自然の中には宝箱⁉︎
「お父さん…」
周りにはたくさんの人たちがいる。多分他の人も私と同じ気持ちだろう。自然に涙が溢れていく。
「なんでこんなの残して行っちゃったの」
溢れる私の声が風といっしょに空へと飛んでいく。…
スマホをスクロールしていく。私はスマホとにらめっこをしていた。スマホで見ていたのは、『自然の宝である篠塚キャンプ場が立ち入り禁止⁉︎』『篠塚キャンプ場事故で立ち入り禁止』という記事。内容はみんながわかるようにある事件だ。詳しくいうと噂が事件を起こし、人の命を落としたのだ。もうため息しか出せない。「もう、現実は変わらないわよ。早くご、は、ん!」お母さんは呆れたようにすぐさまキッチンに帰っていった。私はしぶしぶリビングにいき、ご飯を食べる。他の人は、なんなのその記事?とか確かに悲しいニュースだけどそれがなんなの?って思うかもしれない。私だって篠塚キャンプ場に1回くらいしか行ってなかったらそう思うだろう。でも、このニュースは私に深く関わっている。でもまさかもっとこの事件に関わるとはこの時は想像をしていなかった。まさかこんな結末で自分が思うより私が深く関わっていた事を…
今日は晴れで気温もちょうどいい。まさにお散歩日和というのは今日のような日の事だ。そしてみんなも元気だ。でもただ一人私は、元気がない。元気というものがわからなくなった気分だ。多分私はあの事件が解決しなければ元気にならないはずだ。
「お、今日は早いね〜キ〜キさん」
「はいはい、どうも。というかキキさんって何?」
「全然ありがたく聞こえないんだけど。なんかキキさんって言いたくなった。」
今世間話をしているのは、河野舞奈美。1歳からの大親友だ。少なくとも私はそう思っている。私が悔しがってたら一緒に悔しがってくれたり、悲しかったらずっと寄り添ってくれた。だから、私のたった一人の大親友なんだ。
「またスマホ〜?目、悪くなるよ〜」
「そりゃそうだけど」
確かに奈美の言う通り、目は悪くなるだろう。だが、私はずっと見ていたいのだ。 この残酷なニュースを解くまでは。
「そういえば、いつもつけてるお守りどうしたの?」
「えっ、ここにちゃんとあ…」
いつも持って行ってるバックにお守りがないことに気づいた。もう放心状態だ。それだけ私にとってとっても大切なものなんだ。
「だから言ったのに〜」
「…」
「どこで落としたか記憶ないの?」
「うーん、あっ!」
「その顔は思い出したみたいだね」
奈美はニマ〜と笑みを見せている。
「思い出したけど、あそこ立ち入り禁止なんだ。」
「え、まさかあのキャンプ場?」
うん、とうなずく。
「どうすんの?それないと生きていけないって言ってたじゃん」
「別にそんなことはないけど。」
こんな話してるけど、今多分とっても心配してくれてると思う。
「立ち入り禁止の前の方かもしれないから、今日行ってくる」
「そうしなそうしな」
すると頭を撫でられた。
「もうやめてよ〜」
それと同じ時間にチャイムが鳴った。それと同時に先生が入ってきた。
「先生、今日ネクタイ決まってるね!」
近くのおちゃらけ男子がにっこり笑っている。
「誕生日プレゼントに奥さんからもらったんだ。」
やっぱり。そうだったんだ。私の勝ち。私は人間観察が得意で何か変化があるとすぐ気づく。顔の表情とかを使って
「お、今日も当たったみたいだね〜」
「うん!」
「さすが心理学少女!」
「別に心理学少女ではないからね!」
でも確かに奈美の言う通り心理学が好きだ。というか推理が好きだ。その理由は多分父だ。父は元々心理学者で推理が好きだったから。
「起立!」
「令!」
日直が号令をかける。今日も同じ日々を過ごすのか。私はずっと終わるのを待っていた。
終礼も終わり、私は急いでキャンプ場に向かった。その先にはよく刑事ドラマで見る黄色のテープが貼られていた。
「えっと確かここら辺で…」
ない。近くをウロウロしたがどこにもなかった。
「おい!何をしている」
警察の人達が私のところに近づいてくる。
「すいません!事件が起きる前に大切なもの、落としちゃって」
私は急いで帰ろうと思った。だってもう、警察の人の邪魔になりたくないもの。
「ん、君もしかしてあの未湯菜さんの娘さんか?」
びっくりした。だって私、この人に会った事があるから。
「お久しぶりです里舞菜刑事」
すると私の方にずんずんと、里舞菜刑事が歩いてきた。
「お願いだ。君の助けが必要なんだ!」
「へ?」
私は何もわからずまばたきをするだけだった。
「どういうことですか里舞菜刑事」
「実は今回の事件手がかりが一つもないんだ。」
