浮遊土と飛空艇
設定置き場
■浮遊土
名前の通り、宙に浮かぶ土。見た目はきめ細かい土である。
(反重力なのか斥力なのか、他の力なのかは判明していないが)常に地上に対して一定の斥力を放っており、半永久的に機能すると思われる。
現状、この物質は浮き島の土以外に確認されておらず、成分、生成方法などは未発見。
浮遊土は浮き島のみに存在しているため総量には限りがある(浮き島は巨大な大陸であるため、浮遊土の供給は安定している。)
浮遊高度は容量で変化し、高度の調整は容易である。
超重量級の飛行機や、物理法則では不可能と思えるような形状の建築物が作成できたため、浮き島の土の用途は多岐にわたっている。
詳しい利用方法などは後述。
浮遊土は悪用されると厄介な代物なために、発見から早い段階で利用者登録を行ったり免許性にするなどして運用することが国際法で定められた。
▼浮遊土の種類
■浮遊器
浮遊土には限りがあり、一粒でも有効に活用させるために、主にサイコロ状の金属ケースに封入したもの。これを浮遊土封入器(略称として浮遊器)と呼び、各サイズが用意されているため持ち上げる重量の管理も容易となっている。
浮遊土所有国連盟に加入している国の国民であれば、個人登録さえすれば所有できることや、小さなものであれば庶民でも比較的簡単に手に入る。
このため、浮遊土といえば浮遊器のこのを指す場合もある。
■浮遊石
石、岩石、鉱石系の浮遊物質も存在している。総称して浮遊石と呼ばれる。元々の容積の大きさも相まって浮遊土より斥力が強く、主に大型建造物で利用されている。
■飛行石
浮遊土に似た性質の宝石。普段から浮いてもいるが、与えた魔力によって斥力に変化が起こり、任意に上昇・下降でき、光ったり、熱を持ったりなどする。利用価値が高いことや、美しさも相まってとても価値が高い。
▼浮遊土の利用先
■家屋
建築物に利用する場合、浮遊土搭載と明記しなければならない。
少量で家屋をまるまる浮かせてしまえるものの、地面から浮いた建築物は微妙な重心移動や歪みで傾いてしまう問題から、浮かせるのではなく重量分散・荷重軽減に利用されている。
■人工浮遊都市
浮き島に初めてたどり着いた飛行機に土地の土が積まれ、以降、空中に浮かび続けている。この飛行機に資材を次々に載せたり繋げて作った巨大浮遊施設で、世界にこの一つしかない。
所有国はノースマン王国で、最終的な面積は約2.30km2(皇居と外苑を含むサイズ)となった。これが常に上空3000ft(914.4m)前後に浮かび続けている。
様々な空中実験用施設が整備されたが、運用の難しさ(上空に荷物を運ばなければならない、重量物を運び入れにくい、重量バランスを整えないと傾く、定位置に固定できないなど)から、はじめは町としての機能を維持できず、天体観測や気象予報、航空基地としての利用がされていた。技術が発達するとともに定位置への半固定ができるようになり、発電施設ができたり、水の組み上げが安定して行えるようになって空中都市として機能した。
■空中移動要塞
都市ほどの大きさでは運転費用が高すぎることから、小さな町くらいの移動要塞が建造された。巨大なプロペラによって数ノット程度の速度で移動可能。設備機能によっては高度も変えられる。なにより外部からの侵入や攻撃がほぼ不可能と、圧倒的な防衛能力をもった拠点であった。
しかし、移動要塞の数が増えると要塞同士での接触事故が増えたり、要塞下に位置する人工施設に影や物品を落とすために敬遠されたり、浮遊施設は悪天候に弱いことやバランス維持や物資搬入の難しさといったそもそもの問題があったり、山の近くでは気流が乱れやすいため設置場所の選択が難しいなど、運用面での欠点が目立った。
欠点は多々あるものの、防衛拠点や緊急避難場所としての信頼性は絶対であること、航空機や人工建造物などの文明の進化も進むと利用価値の高い施設となった。
最終的に、戦争やモンスターとの闘争がなくなる時代になると、高層建造物の上部とくっつけるように設置され、高高度のホテルや娯楽施設として利用されるケースが増えた。
■空中補給基地
モンスターの襲撃を受けないため、冒険者の安全地帯や航空機の拠り所として機能する。比較的小型で低空に設置される空中基地。
とくにダンジョンや町村で、初期頃では長く垂らされたロープを伝うゴンドラなどと共に運用されていた。文明が進むとエスカレータや水道管・ガス管・電気配線などと接続させるための建造物とくっつく形となり、安定性や均衡性を高められ悪天候にも強くなった。
村や町では、漁船型飛空艇の補給、食料・物資の搬入搬出、保管・倉庫施設として重宝されている。
ランドマークとしての機能も高く、古くから広告塔として利用されている。
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▼飛空艇
飛空艇は、「反重力(または斥力)を伴う物質を備え、一定の高度で半永久的に浮かび続け、備え付けられた推進器により任意に移動できる人工飛行装置のこと」と定義付けされている。
軽い空気によって浮かぶ飛行船や、形状の似ている飛行艇と区別するために「反重力または斥力を伴う物質を備え、半永久的に浮かんでいる。」という条件が加えられた。
一定の高度上で浮かび続けるものというと飛行船があるが、反重力物質ではなく軽い空気を利用しているため異なる。
