十二、番外編 その一
第十二話目、番外編です!
この番外編は本編にも関するのでご注目ください!
「お前、妹がいるんだな」爽は海蘭に尋ねる。
従連家の妃が来るという話を聞いた時、海蘭の妹が来ると知った。
「えぇ。まぁ」
相変わらずそっけない。
「どんな人だ?」
「…なんとも、偉そうな奴です。それと、あんまり妃には向いていないかと…」
渋い顔で答える海蘭を見て、爽はどんな感じの人なのかある程度予想がついた。
きっと、粗暴な人間なのだろう。
「分かった」
従連家の人間は後宮内に一定数いる。
護衛の海蘭、衛部の翠珠、軍部などにもたくさんいる。
「あの家だからなぁ」
従連家の人間は癖が強い。
そこまで癖がない人もいるが、特に本家の兄妹たちは癖が強すぎる。
「護衛としてダメなら妃としての方も見てやってください。もちろんその逆も」
一応の保険だ。
「分かってる。そんなすぐには切り捨てない」
「さすがはお優しい皇帝」
茶化すくらいには仲がいい二人だ。
爽はやめろと言わんばかりの目線を送った。
「そういえば…最近、国外の情勢が悪化しているらしくて国境付近でも被害が出ているそうですよ」
「国交問題は政部に一任しているからな…。聞いてみないとよく分からない」
もしもその影響が後宮まで及んだら、妃たちの安全も確かなものじゃなくなる。
となると、さらにその親たちからの反発で…と悪循環だ。
「どうしたものか…政部の方ではどういった話をしているんだ?」
「とりあえず、関所を固めているそうです。国内に被害が及ばないように、と」
それとこの国が邪魔だと言う刺客が現れてさらに混乱しているらしい。
「今度来る妃はどれほどの成果を出してくれるものか」
爽は爽やかな笑みを浮かべた。
「…うちの妹はそれなりに期待してもいいかもしれませんね」身内などであまり褒めるのもなんだとは思うが、妃よりも圧倒的に護衛の方が向いている。
「お前が言うなら少し信用できるな…」
ニヤリと楽しみのようで笑みを浮かべる。
齢二十五で基本的に治安の良い国を治めているはずの皇帝だが、なぜか物語には波乱というものが付きものらしい。
爽はこれから来る妃が思っていたよりも大人しいことに驚いたのだった。
ありがとうございました!