「近所の方々に聞いていないんですか?」
「必死に聞き回っているが全然不審な人物は見ていないって言ってね」
「まあ、事件が起こったのは大雨だったから仕方ないっちゃ仕方ないんだけどね」
「事情は分かりましたが、なんで私なんですか?父のことですか?」
私は急いでここを出たかったが出れる状況ではなかった。
「いや、未湯菜さんの事件とは関係ない。」
「じゃあなんで」
「近所の方の話を聞いたら毎週女の子がここのキャンプ場に来てて、悲しそうにしていると聞いてね」
「それできたらまさか未湯菜さんの娘だとは」
「それで私ですか」
「その通り。詳しいことはこちらで話す。ついてきてくれないか」
「分かりました。ですが、なんで私を犯人だと思わないんですか?それとも私の父がここで死んだからですか」
今でも涙が出そうだ。
「最初は睨んださ。もしかしたら下見に何回も来てたって線もあるしね」
「でもおかしいだろ。もし下見に行くなら目につかない場所から入ると思うだろう。」
「でも私はしなかった。」
「そういうこと。しかも亡くなった人の携帯から女性の連絡履歴なかったし。まあ消したっていう線もあるけど。」
「でもさ、もし賢い未湯奈さんが犯人だったら、下見しながらテント持ってぼーっとしてないでしょ」
「そんなことまで調べたんですか」
ある意味言ってストーカーみたいだ。
「警察を舐めてはいかんよ」
なんかこの言葉、10年前にも聞いたような…
「じゃついてきてもらおうか」
「分かりました。」
黄色いテープを通り抜けると自然の景色が見えてきた。とても空気が澄んでいる。
「着いたよ。ここが現場だ。」
「現場も見せてくれるんですね」
「そりゃ、協力してくれてますからね」
「あれ、ここ階段だったのに」
「え、階段?」
「知らないんですか?ここは階段みたいになっていたんですよ。まあ階段降りたら海なのでただ崖がそうなっているだけなんですけどね。」
「多分、地震かなんかで変形したんでしょう」
ポッカーンと里舞菜刑事が私をみていた。
「さすがだな。感謝する。」
ペコリと里舞菜刑事がお辞儀する
「では、一つ情報が分かったお礼として聞いてもいいですか?」
「どうぞ」
「なぜあなた方は殺人と考えるのでしょうか」
「それは犯人が追われていたんだ。」
「追われていた?」
全く検討もつかない。
「実はこの被害者、普通のサラリーマンなんだけど上司に脅されてたらしいんだ」
「それはどういう理由で?」
「弱みを握られてたみたいなんだ。まあその上司もパワハラ酷かったらしい。後はちょっとしたネットのことだな」
「そうですか。でも追われてたって証拠は?」
「そうなんだよ。その上司がやったという情報がなくてね」
「その亡くなった方の上司の顔写真とか分かります?」
「あーあるよ」
ある一つのコピーされたような写真を渡された。そこには怖そうな40代ぐらいの男性が写っていた。
「あっ、あとこれも。ここの左端にいる人が被害者だよ」
これまたコピーされた写真があった。そこにうっつていたのは、とても優しそうな人だった。
「この写真は職場の皆さん全員でとった写真ですか。ここの背景どこかわかります?」
「背景はわからないよ。あ、あと職場の方たち全員が揃った写真だがなぜそこが気になるんだ?」
「ここの背景、この先の泊まれる施設なんですよ」
「でもこの先にはホテルなんてなかったはず…」
里舞菜刑事が頭を抱えている
「全然わからん」
うわ、里舞奈刑事、普通に考えてるところ言っちゃったよ。まあ本音を出してもいいんだけどね。
「ここから2キロぐらいかな、そこら辺に泊まれる施設があったんですよ一年くらい前まで…」
私は元々あった宿泊施設の方を向いた。一年前の記憶がよみがえる。
「里舞奈刑事!」
すると、部下らしい刑事さんが里舞奈刑事を呼んだ。
「なんだ騒々しい」
「それが聞き込み調査をしていたら、1年前まで宿泊施設があったらしいです!」
「もしかしてこの写真の風景はその宿泊施設か?」
「はい!」
どうですか?見直しましたか?と言っているような顔で自慢げに話す。
「まさか未湯奈さんの言う通りだったとは」
里舞奈刑事は私に感心しているようだ。
でも何か引っ掛かる。本当に上司に脅されていたのか?それとも他に何か意味が…
「あっ、あと気になることが」
部下の人が頭をかきながら里舞奈刑事に話している。
「なんだ?」
「その亡くなった被害者の亡くなった日にちがちょうど誕生日だったらしいんです。」
「亡くなった日が誕生日だと?」
誕生日?誕生日になんでこのキャンプ場に来てたんだ?
