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世界の果てでこんにちは。

「へっへっへ、良いじゃねえか付き合えよ」

「ヒャッハー!」

「いやよ、近付かないで変態!」

此処はアルブ平原、元アークオンラインの世界ユグドラシルの果ての果て、ド田舎である。


かたや道具屋年頃の娘マリ、かたや・・・

「ヒヒヒ、いいから1晩、な?」

「ヒャッハー!」

語るまでもないチンピラ共。


傍らには道具屋の馬車と怪我をして意識を失った父親


「なあ、そんな態度取って良いのか?親父さん、怪我増えちゃうかも知れないなー」

「ヒャッハー!」

「っ!卑怯者!」

涙を流しながらも気丈に振る舞うマリだが顔色は悪い、この後に遭う行為を知らない程子供ではない




ヒューーーーー・・・・・・



「ヒャハッ?」

「風切り音?まさか、大怪鳥(ビッグバード)?」

「はっ、こんな夜に大怪鳥が飛ぶかよ!良いから来い!」

掴みかかって来た盗賊に身体を固くするマリ

(助けて!お父さん、お母さん、、誰かっ!)

盗賊の手がまさに今マリに触れる、その寸前。


ズドーーーーンッ!!・・・・・・パラパラパラ・・・。


()()()の何かが近くに落ちて、20m程のクレーターを作り出す。

「キャッ」

その衝撃波でマリは吹き飛ぶ、幸い吹き飛んだ先はフカフカの草むらで怪我はなかった。


「う、つう・・・」

ノロノロと起き上がり周囲を確認、先程の盗賊は頭に大きなタンコブを作り意識を失っていた、どうやら今の衝撃で石が飛んで来て頭部に直撃したらしい。

「助かった?」

ほっとしたのも一時、すかさず馬車から縄を取り出し縛り上げる、父の様子は

「う、」

怪我をして意識が無いだけで大丈夫そうだ。

「そうだ、何が降ってきたのかしら・・・」

気になったクレーターに歩み寄る、縁に差し掛かった瞬間

「痛っつつ、まあ生きていたな・・・」

と、クレーターから2mを超える巨人、いやオーガが現れ、マリは死を覚悟した。


先程の盗賊など問題にならないオーガ族の出現、それは明確な死の形を纏った存在、それが目の前に居る。

「ん?」

マリに気付いた巨人が目を向けてくる

月は雲に覆われている、闇に紛れていてその顔は確認出来ないがきっと恐ろしい形相の筈だ。

「ひ」

盗賊にはなんとか意地を張っていたが、これは無理だ、声が出ない、身体は指1本動かすのさえ覚束無い

カチカチカチカチ・・・

「?」

何の音だろう、と変に静かになった頭の中で考える


ああ・・・、歯が、震えて、、


怖い時って本当に歯がカタカタ動くのね、死を覚悟したその時

「コラッ、ゴリさんいくら何でも追い剥ぎはダメだよ!」

可愛らしい声が響く、何処から?

キョロキョロと見回すが何処にも見当たらない、ふと巨人を見ると空を見上げていた

「空?」

つられて見上げるマリ


サアアアッ、草原に風が吹き、月が雲から出て来た

辺りが明るく照らされて・・・

そこには黒髪の大和服を着た女の子がシャボン玉の中に居て、ゆっくり降りて来ている所だった。

「妖精、座敷、童子?」

「ふ、灯、お前座敷童子だと、あと俺は追い剥ぎなどやっていない」

「えー!?どこからどう見ても女性を襲っているようにしか見えないんだけど、座敷童子いいじゃん!幸運をもたらすのよ!私LUC極振りなんだからね!」

「なんて無駄振りしてんだよ勿体ない、あとなんだその魔法」

「シャボン!細かい話は省くけど、この中に居れば、空気と一緒!」

「俺も入れてくれよ・・・」

「ムリ、ゴリさん大き過ぎて入らない・・・」

「止めろ・・・、その言い方はマジで止めろ・・・」


巨人と座敷童子が会話しているその光景は奇妙なものだが、様子を見る限りは危険は無さそうだ。

ふわふわと泡が漂い、巨人の肩辺りに来るとパチンと割れて座敷童子は巨人の肩にちょこんと座る、なんか可愛いかも・・・

安心したせいか腰が抜けてその場に座り込む。



「あ、お姉さん大丈夫?怪我してない?」

座敷童子ちゃんが心配そうに肩から降りて近くまで来る

「か、・・・」

「か?」

「かわいいっ」

つい我慢出来ずにぎゅうっと抱き着いてしまう。


「ほあっ、え、なになに、お姉さん?」

「ああー、小さくて可愛くて、温かくて、柔らかくて、いい匂い、座敷童子ちゃんお名前は?」

「灯、です」

「灯ちゃん!私はマリ!」

「はい!」

ビク!とした様子も可愛い!

「私の家に住んで良いわよ、いつまでも居て良いからね」

「え、待ってお姉さん、どういう、」

「きゃー、困っている灯ちゃんも可愛い!待ってて、お父さん叩き起してすぐ家に行きましょ!」

「お父さんて、血が、怪我してるっ」

「大丈夫よ、ほら起きてお父さん」

ぐったりしている人をガクガクと揺さぶるマリさん

「う、っう・・・」

「いやいや落ち着いてマリさん、せめて応急手当を」


なんとか落ち着かせて、血止めと体力をジワジワ回復させるが意識は戻らない

「ゴリさん馬車動かせます?」

「ああ、まあ出来るが、俺だと重さが・・・」

「浮かすから宜しくです!」

「分かった」


そしてマリの家へと向かう事になった一行


ポクポクポク・・・、馬の蹄の音だけが夜空に響く

「まさか馬車ごと浮かすとは」

「意識を失っている人を馬車で揺らす訳には行きませんから」

「凄いわ!灯ちゃん!」

後ろから抱き締められる灯、随分気に入られたものだ。

「あ、あのマリ、さん?こっちで、」

「やだ、マリさんじゃなくて、お姉ちゃんって呼んで」

「お姉ちゃん?」

首を傾げながら聞き返すとマリは発狂する

「ぎゃーーっ!か、可愛すぎるっ、灯ちゃん私の妹になってよ」

「い、いえ、それは・・・」

「なあ、ところで親父さんだけ浮かせば楽だったんじゃないのか?」

「あ」

「・・・」



「馬車乗り心地悪いし、霊薬飲んでMP余ってるから良いんですー!」


苦し紛れの言い訳が果ての夜空に響き渡った。



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