意味が分かるとゾクッとする話:虫の子。
夏休み、父親と小学生の息子が父親の田舎に帰省した。
母親は用事があるらしく、一緒に行かなかった。
でも、父親のじいじ、ばあばは特に気にしていなかった。
というのも、母親と、特にばあばは折り合いが良くなかったからだ。
その間、釣りをしたり、花火をしたり、採れたての野菜、スイカを食べたり、川で泳いだりと息子は夏休みを満喫していた。
そして滞在最後の夜、じいじが言った。
「クワガタでも取りに行くか」
息子は喜んでじいじと出かけた。
森の中に入っていくと、
「うわぁ、いっぱいいる」
そこにはオオクワガタやノコギリクワガタ、カブトムシなどたくさんの虫がいた。
「持って帰るか?」
とじいじが聞くと、
「ううん、いい。ママ、虫苦手だから…特にこの大きいばあば」
じいじは、母親が来なかった意味が分かった。
〈解説〉
「大きいばあば」…?
息子が指差したのはメスのカブトムシでした。
息子は、メスのカブトムシを大きいある虫と勘違いしたのかもしれません。
都会によく出てくる、嫌われ者のある虫…。
母親は、その虫を「ばあば」と呼んで、スリッパで叩いたり、殺虫剤をまいたり…。