少しの沈黙の中、私はあることに気づいた。
「あの上司絶対脅してない。」
「え、どういうことだ。彼は絶対脅かされてたんだ。防犯カメラにも追いかけていたのが映っていた。」
「ただ殺人を犯しているところだけが映っていなかっただけで…なのになぜだ。」
里舞奈刑事は熱心に話している。でも…
「どうにも気になったんですよ。里舞奈刑事の部下の方が言った言葉が。」
「私が言った言葉がですか?」
部下の人は何が何だかわかっていないらしい。
「確かに防犯カメラにも映るでしょうね」
「誕生日パーティーの家に行かせるために追いかけてたんですから。」
「誕生日パーティーだと?」
「ええ、どうしてキャンプ場に寄ったかはわかりませんが、おそらく上司の家かどこかでサプライズ誕生日パーティーをしようとしてたんではないでしょうか」
「職場の同僚全員で被害者にサプライズをしようとする姿が…」
「調べれば分かると思いますよ。被害者がそのパワハラ上司とか言う人が連れて行く家に行こうとする姿と他の同僚たちがいるはずです。なぜ行く途中にキャンプ場に戻ってきたのは知りませんが」
「おい」
里舞奈刑事は部下の人に防犯カメラを見てこいと命令した。
それは表情だったが部下の人は分かったらしい。
そして空は夜になりかけていた。
「もう夜だな。送っていくよ」
「いえ、結構です。自転車があるので」
「しかも、まだ7時になっていませんし。」
それに、なんか近くにガタイのいい人いると落ち着かないんだよね。
「わかった。でも気をつけて帰るんだよ。」
「お気遣いありがとうございます。」
「あっ、そうだ。これ、私の電話番号だ。分かったことがあれば連絡してくれ」
「分かりました。失礼します。」
キーを取るとポケットから何かが落ちてきた。
「あっ、これって私が探してたお守り…」
自分で苦笑してしまう。自分の記憶が合っていなかったからだ。こんなの久しぶりだ。お父さんが亡くなって数ヶ月は記憶なんてもう何でもいいって思ってた。でも、数ヶ月たって一番辛いお母さんが働いてくれている姿を見て私は変わった。このキャンプ場には私の過去が包まれている。
「また来るね、お父さん」
10年前…
「じゃ、行ってくるよ」
「ほら、希々パパに行ってらしゃいして」
「パパ行ってらしゃい〜」
「行ってきます」
パパは私を撫でて家を出て行った。
「ほら、希々も行こう」
ママは手を差し出して保育園に連れていってくれた。
そして昼過ぎ、急にママが迎えにきた。
「ママ、どうしたの?」
私は恐る恐る聞いた。
「後で話すから今はついてきてくれる?パパが大変なの」
「パパ?」
この時私は嫌な予感がした。幼なかったけれど、とっても嫌な予感がした。
そしてすぐに病院に行った。ママは息切れしながらも私の手を強く握ってお医者さんのところに行った。
「あのすいません。主人はどこに…」
お医者さんは首を振るだけだった。ママは顔が白くなっていた。私も幼なかったけれど空気を読んで何も言わなかった。
「こちらへご案内します。」
専用エレベーターを使い着いたのは霊安室だった。ドアを開けるとパパがいた。
お母さんは泣きながら倒れるように座った。他の人も気の毒そうな顔をしてる。
「パパ、みんな悲しんでるよ。起きてよ」
私はただこの言葉だけをずっとパパに言った。もう二度と帰ってこないパパに…
そして家に着くとお母さんが待っていた。
「ただいま」
「希々警察の方に協力しているの?」
「うん。キャンプ場の近くに落し物しちゃって取りに行こうと思ったら久しぶりに里舞奈刑事に会って…」
絶対お母さんは怒っている。10年前のことを今でもお母さんは引きずっているから。
「そっか。じゃあ、希々がキャンプ場を守りなさい。」
「キャンプ場を守る?」
「そう。あそこはお父さんが初めて連れて行ってくれて、お父さんの場所でもあるんだから」
お母さんは真剣な顔で私の肩を優しく叩いた。
「それが、お母さんが警察の方に協力する条件です。」
「分かった。頑張る」
「最悪な運命の選択肢かもよ。それでも?」
少しの沈黙があったが、私は決心した。
「うんそれでも。真実を突き止める。」
