどの距離になる。
すると、弾丸は一気に減速した。
『あっ、効かないんだ』
ルーファーは、自分の間抜けさに悲しくなった。
弾丸は敵にコツンとぶつかり、コロンと転がる。
『ハア、もう色々悲しくなってきた、リンごめん、私無能で…』
全身の力が抜け座り込み、ルーファーは、もう何かをする気力が残っていないことがわかった。
「バタンッ」
目の前の男が倒れた。
「え、どういうこと…?活動限界?」
2分も経っていない。ただ地面に男が倒れている。
あるとしたら、銃弾を打ち込んだ以外に特に原因が見当たらない。
『とにかく意味がありそうなことをやらねば』とルーファーは瞬時に考えた。
周りの敵は慄いていて、『今しかない』と思い、2発、3発と敵に打ち込んだ。
だが銃弾は、敵にコツンとぶつかり、コロンと転がる。
「やっぱり効かない?」
「グハッッ」
そして、敵は何人か倒れていく。
ルーファーには、理屈がわからなかった。
だが、敵も腹を決め突進してくる。
「ルーちゃんよくやったよ、逃げるよ!」
リンが、突然ルーファーの手を取った。
自分の側にいる敵をすべて蹴散らせて助けに来てくれたのだ。
「私は、無理…先行って…」
足が限界を迎えていた。
腕は、上がらない。とてもじゃないが走れないとルーファーは思った。
すると、リンがルーファーを背中に乗せ、立ち上がった。
「今度は私がおんぶ―!んじゃ、行くよ!」
リンも限界のはずだろうが、おぶって走り始めた。
「こっちだ!」
空から声が聞こえた。ミカゲであった。
「よくわかったね、ここ」
「銃声が聞こえたんだ」
「さすがミカゲ先生!てか、ミカゲもボロボロだ」
ミカゲもいたるところから出血をしている。不安定に空を飛んでいた。
「ああ、ちょっと待ってろ」
すると、ミカゲは空に向かって何かを飛ばした。
「パンッ」
空に小さな花火が打ちあがる。
何かの合図ように用いられるものである。
「気づくはずだ!」
ミカゲは花火を見上げてつぶやいた。
リンも花火を見上げて黙っている。
「逃がさねえぞォ!」
敵が追ってきている。活動限界を迎えた敵は地面に突っ伏しているが、他の連中が地下から上がってきているようだった。
前から、車の音が聞こえた。
「あっ、うちの商戦車だ!なんか手え振ってる」
リンが目を細めて見た。
「おーーい!!」
運転席から金髪の男が手を振っていた。
ルーファーはどこで見たことのある顔だと思った。
「ネル!」
リンの顔色が何段階も明るくなった。
ルーファーは初日に遭った男だと気づいた。
商戦車が目の前に止まった。
「ヤッホー、みんな元気かなぁ?ん~?どうやら、疲れているようだね」
「うん、結構疲れたよ。ルーちゃんもこんな感じ」
背中をネルの側に向けた。
「ルーファーも大変そう。ま、そういう日もあるよねぇ、って、あれ~?あれはやばそうだぞ、でっかい機関銃だ」
追手の敵が機関銃を持って来ていた。
「ああいうの本当に迷惑!」
リンは、ほっぺをふくらまし相手をにらんでいた。
「いいから乗れ!死ぬぞ!」
ミカゲは羽をバサつかせて、急かした。




