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00 Glorious World Online

見切ったァ!


という事で見切り発車です。

プロット無し、先の構想無し。


よろしくお願いします。




※注意※

本作品には以下の要素が含まれたり含まれなかったりします。


・ハーレム(予定)

・主人公最強(多分)

・掲示板回(予定は未定)


「なんか……ダメだな……」という方は回れ右を

そうでない方は、是非、完結までよろしくお願い致します。

(なお、完結までの道は見えていないものとする)






「Hello world! ようこそ、未知なるプレイヤー」


 その一言から、世界は始まった。



   ◆




 7月某日。

 そろそろ本格的な暑気がやってくるか来ないかといった、まだ爽やかな風が吹いている、そんな日。

 ()だるような暑さではなく、しかし冷房をかけると少し肌寒い。そんな、どっち付かずの中途半端な、ぶっちゃけちょっと困る気温の日に、それはやって来た。


 テレビやネットで話題になっているフルダイブ型VRMMO。

 その名を『Glorious World Online』。

 フルダイブ型という事でさながら第2の現実世界の様相を呈したそれは、開発会社による第1弾PRの時点から大人気を博し、サービス開始を今か今かと待たれていたオンラインゲームだ。



「日本の技術は日進月歩だな。流石はHENTAI技術大国」


 オレの名前は皇城(すめらぎ)零。

 どこにでもいる、ごく一般的なニート(18歳)。

 強いて違うところを挙げるとすれば……FXで億単位の金を稼いだ事があるって事くらいかな。

 もちろん貯金してある。溶かしたりはしてないし、有り金全部溶かした『ぬ』と『ね』の境界が曖昧になるような顔はしてない。


 両親は海外勤め。

『英語なんてわからんわ。日本語使って?』なオレは両親にはついて行かず、日本で都心の一等地のマンションの一室で悠々自適に暮らしている。

 ちなみにこのマンション、私物である。悠々自適な不労所得大家ライフ。楽しい。


 ……オレ、誰に話してるんだ……?



 ――――ピンポーン


「お? 客か? ……最近は通販は利用してないから、宅配の人じゃないはず……」


 とはいえ、特に来客の予定とかがあったわけでもない。

 はて、誰だろう。


 まあ、考えていても仕方ないので、早速スマートフォンで来客の姿を確認する。


「……なんだ、こいつらか」


 スマートフォンの画面――つまり、インターホンのカメラに映っていたのは、見覚えのありすぎる2つの顔。


 片方は女。

 綺麗な長いストレートの黒髪を持ち、切れ長の目が特徴的だ。

 まあ、彼女は他にも胸が慎ましいという特徴があるが、巨乳傾向にあった日本人には珍しい古き良き日本人体型なだけなので、実際は平均的なだけである。


 片方は男。

 夏場という事もあってか短髪で、画面越しにもお調子者感がありありと見て取れる。

 ただまあ、こいつの場合は黙ってればイケメンといういわゆる『残念なイケメン』なので、仮に初対面の人から『お調子者』というレッテルを貼られても、それはまったく大正解なのである。


 ちなみに彼女らはマンションのロビーではなく、大家であるオレの部屋の前にいる。

 要するに、彼女らもまたこのマンションの住人だという事だ。


「んー……なんかあったかな? 学校……は、もう夏休みか。遊びにでも来たって事かね?」


 とにかく、せっかく来てくれたので、スマホから玄関ドアのロックを解除し、「入ってくれ」とスマホ越しに伝える。

 と、2人はすぐにドアを開けて進入し、とすとすとフローリングの床を靴下を履いた足で踏む音が聞こえ、自室のドアが開けられて2人が入ってきた。


「やあ、零。しばらくだ」


「ああ。しばらくだったな、2人とも。何もない部屋だが、寛いでいってくれ」


「いや、この部屋が何もない場所なら何かある場所はどんなだよ!?」


 オレの部屋。

 黒のオフィスデスクにゲーミングチェア。デスクの上にはトリプルディスプレイのデスクトップPC。

 セミダブルのベッド。65インチのテレビに、そこに繋がれたゲームハード。

 床に敷かれたカーペットは夏涼しく冬温かい代物で、大きめのガラステーブルとソファーベッドがテレビの正面にある。

 来客時に出す用の飲み物やなんかが入った冷蔵庫に、電気ケトル、ティーセット、急須に湯呑みなんかもあったりする。

 他にもウォークインクローゼットがあったりとかするんだが、まあ、そのあたりは割愛しよう。


「……まあ、そうか。ところで、どうしたんだ? 遊ぶ予定とかは無かったと思うけど……」


「私は特に何かあったわけじゃないんだが、陽斗が妙に気合いが入ってるんだ」


 苦笑しながら女――赤月桜子――が言う。

 言われた方の陽斗――篠宮陽斗――は、「そうだよ! そんなんだよ!」と興奮しながら話し始めた。


「零ならアレ知ってるだろ、『Glorious World Online』!」


「……ああ。確か、あと3日もしたら正式リリースだったな。それがどうかしたか?」


「やろうぜ! この3人で!」


「あー……。オレは別にいいけど……桜子はどうだ?」


「私も構わないよ。幸い、ギアは自分用のがあるしね」


 ギア。すなわちVRギア。

 かつてARやVRが認知され始めた頃とは違い、今ではVRギアは、ゲームハード的な側面はもちろんの事、老人の認知症防止や身体障害者や事故などで身体を欠損した人のメンタルケアなど、様々な用途で使われている。