ほかの飛行装置(飛行機、グライダー、気球船、ヘリコプター)などとも区別されているものの、形状が似ていたり、造形上の理由で浮遊土が利用されていることがあるため、総質量が負となる(または負の数値に近いもの)は飛空艇とみなされる。
反重力物質を使って浮かぶだけの装置は、浮遊装置または浮遊機構搭載機とされ、推進機構があるかないかで飛空艇とは区別されている。
▼飛空艇の歴史
飛空艇の誕生は、わずかな浮き島の土を巨大な帆船に備えたものが第一号となった。最初期の帆船型は帆で風を受けて進むものであった。それ以降はプロペラやエンジンを搭載し、舵翼を切ることで任意の位置に移動しやすくなった。
現在でも空中ヨットレースといった風によってのみ操作される帆船型飛空艇のレースも盛んに行われており、実用的に使われている例も少なくない。また、近代化してからはエネルギー節約のために原動機のない帆船式などの原始的なものが見直され、災害時や補給のできない地域でも活躍することから、より洗練された自然風力型飛空艇が主流となった。
航空機も進化し、インフラと共に次第に整備が進められていくと利用数があまりにも増えたため、飛空艇は適正箇所での利用が規定され、自動車社会のように厳しいルール下での運用のみとされた。
▼飛空艇の形状
地上に対して働く斥力も水上では効果が無く、水深が深い場所では着水が可能であった。また、大型化させるほうがメリットが大きかったことと、着水可能であることが運用上好ましかったため、戦艦やタンカーに近い形状の飛空艇がよく造られた。
地上でのみの運用をする場合は、クルマ・トラック・トレーラーのような形状が一般的で、ヨット・ただの板・ゴンドラのようなものもある。
▼サイズ
小さいものはクルマ程度から、巨大なものは戦艦サイズまで。
小型なものは手押し車のように利用され、カゴ状の形であったり、あおりや手すりが付いている。人が乗って長い棒で押して進んだり、家畜に牽かせるのが一般的。とくに沼地や泥の上を移動するための手段として、農地では小型で簡易的な浮遊機が用いられる。板状の装置や小型船に浮遊土を取り付け、乗り込んで長い棒で地面を押して進ませる。重量物を容易に扱えるだけでなく地面適正も高いために、現代においても似通った利用がされている。
中型以上で出力の高い推進機構が備えられ、多数の人や物を乗せて路面を選ばず運行できたために未開拓地でとくに活躍した。ただし、風力で進むために悪天候(とくに風の強い日)に弱く、それを補うためにゴンドラのようにロープ伝いに移動するように設計されたものも多かった。
大型なものは戦艦や船舶が代表的で、移動速度の速さや、高度を上げれば悪天候も影響しなかったことなどから運航の信頼性が非常に高く、重宝された。造形的にも優れており、模型の人気も高い。
▼飛空艇の運用
常に浮いているため高高度の係船場を用意して補給を受ける以外になかったことや防犯面から、運用場所や航行ルートは制限されている。
地上に降りることはできないが高度を上げるのは容易で、機体そのものが空中分解でもしない限り絶対的な墜落防止装置が備わっているようなものなので、飛行不可能と思えるような形の飛空艇が高高度超高速試験飛行や観測などに活躍した。
船の形の飛空艇は海で漁をしたあと、そのまま進んで陸地へ新鮮な魚を届けることができたことや、特別な泊地を作る必要がないこと、地形を選ばないことなどが相まって、海の無い地域や未開拓地に漁獲物や物資を運ぶのに大きく役立った。
戦時中の主な運用は重量兵器の取り扱いで、小型の飛空艇に巨大な砲門や機関銃などが取り付けられた。これは単体での運用もできるが、船舶、鉄道、車両などに載せて自立・換装・転換可能な砲台として運用された。
弾がなくなったあとも重量物を運べる運搬装置として活躍できるが、鹵獲された際の危険性が極めて高かったため使用後は早々に撤収されることがほとんどであった。
平時でそれと似たような形状のものでは、放水装置と合わせて消防活動に利用する姿も見られる。
▼飛空艇の事故
浮遊土が機体から外れたり、漏れて無くなると高度が維持できなくなって墜落するが、それが原因の事故例は極めて少なく、時代が進むに連れてほぼゼロになっていった。
事故の多くは、安全装置を用いず不用意に甲板に出たときの人体落下。十分な固定がされていない荷物の落下や、降雨や積雪に伴うバランス崩壊で施設内の物品が倒壊するといったもの。
また、浮遊施設では地上と結ぶゴンドラの不具合や、ロープの劣化による事故も見受けられた。(当時は化繊の混じらない布製のロープであったため、摩擦や天候など劣化が激しかった。)
水上では、離着水の際は負荷が大きいために船体に異常が発生しやすい。しかし、船がバラバラに分解しない限りは高度を保てるため、観測記録に残るほどの異常気象やモンスターの襲来などといった外的要因以外で水没した例はない。
これらの事故例からわかるとおり、飛空艇や浮遊施設に関しては、他の航空機・船舶・車両などとの比較で言えば極めて安全性の高いものである。
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■宇宙時代において
宇宙船、スペースコロニー、人工天体、パワードスーツ、スペーススーツ、人体強化、巨大ロボットなどに浮遊土は利用されており、宇宙時代において必要不可欠な物質である。
月、火星、金星など他の天体や太陽系外でも浮遊土は発見されており、資源として採掘されている。