八、花園護衛 後編
第八話目です!
「なるほど…烏を追っているついでに見回りと」
納得したように爽は言う。
「器用だな」
ついでにそう付け足してきた。
「後宮は一見平和そうですからね」
「そんなことないぞ」
スッと静かに建物の影を指す。
そこでは、女官が手足を縛られて動いていなかった。
華楊はすぐさま駆け寄ってみる。
なんとか生きていた。
気絶しているようで、傷だらけで動かなかった。
手足の縄を解くとその女官を背負った。
「俺が持とうか?」
「いえ。これが私の仕事ですので。それと医務室はどこですか?」
裏で色々なことを企む後宮では珍しい外傷。
だが、これも建物裏だったこともあり目撃者もいるとは思えない。
「大丈夫だからな。すぐに助ける」
気を失っている女官に言うと華楊は医務室に急いだ。
___医務室___
「特に命に関わるような大事には至っていないですね」
医官は診察した結果を伝える。
「それは良かった」
安堵した華楊。
危険な敵と戦うのは楽しいが、それでも被害者は絶対に出してはならないと思っている。
「…というか、なぜにわざわざ主上が来ているんですか」
「仕事が終わって暇だからだ」
爽は抑揚のない口調で答えた。
「主上」
医官が唐突に爽に話しかける。
「なんだ?」
「最近、お加減はいかがですか」
「それなりだ。医官の世話になるほど体調も悪化しない」
爽の態度に少し違和感を覚えているようだったが、皇帝の体調の方が気になったらしい。
前は悪かったのだろうか。
健康そうに見えるが、具合が悪いこともあるだろう。
「そうですか。それは良かった。何かあればいつでも呼んでくださいね」
「お前は信用しているからな」
医官は柔和な笑みで爽を見る。
雰囲気からして爽の小さい頃からの知り合いのようだ。
「俺は、先に帰る。それと服を手配しておいたから着替えさせてやれ。流石にその格好は不衛生だ」
それだけ言うと爽は帰って行った。
「性格が変わりましたねぇ。何というか反抗期みたいですねぇ」
「性格が変わった?どういうことだ?」
華楊は気になって尋ねる。
「前はもっと、爽やかと言いますか…あんな風に冷たくなかったのですが、最近お疲れのせいか性格が変わってきまして…」
爽やか…よくわからない。
冷たい態度の爽しか知らない。
いや、そこまで冷たくはないのかもしれないが。
「なので、気にかけてあげてください。華楊さま」
「もちろん、側近として主人の体調管理も仕事のうちだ」
なんやかんやでちょうど日が暮れてきた。
「烏、まだ見失ってないな」
簪少女にはまだ、烏の見張りを続けさせていた。
相当動き回って疲れたようで顔には疲労が滲む。
「はい、今ちょうど巣に帰っているのか引き返して行って…」
「そうか。あとはついて行くだけだな」
「はい」
烏を追っていると木に巣があり、色々なキラキラしたものが集まっていた。
「私の簪、ありました!」
飛んでいた烏をよく見失わなかったなと関心する。
それくらい大切なのだろう。
木に登って、烏に攻撃されつつ取ってあげる。
「ありがとうございました!」
少女が深々と頭を下げてきた。
「これが仕事だからな」
華楊はだいぶ日が沈み始めた空を見た。
「充実してるのかな?」
華楊は珍しく暖かな笑みを浮かべた。
ありがとうございました!
次回もお楽しみに!




