13話「この国の最高戦力」
主な登場人物
ルーファー・カリン:記憶を読み取る特殊な能力を持つ少女。この物語の主人公
ダン:ベルス第一商隊の隊長。ズボラな適当人間。銃身が長すぎるライフルを武具にしている。
リン:ベルス第一商隊の隊員。明るく親しみやすい性格の天然キャラの女。
ミカゲ:しゃべるフクロウ
~言葉~
封樹=エル。巨大樹のこと。
封樹の力=エルマ。エルから採られて使われるエネルギー。あらゆるものへの活用がなされている。
「具体的には何をするんですか?」
ルーファーは横にいるリンに尋ねた。
「いいよ、そんなかしこまらなくて。もう仲間だしね!」
リンは、ルーファーに思いっきり抱きついた。
ほのかな甘いにおいが鼻に広がった。ルーファーは、この匂いがリンの色気を助長していると感じた。
「おい、リン。早く話せ」
いつの間にか部屋に入ってきているミカゲが羽を広げてイライラしていた。
「はいはーい。私たちは、ルーちゃんも見たと思うけど人を狂暴化させる『封樹のナイフ』のアジトの場所を調べるよ」
「あれは『封樹のナイフ』というのね」
「勝手に私たちが呼んでるだけだよ!私が名付け親!」
リンは、誇らしげに胸を叩いた。
「場所はわかるものなの?」
「場所は2箇所に絞られているよ。ミカゲともう一人の団員が調べてくれたの」
もう一人の団員は一体誰なのか、ルーファーはややこしくなりそうなので触れなかった。
そして、気になったことを聞いた。
「2箇所から絞れなかったの?」
「そう簡単にいうな。タカンの物を保管する連中は、ほぼ悪人だ。ここまで絞る過程で協力者が死にまくった。残り2つのところで、最後頼りにしていたやつも殺された。これ以上は無理だ」
ミカゲが怒気交じりの声で答えた。ルーファーは、自分の配慮のなさに少し申し訳なくと感じた。
「そこでルーちゃんの力を頼るわけ!」
リンが私の顔を覗き込むようにして言った。
「私の力?」
「そう、そこにいる連中の何人かをとらえて記憶を見る。それによって、アジトの中に何があるのかがわかるから、中をわざわざ突撃して把握する必要がなくなるってわけ」
ここにきてルーファーは、自分の果たすべき役割がわかった。
「そして、見つけた後はどうするの?」
「今回はどうすんだろ」
リンは大きく首を傾げた。
そこは、やはり曖昧なんだとルーファーは理解した。
そしてルーファーたちは、地図などを準備をし、その拠点の一つがあるとされる首都の大通りへ向かった。
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首都チーダスの中心地は、真っ白な石造りの都市である。その美しさは他国の王も羨望の眼差しを送るほどであった。
ルーファーは、そんな中心地にタカンの拠点の一つがあるとは思えなかった。
ルーファーも中心地のとある大通りに住んでいるが、正門に続いている通りではなかった。正門は『ベルスの門』と初代王の名前がついている。
そんなベルスの門に続く大通りへ向かって歩いていると、民衆が大通りに大挙しているのがわかった。
そんな人混みを抜けると大通りの真ん中に兵士たちが歩いていた。
「あ、ベルス騎士団だ!」
リンが大きな声を上げる。ルーファーもその存在は知っていた。
この国を支えているのは封樹の量。この国には500本超の未採木の封樹があり、世界の国が平均で100本あれば相当良いとされるが、それらの国を圧倒する量である。
もう一つこの国がその封樹を守れているのが『ベルス騎士団』の圧倒的な強さである。
国民からの支持も厚く、英雄視されている。
「凄い人気ね」
もみくちゃになりながらも前に進んだ。
そして、人混みの合間を縫うと丁度ポケットに入り真ん前まで出た。
「この国を支えているっていうのは事実だしね」
リンもベルス騎士団への信頼を滲ませていた。
リンも目を輝かせて隊列を見ていた。
「あ!本命登場!」
奥からものすごい歓声が聞こえた。
地響きのような歓声の中を4人の男女が歩いている。
甲冑姿の老騎士の男、大きな斧を持って二やつく大柄な白髪の男。
そして、やたらと胸が開いた服を着て、腰をくねらせて歩いている女。
最後に比較的軽装の若い美男子が剣を腰に携え歩いていた。
「バック~!」
リンはその4人組に大きな声で呼びかけた。
すると、白髪の男が隊を飛び出しこっちへやって来た。
「リンじゃねえか、俺の門出を祝いに来てくれたのか?」
白髪の男は満面の笑みでリンに話しかけた。
「いや、たまたまだよ!」
「悲しいこと言うね~、リンはもう20才だろ?そろそろ俺との縁談はどうよ?」
ルーファーは軽薄そうな男に少し嫌気が指した。
だが、リンもあまり相手にしてなさそうで安心した。
「いや、私はダルガスの方が好き!」
「趣味悪いぜ、あのじじいは頑固なだけだぞ。やめとけって」
バックと呼ばれた男は、首を横に振り呆れた様子をしていた。
「ダルガスのように渋いのがいいの!」
リンは通りを歩く甲冑姿の老騎士のほうに目を向けた。
「俺のが渋さに気付けんとは、まだお子ちゃんだなぁ」
「おい!バック、隊を乱すな!」
若い美男子が声を張り上げ、バックに声をかけた。
ルーファーはあの若い男の覇気に少し驚いた。
「おっかね~、じゃあなリン、また会おう!」
ルーファーには結局一瞥もくれず、男は隊列の中に戻っていった。
「ベルス騎士団の人と知り合いなんだ、すごいね。」
ルーファーは、この国のエリートとリンが知り合いなことに素直に驚いていた。
「バックは私と故郷が一緒でね。昔から知っているの」
リンは目の前の隊列をボーっと眺めている。ルーファーは、あの四人組の雰囲気から、何となく彼らが、ベルス騎士団を構成する4部隊の部隊長であろうと考えていた。つまり、あの4人がこの国の最高戦力だと感じた。
そして、突然リンはふたたび私の方へ向きなおし、
「そしてね、ちょうど私たちが向かうべき1か所目のアジトがこの下よ」
地面を指さした。




