三十一、真相解明 Ⅰ
「は?」
爽は困惑の表情を見せた。
「全て…というのは意味的に広すぎるかもしれませんね」
華楊は悲しそうに目を細めた。
「まず、順を追って話しますか…」
皆の前に出た華楊は口を開いた。
「陛下、連国には代々忠誠心を持って支えてきている家系がありますね」
「従連家のことだろ…?」
さらに困惑した様子を見せる爽に華楊は申し訳なくなった。
「はい。私たちは連国に対してとても恩を感じ付き従っています。そして皇族の方々からもある程度の信頼を置いている…つまり裏切るには絶好の立ち位置なのです」
その瞬間空気が凍りついた。
「従連家のものが裏切り今回のことを仕組んだというのか。まぁ、これだけ近くに親族がいれば裏で手を回して帝を動かせるだろうが…」
唇を噛み悔しそうな顔をする爽。
信頼していたものの誰かが裏切ったかもしれないのだから仕方がないが。
「従連家が手を回せると言っても出来ることには役職ごとに限りがあります。そしてその制限が出来る限りかからないのは陛下の側近です」
自分の胸に手を置いて華楊ははっきりと言った。
知っている…華楊は正直だ。
何事にも。
「自分に疑いがかかるぞ。そんなこと言っていたら…」
爽の言葉に華楊はコクリと頷いた。
それを承知で言うということらしい。
ならば、話を聞きたい。
「私としても身の潔白は証明出来ません。ですが、私よりも犯行することが安易な人がいます」
「…海蘭とでもいうのだろう」
分かりきっていることだ。
「推理を話している時に先を言わないでください」
少しむすっとする華楊を見てもっと揶揄ってやりたくなったがここまでにしておこう。
「まぁ、はい。海蘭が犯人でしょう」
いいところを持って行かれて華楊は不機嫌になった。
まぁ、話の流れ的にもアリバイを証明できる時間が少ないことも含めれば分かるし、つい言いたくなってしまう。
「彼は今までずっと陛下のそばに支えてきました。そこから得られる情報を流すのは容易いこと」
「そりゃそうだ」
それくらい分かっているとでも言いたげな顔をする爽に華楊はまたもや不機嫌になった。
「では、海蘭はどうやって情報を流していたんでしょうか?」
「それは、外で会って…」
「そうじゃないんです」
勝ち誇った顔を爽に向けつつ華楊は首を横に振った。
「外じゃないんです。実は、この答えは衛部の翠珠が関係しています」
翠珠は元服した当初から衛部で働いていて、信頼も厚い方だ。
だが、人は表だけでは判断できない。
「それで翠珠が真犯人…と言いたいんですけど衛部の白王が手引きしていたとしたら?…残念ですけど翠珠の疑いが晴れてしまうのです」
残念ではないだろ…。
内心ツッコミつつ爽は華楊の話を聞く。
「白王は海蘭から仕事に織り交ぜて陛下の情報を渡していたのです」
「それで、どうして翠珠が出てくるんだ?」
「翠珠は衛部には向かない人間だったからです」
「向いてない?」
華楊は直接聞いたわけではないのですが…と話し始めた。