お母さんは頷いてくれた。
次の日…
「奈美!私に協力して!」
「へ?」
奈美に協力してもらうため事情を話した。できることなら手伝ってくれるそうだ。
「それじゃあ、まずもっと篠塚キャンプ場を知るために図書館に行こう!」
「図書館?」
別に行かなくてもいいと思うけど…
「そりゃそうでしょ、ネットは嘘もあるからね〜」
「確かに…」
いつもは全然奈美の言うことには納得しないのになぜか今回は納得してしまう。
「しかもこれから行く図書館は篠塚キャンプ場の近く!篠塚キャンプ場に関する雑誌とかもあるはずだよ」
またもや感心してしまう。
「ほら急ぐよ!」
「うわっ」
手を引っ張られて、少しこけた。そして私達は小走りで図書館に向かった。
「はっ…は…」
息切れしながらも図書館についた。結構大きい図書館だ。例えて言うと、博物館みたいな感じだ。その隣の奈美は息切れもせず、目がキラキラ光ってるだけだ。
「奈…美…」
「ん、なんか言った?」
「私が…どんだけ…運動音痴か…分かって…るよね…?」
息切れしながらも私は怒りに満ちていた。奈美は県大会に出るなど運動神経がトップクラスと言っても良いが、私は、元々運動音痴でかけっこはいつも最下位だった。
「ごめん、ごめん」
絶対本気で謝ってないが今日のところは見逃してあげよう。だって、協力してくれているから。
「あった。ここらへんだ。」
篠塚キャンプ場についての本だ。全部で30冊程度でインターネットよりはるかに当初のことが書かれている。
「ほら、来てよかったでしょ!」
「うん、ありがと。」
私達は分担して本を読んでいった。
「ん、これって…」
「なんかあった?」
奈美は違う本を真剣に読んでいる。
「いや、なんでもない」
「そう」
「…でも」
私は決心した。
「気になることがあるから電話してくる」
奈美も私の気持ちが分かったらしく、
「うん、分かった。」
私は図書館をいったん出た。
10年前…
「失礼します。篠塚市警察署の里舞奈と申します」
なんでおまわりさんがここにいるの
「今回の件は自殺と私達は考えています。」
『自殺』という言葉を聞いた瞬間、私は時間が止まったみたいだ。
「そんな…あの人が自殺なんて…」
「私達も考えたくないんですが、海に落ちる痕跡や遺書と思われるものもありましたし。」
「うそ…嘘よ…絶対に嘘よ」
ママは泣き崩れた。まるで今でも倒れてしまうかのように…
私はその姿を見ているだけだった。あのお守りを握りながら。
「えーと、404の…」
私は、里舞奈刑事のスマホに電話をしていた。
『もしもし』
里舞奈刑事の声だ。
「もしもし、未湯奈です。」
「あー、未湯奈さんか。何かあったかい?』
「何も無かったら電話しませんよ」
私は里舞奈刑事にツッコミをした。
『はは、たしかにそうだな。で、用件は?』
「調べて欲しいことがあるんです。」
『ほー、何かな?』
私は深呼吸をした。
「私の父、未湯奈真那斗と篠塚キャンプ場の創立者、沼田葉香屠について」
『了解した。』
よかった。私はほっと一息つく。
「よろしくお願いします。」
電話でお願いしたが、もしこれがあっていたら、私が、未湯奈家がどんだけこの事件に関わっていたかがわかる。
でも、それでも、私が決めたことだ。全てを解決させる。そして、10年前の真実も。
10年前…
「じゃあ、行こうか。」
「うん」
パパが亡くなってから数ヶ月、私とママは暗いところに入れられているかのような雰囲気だった。特にママは仕事をこれまで以上に頑張っているし、おまわりさんに言われた『自殺』の言葉がまだ残っているっぽい。
保育園の先生も親身に対応してくれてるから問題は無いけど…私はママの負担にならないように気をつけて生活していた。
「お、おかえり」
「うん」
奈美は変わらず同じ体制で篠塚キャンプ場についての本を読んでいる。
「あ、そう言えばここ、この本の17ページ気になったの」
奈美はほんと不思議と顔に書いてあるように私に見せる。私もまじまじとその本を読んでいると目に入ったものがあった。
「ここ、創立者の人って結婚してたんだね〜」
結婚?
