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獣人とは。

次の日から灯の勉強が本格的に始まった、先ずは獣人についてリリスが直接教える。


獣人とは人の知恵と野生の力を兼ね備えた種族である

エリス王国では人と獣の間の子などと偏見と差別で言われているが根拠の無い誹謗中傷である。

何故獣人という存在があるのか、それはこの世界に妖精やエルフ、魔族が存在する以上「居るのだから居る」としか言えない、人族もその限りである。


肉体の内部構造は人族と同一、但し獣耳と尻尾が感覚器として発達して存在する

身体能力は極めて優秀、筋力、瞬発力、持久力等々、体力に優れ、反射、視力、聴力、嗅覚、触覚に於いても人族を遥かに上回る。


獣人の種族によっては角や牙、爪の発達も確認されている。

獣耳は文字通り獣人の種族によって形が異なる、種族が猫系なら猫耳、犬系なら犬耳、尻尾もそれに準ずる形となる。

耳も尻尾も神経が集中しており、音は勿論、空気、風を感じ取る事が可能で、その感覚による警戒網は人族がスキルや魔法を使ってやっと互角と言える程繊細かつ鋭敏な感覚を持っている。


「はい、ここまでで質問は?」

「尻尾の根元の方を触られるとゾクゾクするのはなんで?」

「尻尾にも神経は集まっていて、特に根元付近は触覚が繊細とも言われているわ」

「繊細・・・」

「簡単に言うと性感帯みたいなものね」

「せいかんたい?」

「ああ、いい機会だから女の子の話もするわよ」

そうして獣人の勉強から保健体育の勉強も合わせて進められた。



「・・・で、女の子の・・・に男の子の・・・」

「・・・」

灯は顔を赤くして聞いている、それもそのはずリリスは最低限の知識を与える内容ではなく実際のコトの内容をぼかさず誤魔化さずに伝えていた。

「・・・で、・・・・・・となるの」

「私、瞬兄に・・・」

「まあ、誘っているとも取られかねないわね」

「ひゃぁぁ・・・」

「アリィ気にしないの、瞬君を他の誰かに取られても良いの?」

「・・・やだ」

「獣人が好きな人に身体を寄せて擦り付けるのは愛情表現、ただし人族にとっては十分誘われていると思われる内容よ、でもね、種族が違うんだから仕方ないじゃない、獣人の愛情表現が受け入れられないなら上手くなんて行かないわ、隠していても結婚したらバレるのだし、最初から獣人らしく自分らしく包み隠さず瞬君と付き合えば良いの、その上で瞬君の気持ちを聞いたら良いわ」

「うん、頑張る・・・」

「私はアリィから告白するなんて思ってなかったのよ、でも聞いたら今回ので二回目の告白なんて言うじゃない」

「あはは・・・、瞬兄鈍いから・・・」

「こんな可愛い娘に告白されて友達として思うなんて」

「私、か、可愛いのかな・・・」

「可愛いわよ!そうだ、鈴ちゃんからも聞いていて言おうと思っていたのだけど」

「え?」

「アリィ、貴女は本当に可愛いの、今の状態で一人で街中を歩いてご覧なさい、ナンパの嵐にしまいには誘拐、王国へ売られて奴隷、そうなるくらいには可愛いの」

腰まで伸びた漆黒の髪、それに映える白い肌、何年か前のエルにそっくりな顔、通った鼻筋にぷっくりとした赤い唇、一目で分かる優しさの溢れた黒い瞳、それらがバランスよく整っている。

しかも、身長や体格も大柄な獣人の中において小さな体、体型はスラリとしていて小柄ながらも出る所は出ている、普段着のドレスを着ていると分からなくなるのだが、コルセットを締めたドレスを来たらスタイルの良さが分かるだろう、何日も獣人化の時に添い寝したリリスは知っている、アリィは着痩せするのだと。

屋敷に初めて来た時に身に付けていた大和服もだが体型が分からなくなる服を好むみたいで、地味というか埋没したがる傾向、これからはしっかりと着飾ってみせる。


そして「黒」だ、サイリと同じく稀有な存在の象徴、黒を持つ獅子の獣人でルナリア公爵家の年頃の獣人、勿論この要素はこちらに来てからの要素なので当時のアリィには関係ないのだが・・・


これでどうして人気がないと言えるのか、獣人達の中では奪い合いで決闘さえ起こりうる要素が山盛りだ。

小柄で可愛いのは獣人にとって急所、実力を重んじる獣人は弱き者を庇護し護りたがる本能が強い、双子のエルもだがアリィは獣人の理想を集めたような存在と言っていい、貴族としてデビューする前に想い人と心を通わせられたのは、エル、アリィ共に幸運な事だろう。



「でも私、瞬兄みたいにモテた事ない、告白もされた事ないし・・・」

「アリィよく考えてみて、これは例え話だけど瞬君とアリィが幼馴染でなくて学校のただの先輩と後輩だとします」

「うん」

「瞬先輩はとてもとてもモテます、見れば可愛い女の子が必ず近くに居て仲良く話しています、二人はとても仲良く手を繋いで歩いたり、女の子が転んだら必ず一番に駆け付け抱き上げて運んだりしていました、アリィそんな二人の所に自分から近付いて話したり告白出来る?」

「・・・出来ない、多分二人は・・・」

「はいストップ!

アリィあなたと瞬君を周囲から見たら、()()見えていたのよ」

「え!?」

「女の子に人気のある瞬君に尻込みする女の子が居るように、アリィあなたの傍にはかっこいい瞬君が傍に居て尻込みする男の子も沢山居たのよ、誤解しないで欲しいのアリィは人気があった、嫌われていたからでもどうでもいいからでもない、瞬君が近くに居たからアリィには誰も告白しなかったのよ、特に瞬君は歳上でしょ?後輩達は余計に気を使っていたと思うわ」

「そう、なのかな・・・」

リリスが言い聞かせても灯は自信が無いようでいる

「良いわアリィ、もう少し勉強とマナーが身に付いたら夜会に行きましょう」

「夜会?」

「パーティーね、そこは将来のパートナーを探しに来たり、友達を探しに来たり、まあ簡単に言えば出会いの場なの、そこで分かるから、ね?いつかきっと行くわよ」

「うん・・・」


「その前に城に行って貴族登録と王様に挨拶しなきゃいけないし、アリィが思っている以上に忙しいわよ?」

「頑張る・・・、お母さん教えて?」

「ええ勿論よ、エルにも一通りは教えてあるからエルも頼ってあげるといいわ、あの子妹が出来て本当に嬉しそうだから」

「うん!」

素直に頷く灯、大体これくらいの年齢は何かと反発しがちなのだが

「ああ、もう!なんでこんなに素直なのアリィ!好きよ、大好き、愛してるわ」

「わ!?」

リリスが灯を思い切り抱きしめてキスをする

「私もお母さんが好き・・・」

応えるように灯もリリスの背に手を回し、胸に顔を埋めた

(本当に真っ直ぐな子、だから虐めた子の言葉も正面から受け止めて自信を無くしたのね・・・)

この子の未来は絶対に守る、そしてアリィにも強さを身に付けて貰う、とリリスの教育方針が固まりつつあった。




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