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十、刺客…前兆編

第十四話です!

「なんか久しく感じるな」

爽がボソリと言う。


「はい、今日からはしっかりと護衛をさせていただきます」

皇帝の護衛だ。

気を引き締めて職務を全うしないと。



「頼んだからな。…思い出した、今日は衛部のやつが来るとか言っていたな。近況報告とかで。確か…翠珠とか言う」


これ見よがしに言ってくる爽を見て、凛は慌てて部屋を退出した。



「ふっ、ははっ」


凛が出て行った後、爽は思わず吹き出してしまった。

護衛が可愛らしく見えてしょうがない。


「守ってくれよ」





___翠珠が帰ったのを確認した後___


「刺客…」

書類に目を通しながら、物騒な単語を呟く爽。


「どうされたんです?」


「最近、刺客が多いらしい。今までに三人もの高官を狙っているみたいだ。まぁ、だがその三人は致命傷には至っておらず、回復しているようだが」



書類にはその詳細が書いてあったのだろう。


高官三人はそれぞれ軍部、皇部、中書省の人だったらしい。


軍部はその名の通りに軍を動かす部署で禁軍などの鍛錬も任されている。

皇部は皇族に関わるあれこれを総合的に解決したりする皇族専門の部署。

そして中書省は皇帝の命令を起草して門下省に引き継ぐ部署だ。


どれも皇帝に近い者ばかり…。



危険かもしれない。


「護衛は強化しないのですか?」


万が一大勢で乗り込んできたら一人で対処できる気がしない。

「その辺はお前を信じている」


無責任極まりない。

貴方の首が飛んだら、こっちの首も飛ぶのだ。


その辺を理解してほしい。



「…私も貴方を信じます」



お互い信じていないとこの護衛は成り立たない。

信じ合える護衛こそ、本気で仕事を全うする。


効率的な選択だ…。



「もしかして、衛部の人が来たのって…」


その質問に爽は鷹揚に頷く。

「そういうことだ。念のため、俺の宮の周りは衛部総出で警備をしているそうだ」


「そうなんですね」

皇帝に何かあれば大惨事だ。



「なぁ、華楊。護衛ならそんな風に離れた位置じゃなくてもっと近くにいろ」



爽の席から少し離れたところにいる華楊に言う。


「いや、十分近いですよ」


「側近は遠慮するな」

華楊の腕を引っ張りその勢いで爽の膝の上に座らせた。

「な!?」


やり過ぎだろ、おい!


皇帝の膝に座る護衛なんて、職務怠慢も良いところだろう。

すぐに降りようとするとお腹辺りにぎゅっと力を込められて、なんだか降りてはいけない気がした。


すると、次の瞬間さっきまで華楊が立っていた場所にぽっかり穴が空いたのだ。


「は?」

華楊は驚きで目を見開いた。


そこが抜けたわけではない。

明らかに人為的に施された仕掛けだった。


そして、その後廊下が騒がしくなり叫び声が聞こえた後静かになった。


「大丈夫ですか?」


護衛がさほど心配していない様子で部屋に入ってきた。

爽なら避けられると思っていたのだろう。



「あぁ。大丈夫だ」

それを聞くと護衛は戻って行った。



爽の上に華楊が座っていることに突っ込まなかったのは幸いだろう。


「お前、あそこが定位置になっていただろ。できるだけ定位置は作るな。狙われやすくなる」

爽がいてくれよかった。


まだまだ甘いなと痛感する。



「…あ、すまなかった」

爽は今、自分がしたことに気づいて華楊を降ろした。



「いえ、本当にありがとうございます」


「気をつけろよ」


それは災いの前兆だったのかもしれない。



この後、起きる事件は後の世まで語り継がれるとか。


その詳細はまた今度…。



ありがとうございました!

次回もよろしくお願いします!

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