「!」
なるほどね。そういうことか。被害者が篠塚キャンプ場にいた理由。
「ありがとう奈美」
「いえいえ〜」
二人で微笑みながらまた本を読んでいった。
数日後…
「無理言ってすいません」
「いやいや、協力してくれるならお安いごようさ」
「ありがとうございます」
実は、ちょっと前まで警察署にお邪魔させていただいて、10年前の資料を見てたんだ。
「でも、10年前の資料を見たいだなんてどうかしたのかい?」
「いえ、別に大したことではないので」
まあ、大したことではなくないだけどね
「それにしても、ここ結構の坂だから辛いだよね」
里舞奈刑事は汗を拭っている
そして、亡くなった場所についた。
「ん、これ」
ちょっとした傷があった。
「あ、これは10年前にもあった傷だよ」
え、でもこの傷、さすがに深すぎる。見た感じでも30cm以上ある。40cmいってもおかしくない。これも何か意味が…
疑問を持ちながら帰った。
11年前…
「「ハッピーバースデートューユー、ハッピーバースデーデァ希々〜ハッピーバースデートューユー」」
パチパチ
「ふー」
勢いよく私は火を消した。
「おめでとう、希々」
「パパ、ママ、ありがと〜」
「はい、これプレゼント」
と、私の好きなキャラクターのぬいぐるみをもらった。
「うわー、やった〜」
ほんとうに嬉しい。
「それと、これはパパから」
もらったのはお守りだった。ママはあら、買ってきたの?みたいな顔で見ている。
「いつも使うバッグに付けときな。きっと役立つ」
「分かった〜」
にこにこ笑いながら私を撫でてくれた。これが最後のパパからのプレゼントなんて知らずに…
さらに数日後…
「さてと、勉強するか」
今日は一日学校でもう18時だ。実は、睡魔に誘われて1時間程度寝てしまったのだ。
「えーと、教科書287ページからか…」
真剣に私は仕事(勉強)を始めた。
数時間後…
意外と早く夕ご飯もお風呂もそして勉強も終わった。
現在時刻午後10:30。
本当は寝てしまいたいと思うが、そういうわけにはいかない。まだ私の仕事はもう1つ残っている。早く真実を見つけなければ…
私は仕事(推理)にとりかかった。
1日後…
里舞奈刑事からちょっとした電話があった。私が言っていたパワハラ上司などいないと言ったことが証明されたらしい。でもまだ里舞奈刑事は私がなんで気づいたかわからないと言っていた。私は理由を話した。
『君はどうして気づいたんだい?』
「そんなの簡単ですよ。私が来たのは事件から3日ぐらい。だから分かったんです」
『どういう意味だ?』
里舞奈刑事は、ちんぷんかんぷんだ。
「事件の日の天気は?」
私は里舞奈刑事に質問した。
『雨でもしかしたら警報が出たかもしれないゲリラ豪雨だ。』
「その通りです。だから残ってたんです。足跡が」
そう、これが証拠。
『でもなんで足跡で分かったんだ?』
「一人だけしかなかったんです」
『消したという線はなかったのか?しかもその後も雨が降り続いていたんだぞ。』
里舞奈刑事、ちょっと怒ってる?自分が気づかないからかな?まあいいや。まだまだ里舞奈刑事はちんぷんかんぷんだし。
「もしそうだとしたらスコップの跡が残るはずです。手でやっても時間がかかるだけ。見回りでも来たら大変ですよ。」
私は理由を話し続けた。
「足跡があったのは木の下。ちょっと水滴で水溜りが出来るのはわかりますが、そこまで雨に濡れないんですよ。まあちょうど水溜りがあるところにあったので分かったんですけどね」
『ナルホド…』
小声で納得した様子だ。
「多分パワハラ上司という人はちょっと口調が強かっただけじゃないでしょうか。よくいますし。そういう人」
「では、ありがとうございました。失礼します。」
『あ、ああ。』