 一家に一台ではなく、1人1ギアの時代だ。


 ちなみに、桜子と陽斗の所持しているVRギアは、誕生日にオレが贈ったものだ。

 最新のハイエンドモデルで、世界でも所持している人間が100人といないとか。多少値は張るが、オレの稼ぎに比べれば微々たるものだった。


 まあ、それはともかく。


「じゃあ、3人でやるか」


「おう! ……あ。そういえば」


「うん?」


「あいつはやるのかな、GWO」


「あいつ?」


 とりあえず2人にソファーベッドへの着席を促し、飲み物を用意しつつ陽斗に聞き返す。

 あいつ、って誰だろ? オレの知ってる奴かな?


「零なら知ってるんじゃないか? 凄腕プレイヤーの『ゼロ』って。ゲーム界隈じゃ有名だろ」


「……あ、ああ。うん。ゼロ……ゼロね。うん。知ってるよ。うん。有名だからな」


「どうしたんだい、零? 少し、顔色が悪いようだ」


「いやっ! なんでもない。なんでもないぞ、桜子。うん。オレは至って健康だ。不調はない」


「……そうかい? それなら良いけど……」


 凄腕ゲームプレイヤー『ゼロ』。

 あらゆるゲームのランキングトップに君臨し、他のプレイヤーの追随を許さないソロプレイヤー。

 しかし、超絶技巧とも言えるそのプレイングスキルに数多の人間が魅了され、ゼロの個人ブログは今もアクセスカウンターが回り続けているとかいないとか。


「……まあ、ゼロは大抵のゲームをプレイしてるらしいし、GWもやるんじゃないか。確か、βテスターだったと思ったけど」


「零もゼロのブログ見てるんだな!」


「ま、まあな……」


「……ん。正式リリースは3日後だったか? 確かその日は夏期講習がある日だ」


「なに?」


 ふと思い出したように話す桜子と、それを聞いて絶望したような顔になる陽斗。

 夏期講習だって?


 桜子曰く。

 桜子達が通っている高校の夏休みには、休みの最初の辺りで必ず夏期講習があり、おまけに全員参加なんだとか。

 随分勉学に力を入れているな、と思ったのだが……実際はそうではなく、夏休みの課題をやらないかも知れない一部の連中に発破をかけるために、わざとそうした競争のタイミングを作っているんだそうだ。

 なるほど、陽斗みたいなタイプには地獄かも知れない。


 発破をかけるためなので夏期講習とは言ってもその日だけで、しかし普通の登校日のようにスケジュールが組まれるため、どれだけ頑張っても夕方からのプレイになるとの事。


「……世の中間違ってる……」


「ま、陽斗には地獄かもな。……そういう事なら、申し訳ないけど当日は一足お先にプレイさせて貰おうかな」


「そんなっ!?」


「そうするといい。どうせ1日だけだし、私は夏休みの課題は半分くらい終わっているしね」


「なんとぉー!?」


「ははは。相変わらず桜子は要領がいいな。陽斗も見倣って、先に課題を片付けた方がいいんじゃないか?」


「ぐぬぬぬ……。せっかく遊びに来たんだから、そんな無粋な話はノーセンキュー! ゲームしよう、ゲーム!」


「仕方がないね、陽斗は」


「まったくだ。……ゲームな。パーティゲームにするか」


 桜子と陽斗が来ているので、普段あまり遊ばないパーティ系のゲームを用意する。


『Glorious World Online』……楽しみだな。




   ◆




 それから、3日という時間は早くも過ぎ去り、フルダイブ型VRMMO『Glorious World Online』の正式リリースの時間がやって来た。

 午前9時半に幕が開かれたGWOに、オレは早速ログインした。


「Hello world! ようこそ、未知なるプレイヤー。ここはキャラクタークリエイトの空間。君達プレイヤーは、ここで第2の自分を作り上げるんだ」


 ログインの直後、一面の群青に星が散りばめられたような空間で、ボーイッシュな少女のキャラクターがそんな事を言ってくる。

 これはβテストの時と同じで、彼女はプレイヤーへのサポートを主な職務とする管理AIの『メイ』。

 見た目はボーイッシュな少女だが、実は仮の姿だという噂があるとかないとか。


「これからキャラクタークリエイトに入るけど、まずは種族を選んでね。種族には色々あって、まずは君と同じ人族。それから獣人族。エルフ、ドワーフ、竜人、妖精なんてのもあるよ。どうする?」


