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二十九、欲がある

二十九話です!

「最終手段で平和を取り戻す…」

そう現実は甘くないと思いつつ、爽は隣国の長が住む星楼宮せいろうきゅうに足を運んだ。



「連国、皇帝爽だ。話があって来た通してもらえないか?」


宮の門番にあえて素性を明かして入ろうと試みたのには訳がある。



___五年前___


「可樹、これはどういうことだ」

元国の重鎮である可樹は三年前から計画していた国権の簒奪計画を実行しようとしたところでバレて今、糾弾されている。



「どういう、ねぇ…ははっ私には欲があるんです。皇帝陛下…貴方と違ってね。自分の国を作るという…そのためですよ」


皮肉っぽい笑みを浮かべつつあっさりと言ってのける。


「だから、それがどういうことだと…」


「…もういいぞ」

爽はため息を吐きつつ言った。



「いや、国を乗っ取ろうと…してるんですよ、ね?」

爽があっけなく答えるので海蘭はつい疑問系にしてしまった。



「あぁ。だから、それがいいって言ってるんだ」


「は?」

部屋にいる皆が同じ声を出した。

流石にヘラヘラ笑っていた可樹の顔を訝しげな顔になる。



「まぁ、国を乗っ取られるのはアレだから、近くの開いた土地にでも追放しとけ」

この時、一度国という国が戦争を起こしたせいで国境が曖昧になってしまっている土地がいくつかあった。


そこに追放という名目で勝手にさせておけば良いと言っているのだ。


そんな馬鹿な…という皆の目線がすごい。



「お気遣いいただきありがとうございます」

優雅な態度でお礼をした可樹は嬉々として部屋から出て行ってしまった。


慌てて爽の部下が追いかける。



「爽さま、え、どういう…は?」


あんぐりと口を開けたまま海蘭は固まってしまった。

「勝手にさせといたらいいさ」



そして、可樹が突貫で作った国に訪れることになった爽。


「ようこそ。私の国へ」

皇帝と対等の立場になり、調子に乗っているのだろう。

ふんぞり返った様子で出迎えをしてくれた。

「その態度は…」


海蘭がボソッと言った。

だが、仮にも国を作ったと言っているのだ下手に出られない。



「俺は貴国と条約を結ぶために来たのだ」

爽は可樹の前に座った。

茶菓子も出さずにそのままということは敬うとか媚びる様子はないようだ。



「条約…だ?」

苦い顔をしながら「して内容はなんだ」と先を促して来た。

「絶対に争いを起こさないという条約だ。条件は何もない」


薄っぺらい笑みを貼り付けて爽は提案してみた。


「………そうだな。…そうしよう」

途中のこれ見よがしに入れられた間に違和感しかなかったが、言質は取ったとさっさと書類を書いた。




___少し前___

「あの時の俺はどうかしていた…」


後悔しかしていない。

国の建国を許してしまった自分が悪い。


可樹は頭がいい方だと思っていたのだが…条約違反とは…。

「どうなるか、思い知らせてやりたいところだが…その前に話をしたい」



ということで今に至る。



「…」

門番は訝しげな目で爽を見る。


「確認する…」

門番の一人が母屋の方へと歩いて行った。


待たされること、十数分。

暇すぎてあくびを噛み殺していた時、門番が戻って来た。



「来い。許可が降りた」



ようやく、話せる。


ありがとうございました!!

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