…という感じで電話は終わったのだった。
10年前…
「ねえ、おまわりさん」
「どうしたんだい?」
優しくおまわりさんが接してくれた。
「あのね、私ね、パパとね、ここにね、来たときね、あそこのね、崖のとこね、見たらね、普通の木だったのにね、今ね、違うの。」
おまわりさんはずっと話を聞いてくれた。
「そっか、でもねおまわりさん達を舐めてはいかんよ。隅々までちゃんと調べているから問題はないさ」
「おい!里舞奈!何してるんだ!早く来い」
何やら上司の人が呼んでいるようだ。
「じゃあね」
笑顔でおまわりさんは走っていった。
「あ、ママ」
「もう、一人でどっか行っちゃダメじゃない」
「ごめんなさい…」
ママに怒られちゃった…私はしょぼくれた。
「ほら、帰るよ。今日はハンバーグよ!」
ママは手を差し出してくれた。
「え!ハンバーグ!やった〜」
手を握ってママと二人で仲良く帰った。
学校から家に帰ってくると、1枚のハガキがあった。
「お母さんこれ何?」
私宛みたいだが、なんだろう。
「あ〜それ?同窓会のお誘いよ。」
ふ〜ん。同窓会ね〜
「え!嘘!篠塚幼稚園の!同窓会⁉︎」
「だから、言ってるじゃない」
お母さんは呆れているみたいだ。
ん、待てよ、篠塚幼稚園はキャンプ場の近く。何か誰かが見てる可能性も。特に先生とか
「あっ、でも行けないわね。その日おじいちゃんの誕生日でしょ」
「え、嘘でしょ〜」
実はうちの家、つまり未湯奈家の親戚が誕生日だと大体の親戚が集まって朝から夜までお祝いするんだ。学校がある日でも早退や遅刻、休みなどもした。もちろん美味しいご飯とか食べれて嬉しいけど…
今回だけは違う。でも、行かないわけにはいけない。誰かいないかな〜同じ幼稚園で仲良くしてる人でそんな神様みたいな人…私はちょっと考えた。するとある人物が浮かび上がった。
いた!いるよ!手伝ってくれる大親友!私は急いで電話した。
『はーい、もしもーし』
「あ、奈美?」
『あー、希々?』
「あの、お願いしたいことが…」
私がお願いしようとしたら私の声に被せて奈美は言った。
『あー、同窓会のこと?良いよ先生に聞いてきてあげるよ』
「え、なんで分かったの?」
『え、そりゃ親友だからかな〜』
さらっというが、凄すぎる。絆ってこうゆうもんなんだって思ったら…
『嘘ウソ、同窓会の日、おじいちゃんの誕生日でしょ。覚えてただけ〜後、篠塚幼稚園はキャンプ場の近くってこともね。』
「なんの絆もないじゃない」
私は怒りMAXだ。
『じゃ、そういうことで寝るね〜』
「あ、ちょっと私のこと聞い…」
「ブッブー」
すぐに電話は切れてしまった。
「あの奈美やろ〜」
私は心の中でずっと奈美に怒っていた。
篠塚幼稚園の同窓会の日、私は一人だけ違うとこにいた。ちょっとした披露宴だ。
「本日はお誕生日おめでとうございます」
お母さんが頭を下げたので私も頭を下げた。敬語なのはおじいちゃんはお父さんの方だから。
「あ〜ありがとう」
「これ、プレゼントです」
なぜか私もお父さんのおじいちゃんに緊張してしまう。
「ブッブーブッブー」
携帯のバイブレーションだ。私はちょっと披露宴を抜け携帯で電話をオンにした。
「もしもーし」
『あ、もしもーし大丈夫?』
「うん、抜けてきたから大丈夫。」
奈美から電話なんて珍しい。何かわかったのだろうか
『先生に聞いたらその日変わったことは特になかったけど、近くに雷が落ちたことと、震度1〜2ぐらいの地震があったみたい』
『あ、あと空にもあってきたよ〜希々は元気かって言ってた』
空というのは奈美と同じく昔からの幼馴染だ。だが今はあまり連絡をとってない。
ちなみに空以外男子の友達はいない。奈美は真剣に話してくれた。
「うん、わかった。ありがとう。」