 ふむ。

 確か、公式サイトでも紹介されてたな。

 人族はバランスが良くて、獣人は前衛職、エルフは後衛職がオススメ。ドワーフは生産職が良くて、竜人はポテンシャルが高く、妖精は特殊職に適性があるんだったか。


 ……まあ、悩むまでもないな。


「人族だ」


「人族だね、オーケィ。それじゃあ、早速君を作り上げよう!」


 メイがそう言ってサッと右手を振ると、オレに瓜二つなキャラクターが現れる。これはVRギアを通してユーザーをスキャンし、アバターのデフォルトモデルとして扱っているのだ。

 そして、ここから髪の長さなどなどの変更が出来るというわけ。

 もちろん、デフォルトのままでプレイしても問題はない。

 簡単に身元を特定される危険性を度外視するなら、だが。


 ともかく、キャラクタークリエイトを進めよう。

 ……とは言っても、オレのアバターはどうするかがもう決まっているのだが。


 まず髪は少し長めに。カラーリングをシルバーに変更。

 前髪は左に流して左目を少し隠すように。虹彩は真紅。

 モデルは某蒼の魔道書格闘ゲームの主人公だが、オレにとっては設定し慣れたアバターだ。


 残念ながら体格に関してはユーザーの身体情報を参照して変更不可な仕様なので、諦めるしかない。

 まあ、変に変えて実際の自分の身体との感覚に齟齬……とは言わないまでも違和感が生じるのは良くないので、これはこれで妥当だと言える。

 他の、PCでやるようなオンラインゲームよろしく好きな体格のキャラで遊べないというのは、キャラクタークリエイトがあるゲームとしては如何なものかと思うが。


「……こんなところか」


「うんうん、カッコいいね! ボク、一目惚れしちやったよ~」


「そりゃどうも。次は?」


「次は職業……ジョブの選択だよ! 数多あるジョブの中から自分の好きなものを選ぶんだ。ジョブは後から変更する事も出来るけど、せっかくの最初のジョブだから、じっくり考えてみてね! それじゃあ――君はどのジョブを選ぶのかな? メインとサブの2つを選んでね!」


 GWの目玉でもあるジョブシステム。

 それは、剣士や騎士といった戦闘系ジョブから、農夫や鉱夫などの生産系ジョブ、錬金術師や調教師といった特殊系ジョブまで幅広く存在している。


 そんな数多くあるジョブの中で、オレはβテストの時点で全てのジョブを体験し――そして決めた。


「メインは換装士、サブは隠密だ」


「――おやおや? 珍しいジョブを選んだね? 本当にいいのかい?」


 メイが尋ねてくるが、もちろん構わない。


 メイがこの質問を寄越したのは、換装士のジョブに理由がある。


 このジョブは一応戦闘系に属するジョブなのだが、ジョブ固有のスキルの《換装》は、単に装備の付け替えが一瞬で出来るだけという効果で、まったく戦闘向きではない。

 おまけに換装士はレベルアップ時のステータス成長が平凡で、何かに特化しているというわけでもないため、全ジョブの中でもぶっちぎりの不人気ジョブなのだ。

 ちなみに、サブの隠密は上位ジョブに忍者や忍頭があるので、一部の日本ユーザーや海外ユーザーに人気だ。


「……わかった。これが君の決定なら、ボクに口を挟む余地はないよ。さあ、次はスキルの選定だ。10個まで、好きなスキルを選んで始められるよ。頑張ればGWOに存在する全てのスキルを習得出来るから、気になったら挑戦してみてね! さ、君はどうする?」


 ニコニコとした笑顔をこちらに向けてくるメイ。

 もちろん、初期スキルも決めてある。


「速読術、高速理解、剣術、短剣術、銃撃術、格闘術、治癒魔法、魔力感知、鑑定、暗視」


「オーケィ、その10個だね。初期装備は何がいいかな?」


「布系装備と……武器は二挺拳銃」


「ふんふん……うん、大丈夫。さあ、そしたら、これが最後だよ。これが終われば、君はすぐにもGWOの住人だ」


「……そうか」


 キャラクタークリエイトのラストと言えば、アレだ。


「さあ――新たなGlorious World Onlineの住人よ。君の名を、このボクに教えてくれるかい?」


 名前。

 それはもう、決まっている。

 ずっとずっと、どのゲームでも使ってきた名前。


「オレの名前は……オレは――」


 そう……『オレ』の名前は――。


「――ゼロ」


「ゼロ! ああ、いい名前だ! 実にいい名前だよ!」


「ありがとう」


「それじゃあ、ゼロ。これでボクとは一旦お別れだけど、どうかGWOの世界を楽しみ抜いて欲しい! 期待しているよ! それじゃ、行ってらっしゃい!」


 メイのそんな言葉と同時に、視界がホワイトアウトする。


 しかし、それも数瞬の事。

 次の瞬間には、βテストの時にも降り立った《最初の街オリジン》の光景が、視界いっぱいに広がっていた。


『面白いやんけ!』と思っていただけたら、感想や評価などいただけるとありがたいです。

モチベーションアップに繋がります。


よろしくお願いします。

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