『どういたしまして。じゃ、学校で』
「うん、じゃ」
そして電話は切れた。多分、奈美と私は同じことを考えている。ほんとにこれが真実なのか?調べてみないとわからない。調べなければ。私は披露宴に戻った。
そして、帰った瞬間に里舞奈刑事から電話が来た。結果が出たのか…通話ボタンを押して話し始めた。
「もしもし、お久しぶりです。」
『あ〜未湯奈さん1週間ぶりだね』
ちょっと深呼吸をして単刀直入に聞いた。
「分かったんですね、私の父と篠塚キャンプ場の創立者が知り合い、いや親友だということが。」
『ああ分かったよ。君のお父さんが創立者と高校が同じだということがね…』
「ありがとうございます。無理なお願い聞いてくれて」
ほんとに無理なお願いだ。里舞奈刑事と私だけで捜査していたなんて知られたら里舞奈刑事が責任を取らなければいけなくなる。ほんとに感謝しかない。
『いや、お礼を言うのは僕のほうさ』
「え?」
里舞奈刑事が言っていることがわからない。
『実は、10年前の時、君のお母さんや他の人に聞いたらどうにも彼は自殺などしない人だと思ったんだ。』
真剣に本当のことを話してくれた。
『だが、上司や警部がいた。そりゃ上司や警部も証拠があるから自殺に決定だって言ってきてね』
「証拠がないとちゃんと処理できませんからね」
里舞奈刑事の意見に納得した。
『聞いてくれてありがとう』
「いえ、父のこと、忘れないでいてくれてありがとうございました。」
『じゃ』
「あ、あの、事件の真実がわかった気がします。本当にあっているのかわかりませんが、皆さんを集めてもらえないでしょうか」
『それは証拠はあるのかい』
「いえ、今はもっていません」
そう、これがなければもっと早く真実を言えたのに
『じゃあ分かるんだな』
「はい」
私は分かる。
「では」
そして次の日警察の皆さん、そして奈美と私全員がキャンプ場に集まって推理を始めた。
「みなさん、本日はありがとうございます」
「あの〜さっさとしてくれませんかね」
あ〜絶対に私のこと信じてない。でも…
「すいません。では単刀直入に言わせてもらいます。」
深呼吸をして答えを言った。
「これは事故です。」
一瞬沈黙の時間があった。
「事故ってどうゆうことですか」
里舞奈刑事の部下だ。
「言葉通りですよ。私たちの、未湯奈家のお宝を探しをして亡くなったんです。」
「思い出したんですよ…10年前の里舞奈刑事との会話を」
そう。これがこんな手がかりになるとは思わなかった。ちょっとした夢に出てきた話が…
「私との話が?」
「はい。覚えていませんか?私が崖の色が違うって言った時のこと…」
里舞奈刑事は気づいてくれたみたいだ。
「命綱をください!」
そう、私は命綱を持ってきてくださいとお願いしといたんだ。
そして命綱をつけて里舞奈刑事は私が言った崖の側面を触っていた。
「あったぞ!」
部下や上司の人は私と里舞奈刑事が何しているのか分からず、ただ里舞奈刑事を見守っているだけだ。気づいてるのは奈美だけだ。
「お待たせしました。伽奈具加店から来ました。」
「お待ちしてました。こちらへ」
奈美が丁寧に誘導してくれていて助かった。
「この方達はいったい誰だ?」
上司さんがなんだこいつらみたいな顔で顔を顰めている。
「工事現場の方々ですよ。いわゆる職人さんです」
「篠塚キャンプ場には許可を取ってますのでよろしくお願いします」
約五名の職人さんは崖のところに向かった。
「ここです。」
里舞奈刑事が指示するとすぐさま始めてくれた。
「では、その間に。なぜ事故なのか。それは簡単です。ネットの話で死んでないからです。」
「また、上司に追い打ちをかけられてもいません」
「じゃあなぜここに来ていたんだ?」
まだ分かっていないようだ。
「それは…被害者が篠塚キャンプ場の創立者の息子だからですよ」
「息子だと…?」
頷く私だが時間が止まったようにみんな驚いていた。
まるで時間が止まったように…
「誕生日当日、被害者は同僚に連れられ、パーティー会場の玄関まで行った。」
私はその風景を考えながら話した。
「だがあることに気づいた。未湯奈藦梛闍が死んだ場所に宝があると創立者から聞いたことを…」
「待ってください。もしあなたのいう通りだとしたらどうして創立者が宝があるという事を知っているんですか」
里舞奈刑事の部下の人だ。
「そう。その通りです。ですが昔からの大親友だったら知っているんじゃないでしょうか。このキャンプ場を借りて宝箱を入れるために手伝ってくれなんて言われたとしたら…」
「そしてもう一つ。どうしてそんなに被害者は未湯奈家のお宝が欲しかったのか…それは、多分被害者が借金をしていたからでは無いでしょうか。被害者のお母さんのせいで…」
「借金?」
「ここからは私の妄想なので本当とは分かりませんがまず被害者の方はここの創立者の息子で創立者と妻がつまり被害者にとっては両親が離婚し母親の方に行った。」
私は淡々と話を続ける。
「その証拠として記事に沼田葉香屠、華湖地真美と結婚と書かれてありました。」
「確か被害者の名前華香屠さんでしたよね?」
その場にいる全員が息を呑む。
「そして被害者の父からお宝があると聞いた。だから誕生日にお金になるものを取ろうとした自分にプレゼントを送るために」
「だが予想外のことがおきた。職場の人たちがサプライズパーティーをするとは思わなかった。それでここ、篠塚キャンプ場にきた。足跡をつけて階段を降りて。」
「その時近くで雷が落ちた。びっくりしたけれどもかわりなく開けようとした瞬間、地震が起きて縄が木で破けて海へ沈んだ。」
「そしてこれは、10年前の真実です。」
沈黙が続く。
「出来ました!箱がありました!」
里舞奈刑事が箱を地面に置いた。
ロックがかけてあった。やっぱり。私はお守りの中を開けて紙を開いた。きっと役に立つ。お父さんが言った言葉が今わかった。紙にはききと書いてある。すぐさまロックを解除するため番号を回した。
「2222」
ガチャ
「あいた…」
中には手紙と本が入っていた。
「季々へ
季々は怒るかな。こんな形の手紙を読んで。これは事故だ。事故にならなかったらこの手紙を入れなかった。遺書を残したのはこんなところで事故を起こすのは季々や由美に申し訳なかったからだ。ここの思い出の場所で見つけてほしいと思ったからだ。俺がいなくなって苦しい気持ちになっていると思う。未湯菜家の事も迷惑をかけると思うことを承知でやっている。そんなの父親失格だよな。警察の方を巻き込んでこんな事をしたことは悪いと思ってる。悪い悪いとしか言ってなかったな。最後にこれと同じ箱に入ってるのは心理学の本だ。しかも俺が初めて作ろうとしていた本の下書きだ。読んでくれると嬉しい。俺は季々のことが大好きだ。ずっと見守ってるからね 未湯菜藦梛闍より」
「お父さん…」
「なんでこんなの残して行っちゃったの…」
本を開くと1枚の写真があった。家族写真だった。奈美は背中をさすってくれてる。自然と涙が出てくる。
「私も大好きだよ。お父さん…」
本と手紙を抱きしめながら小声で言った。
それから警察から謝罪があった。お母さんも泣きながら良かったと言っていた。
「お母さん!私、見つけた!」
「私、夢を決めた!私の夢は…」
15年後…
「未湯菜さん!出ましたよ!」
「本当ですか!」
本を取り、ページをめくる。
「良かったね、季々!」
「みんなのおかげだよ」
「皆さん、本当にありがとうございました!」
頭を下げると拍手が起きた。
本の作者は、「未湯菜季々、未湯菜藦梛闍」